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因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

クロカミショウネン18『祝/弔』(弔)

2008-09-06 | 舞台
*野坂実作・演出 公式サイトはこちら 下北沢駅前劇場+OFFOFFシアター 2劇場同時公演 15日まで
 この冬に上演された『NINPU妊××婦SANJŌ』の後日譚とも言える物語。しかしこれをみていなくても充分楽しめると思う。黒田家で繰り広げられる婚約式(祝)と通夜(弔)が、2つの劇場で同時進行するという試み。この日は(弔)を観劇したのだが、実は直前まで今回の試みが理解できず、劇団の本公演特設サイトで稽古場の廊下を必死で走る俳優さんの姿に、「観客も2つの劇場を移動するのかな?」などと混乱していた。観客は移動しません(笑)。祝/弔の両方をみるには2コマ必要です。俳優は2つの劇場を行き来しながら演じ、観客は目の前で起こっていることだけでなく、もう片方がどんなことになっているのかを想像するおもしろさを味わえる。

☆「トリックアート」という独自の形に挑戦した舞台です。このあたりからご注意くださいませ☆

 母トメが亡くなった黒田家では当然通夜の段取りが行われているのだが、隣接するレストラン「ちょっと、恋」はトメが大切にしていた店であり、勤勉だった母の遺志を継いでこの日も営業を続けている。妻を亡くしたショックで父(猪股俊明)は少々おかしくなっており、長男(渡辺裕也)の愛人(日ヶ久保香)がやってきたり、父の隠し子(小山志保)が現れて、てんやわんやの大騒ぎ…なんて陳腐な表現!でもほんとうに大騒ぎなのだ。

 もし大きな劇場であれば、1階と2階あるいは左右に2つの空間を作り、観客の目の前でまさに2つの話が同時進行する芝居になるだろう。それならじゅうぶん想像できる。しかし今回のように片方はまったく見えず、通夜がどうなるかをやきもきしながらも、登場人物の台詞のひとこと「向こう(レストラン)が大変なことになってるんです」や、明らかに不自然な登場のしかたをする葬儀屋(細身慎之介)、はじめに少しだけ登場してあとはまったく姿をみせない「ちょっと、恋」オーナーの秋彦(関根信一/劇団フライングステージ)は向こうで何をしているのかと思うと居ても立ってもいられず、(祝)もみることを決めた。因幡屋、敗れたり。という気もしますが、ここは素直に、もうひとつの物語を思い切り楽しもう。今夜のところはこのあたりで。
 

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