風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

ローカル線の小さな駅

2024-06-29 | 文化

鉄オタと一口に言ってもいろいろなカテゴリーがある。
私はそんなに入れ込むほどのファンではないけれど
ローカル線の駅については心惹かれるものがある。
家々の軒先や線路脇の雑草に挟まれて
黙々と走るローカル線に乗るのも嫌いではない。
(だから田舎のローカル線のみならず
 例えば東京の東急世田谷線や都電荒川線も好きだ)
でも一番はそそられるのは小さな古い駅舎や草むしたホーム。
住んでいる花巻近隣では釜石線や北上線。


駅舎で言えば
古い駅舎に残っていることが多い改札用の木の柵や
屋根を支える添木が支える木の柱。


これまでいったいどれだけの人間が
それぞれの思いを抱きながらこの柱に寄り掛かっただろう。
そんなことを想像させるのだ。


ここは釜石線の似内(にたない)駅。
昭和20年8月10日の花巻空襲の日、
市街地に爆弾を落としたあとの米軍機は
この駅に停まっていた列車に機銃掃射を仕掛けた。
一時の休暇を終えて原隊に戻る途中の家族連れの兵隊や
実家に帰っていた教師など5人が犠牲となった。

これらの駅からどれだけの人たちが戦地に出ていったのだろう。
ささやかな生活を営んでいた人たちも
否応なく招集されたことを
ローカル線の小さな古い駅を見るたびに思い浮かべるのだ。
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