
著者の本は「グリコ森永」「三億円」「赤報隊」に続き4冊目。
(すべて風人堂で古本販売中)
相変わらずの取材力と押しの強さには舌を巻く。
被害の想像以上の凄惨さをこれでもかと詳細に記し
そこから人的つながりを駆使して犯人に迫っていくのだが
その人的つながりがすべて闇の人脈なので
どんな人物からどんな情報がもたらされたのかなどの部分が
どうしても曖昧な書き方になってしまう。
それは仕方ないのかもしれないが
事件現場の事細かな描写と対比して物足りなさが残る。
その部分こそが一番重要だと思うのだが。
しかし新聞記者(著者は元毎日新聞関係者とのこと)というのは
ここまで深く掘り下げるものなのかと驚嘆。
自らの身の危険を顧みずに突撃スタイルの取材姿勢に
内心ハラハラしながら読んだ。
それと、まだまだ一般社会には知られていない
裏の世界の闇の濃さと底の深さ、広さ。
犯罪はすべからく人の欲、業の深さから起きている。
読んでいる間、読み終えてからも
さまざまな事件の裏側で暗躍すると書かれている
「宗教団体」が不気味で気になった。
「世田谷一家殺人事件〜韓国マフィアの暗殺者」一橋文哉:著 角川文庫