芥川賞受賞作がフル掲載とのことで
いつもは買ったことのない文藝春秋を買ってきた。
特に本谷さんの作品が気になってたので。
一読したけど・・・
うーむ、こういう作品もありなのかなという感想。
ワタシの守備範囲からはちょっと外れてるかも。
ところで本誌の別の記事に心を惹かれた。
半藤一利さんと佐藤優さんの対談が示唆深かった
「『新しい戦争』と日本軍の教訓」も大変興味深く読んだが
一番心に響いたのは
保坂正康さんによる渡辺和子さんへのインタビュー
「2.26事件 娘の80年」と
さまざまな人たちの「88人の『最期の言葉』」。
「2.26事件~」より・・・
「反乱軍の中には、磯部浅一のように、
貧農の生まれながら勉学に励んでいた青年将校もいました。
将校として兵士たちの苦しい家庭環境への義憤を感じた者もいます。
しかし、彼らは過激な思想にのめり込み、
天皇の『君側の奸』を殺さなければならないと信じるようになってしまった。
それは、軍人の勉強ばかりをして
軍隊以外の世界を知らず社会的な訓練をされていなかったからだ、
と私は考えています。
彼らの感性は知性探求のバネにはならなかったのです。
社会的な訓練をする上で必要なのは
まず本から知識を得ることです、
広い視野を持って冷静に現実を見つめた明治の軍人と、
信じる道を猪突猛進に突き進むだけだったh総和の軍人の違いは
そこから来ていると私は見ています。
そうですね。
私はアメリカに派遣されて勉強もしましたが、
最近流行の『グローバル』という言葉が嫌いです。
日本人には、まず日本語をきちんと話して欲しいと思います。
本を読んでそれを理解して、
人間生というものの尊さが分かるようになって欲しい」
単なる情報の受け売りと脊髄反射ではなく
広い視野を持った上で多様な知識のINPUTと、
それに基づく自分の考えを持つことの重要性を再認識。
また「最期の言葉」は
生きる意味や人生のあり方について考えさせられた。
東京混声合唱団理事長だった松浦巌さんの奥様への遺書より
「もう一度人生があっても、
君を見つけるまで、俺は探し続けるだろうと思う」
随筆家、俳人の江國滋さんが亡くなる2日前に書きつけた辞世
「おい癌め 酌みかはそうぜ 秋の酒」
政治家新井将敬さんが証券取引法違反で逮捕直前自死した際の遺書より
「政治だけが合法的に人を殺す」
解剖学者の細川宏さんががんで亡くなる8日前に書いた詩より
「僕の身体が
七色のシャボン玉にかわって
空気中をふわふわただよいながら
ポシャンポシャンと消えていったら
さぞ楽だろうな」
歌人河野裕子さんが乳がんで亡くなる前日に読んだ最期の一首
「手をのべて あなたとあなたに触れたきに 息が足りない この世の息が」
都知事でタレントだった青島幸男さんが亡くなる9時間前に
病室で家族と会話した時のひとこと
「そう、じゃー、ビールでも飲もうか」
「ああ、ビールないのよ、明日持ってくるね」(奥様の言葉)
「あしたかァ、明日じゃまにあわないんだよなァ」
漫画家で詩人のやなせたかしさんが
責任編集を務める「詩とメルヘン」に載せた最後の詩
「なんとか
生きのびてきた
生きとしいけるものには
天命がある
もはや
無駄な抵抗はせぬ
ゼロの世界へ
消えていくでござる」
官房長官など勤めた、元自民党代議士後藤田正晴さんが
亡くなる半年前に語った言葉より
「戦後の平和な日本を形作った憲法を改正するなら
先の戦争に至った要因や敗戦で得た教訓を忘れず、
人や時代が変わっても、
政治の勝手な解釈や独走ができないよう
歯止めを掛けられる形にしてほしい。
このことが21世紀の国家像を世界に発信し
国際的にも近隣諸国にも日本をより一層
理解してもらう原動力となる」