goo blog サービス終了のお知らせ 

因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

因幡屋2011年1月のなにか

2011-01-03 | お知らせ

 明けましておめでとうございます。今年も素敵な舞台とたくさん出会い、その幸せを的確に豊かに表現していけるよう励みます。因幡屋通信、因幡屋ぶろぐ、いずれもどうかご贔屓にお楽しみくださいませ。

JACROW #14 『冬に舞う蚊(モスキート)』 (1,2,3)
 本作が今年の芝居びらきになります。サラリーマン社会を舞台にした希望と絶望の物語とのこと。できれば希望を多く感じて帰りたいものですが、逆でも耐えられるように。
*長堀博士+奥村拓『華燭』
 SYプロジェクト「フレーム!フレーム!」参加作品。
こまつ座 『化粧』 (1,2,3,4) 
 渡辺美佐子のあたり役を平淑恵が演じ継ぐ。大好きなせりふがありまして、自分のイメージを広げすぎず素直な気持ちで。
新春浅草歌舞伎 
 やっぱりお正月は浅草歌舞伎。町の散策も楽しみましょう。
モナカ興業 『理解』 (1,2,3,4) 
 1年に何度かはふとみたくなるモナカの舞台。
*ル テアトル銀座 坂東玉三郎 特別公演 
 市川海老蔵事件で激震の歌舞伎界に強く美しい救世主あらわる。大枚をはたきました。
ミナモザ 『エモーショナルレイバー』 (1,2,3,4,5,6,7,8,9,10) 
 2009年初演の作品が、シアタートラム ネクスト・ジェネレーションvol.3に選ばれました。新しいキャスト、いつもと違う劇場でどう描かれるのか。
劇団民藝 『喜劇 ファッションショー』 (1)
 これまでご縁が薄いと思っていた民藝ですが、98年晩秋因幡屋通信創刊号で取り上げたのが民藝の『るつぼ』だったのでした。

 年末年始は芥川比呂志エッセイ選『ハムレット役者』(講談社文芸文庫)を読んで過ごしました。芥川の舞台をみることはついに一度もかなわず、自分にとっては幻の名優であり、書き残したもの、芥川を知る方々のことばから想像するのみです。
 演出家デヴィッド・ルヴォーについて俳優の稲垣昭三が「ルヴォーが俳優に求めることは非常に難しい。たった一人、それができる俳優がいたが死んでしまった」と述懐する記事を何かで読んだ記憶があります。その俳優こそが芥川比呂志であったと。自分が客席にいて舞台をみて感じたのは、ルヴォーが俳優に求めるのは名演技や熱演や特殊な解釈ではなく、戯曲を素直に読み、ありのままの世界を体現することではないかということでした。本書は名文家としても知られた芥川の『決められた以外のせりふ』、『肩の凝らないせりふ』などから選ばれた文章が収められているもので、なかに「戯曲を読む」という一文があります。

「戯曲というもの、書かれたせりふというものが、一種の仮の結晶であること」
「せりふは一種の結晶体であって、日常会話をそのまま凝固させたものではありません」

 せりふは一種の結晶体である。
 このことばが印象に残りました。「書かれた言葉を語られる言葉として想像すること」、「せりふの結晶を解いて、せりふになる以前の混沌とした生命の状態に還元すること」が俳優の仕事であることが、いろいろな例をひいてわかりやすく熱心に記されており、舞台をみる側としても学ぶところはたくさんあります。俳優がこのように読む戯曲、演じる舞台を、自分はどのようにみればよいのかを考え、今年はできるだけ多くの戯曲を読もうと思っています。
 今月の予定、課題、ひとこと等々としてきた記事ですが、今年は本や新聞や雑誌などの活字媒体、映画やテレビなどの映像媒体などから心に引っかかった「なにか」を記して、新しい月の心構えといたします。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2010年因幡屋演劇賞 | トップ | JACROW #14 『冬に舞う蚊(... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

お知らせ」カテゴリの最新記事