
たくさんのヒット曲を手掛けた
作詞家の岡本おさみさんの訃報があった。
かつて吉田拓郎さんの曲で知った岡本さんの歌詞は
初めて音楽に目覚めた少年には少し大人の世界で
背伸びするのにちょうど良かった。
「旅の宿」は若い頃の
奥様との貧乏旅行のことを歌ったと聞いた。
そんな機微がわかるようになったのは
やはり自分も大人になって結婚してからかも知れない。
あっさりこの世を去った気がする岡本さんの
今このシチュエーションにぴったりの歌がある。
まるで自分の人生の終わりを予想し
その時の気持ちを歌っているかのようだ。
これもまた奥様の立場で詠われたものだろうか。
クールに見えて、優しい詞だ。
「さよならバイバイ」
ちっとも淋しそうじゃないのねときみが言う
いつものとおりさとぼくは言う
なぜ旅に出るのときみはライターを擦る
わからないよとぼくは火をつける
タバコの煙のむこうに入ってくる夜汽車たちよ
さよならバイバイ ぼくは行くよ
いつもそばにいて欲しいのときみは言う
そうしてあげたいとぼくも思う
なぜ行ってしまうのときみは泣きだした
しかたがないよときみを抱きしめる
そんな昨日の夜にとり残された淋しさたちよ
さよならバイバイ ぼくは行くよ
作詞 岡本おさみ
作曲 鈴木キサブロー