堂塔の木組みは、木の癖(クセ)組み...。先日放映されたNHKの歴史番組にて、法隆寺を再建された高名な
宮大工の方の言葉であります。お堂や塔は木を組んで建立されていくが、それに使用する木には実に多様な
クセ(育った場所、形...)があり、宮大工はそのクセを見極めて、適切に組み合わせていく...。
さもなくば、数百年の風雪に耐える建築物は存在せず、故に日本の伝統的な寺社建築は美しいだけでなく
強い...。この伝説的な棟梁の書籍、何冊か読んだことがあります。木組み...には続きがあって、木の癖組みは
人組み、人組みは人の心組み、人の心組みは棟梁の工人への思いやり。工人の非を責めず、己の不徳を思え...。
工人とは実際に現場で作業に当たる大工さんの事だと思います。ここでも現場、リーダーの心得...。
左に曲がった木と、右に曲がった木。それぞれ単独では使えない木...であるも、それらを適切に組み合わせる
と強度が増す...。すべて真っすぐな木を使うと、建物全体としての強度は弱まるそうで...。
これら口伝(くでん)と呼ばれる、技術の伝承を口頭のみによって行っているそうです。マニュアル世界では
決して到達できない、まさに神の領域かと思いますが、俗世の私にも言葉の一つ一つが突き刺さる...。
木組み、人組み、癖組み...。誰しも癖はあり、排除せずに生かす。本当に含蓄のある言葉でした。