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de la Mare, ("O for a moon to light me home!")

ウォルター・デ・ラ・メア (1873-1956)
「歌」(「家まで道を照らしてくれる月がほしい!」)

家まで道を照らしてくれる月がほしい!
緑のランプがほしい!
プレアデスみたいなきれいな星たちがほしい、
うす暗い木のなかでキラキラ光るような。
片思いのろうそくがほしい! ああ、
緑のランプがほしい!

タータン・チェックのドレスがほしい!
透き通っていて、わがままな、灰色の目がほしい!
スミレみたいに軽やかな指がほしい、
クロウタドリがゆらす枝の下のスミレみたいな。
イバラでいっぱいの牧場がほしい! ああ、
透き通っていて、わがままな、灰色の目がほしい!

アーモンドの枝のような心がほしい!
雨のようにすてきな思いがほしい!
曇りの日の野原のような初恋がほしい、
夜明けにまだ閉じている四月のつぼみのような初恋が!
音楽のような眠りがほしい!
雨のように静かな夢がほしい!

* * *
Walter de la Mare
"Song" ("O for a moon to light me home!")

O for a moon to light me home!
O for a lanthorn green!
For those sweet stars the Pleiades,
That glitter in the twilight trees;
O for a lovelorn taper! O
For a lanthorn green!

O for a frock of tartan!
O for clear, wild, grey eyes!
For fingers light as violets,
'Neath branches that the blackbird frets;
O for a thistly meadow! O
For clear, wild grey eyes!

O for a heart like almond boughs!
O for sweet thoughts like rain!
O for first-love like fields of grey,
Shut April-buds at break of day!
O for a sleep like music!
For still dreams like rain!

* * *
2, 6 a lanthorn green
3-4にある、木々のあいだから差す星の光に
似たようなものとして?

3 the Pleiades
すばる星団。ギリシャ神話では七人の姉妹が星に
なったもの。すばるだけではないが、夜空に輝く
星の群れは、夜の木々のあいだから差す光
(あるいはそれがところどころで葉に反射したもの)に、
似ている。

13 almond
アーモンドの実には、甘いものと苦いものがある(OED 1)。
アーモンドの花はうすいピンクで、そこからアーモンドの
木は白髪にたとえられる(OED 10)。

(実際、アーモンドの花は、五分咲きくらいの桜のよう。)


By י.ש.
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Shaked02.jpg

* * *
わかるようでわからない、素朴できれいで、
ときどき矛盾しているような表現の数々。

家まで道を照らしてくれる月
緑のランプ
片思いのろうそく、
透き通っていて、わがままな、灰色の目
スミレみたいに軽やかな指
イバラでいっぱいの牧場
アーモンドの枝のような心
雨のようにすてきな思い
曇りの日の野原のような初恋
夜明けにまだ閉じている四月のつぼみのような初恋
音楽のような眠り
雨のように静かな夢

何かを象徴しているようで、でも特に深い意味や思想が
なさそうなところがいいのでは。

* * *
英語テクストはSongs of Childhood (1902) より。
http://www.gutenberg.org/ebooks/23545

* * *
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