春の草花とともに、この時期、庭の樹々の花々が美しい。
”ロウバイ”から始まり、”コブシ” ”モクレン””レンギョウ”が咲き、少し遅れて椿、梅が満開になり
やがて枝垂れ桜で 樹々のにぎやかな春は、一応の終わりを告げる。
田んぼに、本格的に水を引く前の4月、水田地帯では、各地で「堰払い」が行われる。
同じ水系ごとに、グループに分かれて、上流から下流に向かって、水路(堰)の手入れ、去年茂った枯れ草を取り除き、よどんだ水路の泥をすくい取り、水の流れをよくする大切な仕事である。
もっとも昨今の水路は、かっての 「春の小川は、さらさら行くよ・・・・」の風情は皆無。
動植物一切受け付けないコンクリート水路、今の堰払いは形だけで、コンクリが壊れていないか確かめる程度だからすぐに終わるか、もともと堰払いもしなくなった。
所によっては、コンクリ水路さえも無くなり、パイプラインが地中を縦横に走り、どこを流れてくるのかさえ見当がつかない、水が欲しいときに、大きな蛇口をひねれば大量の水が出て、広い田んぼをすぐに潤す。
パイプラインやコンクリート水路のなかった時代、「堰払い」は重要で、結構楽しみにもなっていた。
流れのよどんだ場所の泥をすくい上げると、越冬した「どじょう」が無数に出てくる。
気の利いた一人が、作業そっちのけにして「どじょう」取りに励む。
捕まえた「どじょう」は、腰の「はきご」に放り込む。
「こっちにもいるぞ」と声がかかり、安木節よろしく、どじょうを捕まえるたびに笑い声が響く。
水路をきれいにして、にぎやかな作業が終わった夕方、「堰払い慰労会」は「どじょう汁」が振舞われる。
一人前として認められて、出役した中学生は・・・
「お前、良くはたらくなー、親父よりましだ」とおだてられ
「まー、一杯飲め・・・・」、こんな機会に酒の味を覚えてしまった人も・・・
同じ水系は、みんな顔見知り、結構楽しんだ「堰払い」だった。
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