風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

装幀買い

2019-06-05 | 読書
安西水丸という「作家」がいた。
過去形にしたのは5年前に亡くなっているから。
鉤括弧をつけたのは、イラストレーターとして有名な方だから。
村上春樹さんの本の挿画で知る人も多いと思うが
(村上作品によく出るワタナベノボルは水丸さんの本名だそうだ)
実は短編集ながら小説も何冊か出している。
この水丸さんの小説が大好きで
単行本で出ている本はほどんど買って持っている。

とても静謐なタッチで、それでいて湿度を感じる作風。
どこか村上春樹さんの雰囲気にも通じるものがあるけれど
あそこまでメタファーを使ったり、ファンタジックな感じではない。
クールさと温もりという、一見背反しそうなタッチが独特だ。

実は水丸さんの本を初めて買ったのは装幀買いだった。
(別な本を買いに行ったのに・・・想定外 笑)


さすがイラストレーター。
自分のイラストを装幀全体に使っている。
元々がアートディレクターだった方なのでうまいんだよねー。
さりげなくて、それでいて隅々まで計算され尽くしている。
「いかにも」という感じがしなくて、理想だなぁ・・・。


水丸さんの本はすべて感心してしまう。
装幀が好きで、なおかつ小説の作風も気に入っているから
どうしたって文庫ではなく単行本欲しくなるよね。

で、一番気に入っている装幀が↓コレだ。


これには参った。
もう中身なんかどうでもよくなってしまうほどのデザイン。
(ちゃんと内容も良い本でした)
私が知る中で、この装幀が今のところNo.1だ。
この表紙を眺めているだけで嬉しくなってしまうほど。
これだけは良いとか悪いとかではなく
ただ「好き」と表現させてもらう。
なにせ見返しが↓こうだもの。


なにせ目次が↓こうだもの。


もうかれこれ20年ぐらい前の本だけど、宝物。
コメント
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