どんな偉そうなことを言っても、日本はアメリカ様の属国なのである。日本のインテリの多くも、それで満足しているのだから、救い難いにもほどがある。山本夏彦の『ひとことで言う山本夏彦箴言集』では、自嘲を売りにしているインテリを揶揄しており、山本の投げる球はど真ん中である。「日本はアメリカの植民地または属国であります。植民地はもとの独立国に返りたいと願うのが尋常なのに、ひとりわが国のインテリはその気がありません。アメリカの植民地でなければ、ソ連または中国の属国になることをなが年欲していました」。週刊新潮の平成9年1月23日号〈夏彦の写真コラム〉「どっちにころんでも属国」の一文である。それから16年以上が経っているにもかかわらず、やっぱり日本のインテリは不甲斐なしだ。TPP交渉参加を安倍晋三首相が決断したのは、そうした連中の口車に乗ったのだろう。開国するにあたっても、かつての日本人は国益を優先させた。死守すべき価値も念頭に置いていた。しかし、戦後体制にズブズブになった日本のインテリは、国益などに興味がないのである。それよりは、国を売ったとしても、自分さえ儲かればいいのだろう。安倍首相が本心からこの国を取り戻そうとするのならば、その現実を直視すべきだろう。山本の言っていることは嘘ではない。大国の言いなりになって、小国の指導者が国民を苦しめるのは、植民地や属国の常なのだから。
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