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ノート:詩の(よくて)変化・(悪くて)衰退

ノート:詩の(よくて)変化・(悪くて)衰退

(イギリスにおいて)詩がかつてのような文学・
娯楽の中心ではなくなった原因、およびその結果は、
次の点に尽きるのではないか。

どんな人・もの・こと・場所・生きかた・その他が
いいか悪いか、好きか嫌いか、というごくふつうの
話題・問題を扱う手段・媒体が、詩ではなくなった。
18世紀以降、小説・写真・映画・TV番組などへと
少しずつ移行してきた。

たとえば、下のジョンソンのエピグラム 94が描いて
いるのは、(ダンの諷刺は未読で知らないが、)
人や社会を笑う作品を楽しめる貴族女性。
今の日本でいうなら、諷刺的な漫才やコントを
見て楽しめる高学歴で知的で美しい女性、という感じ。

現在では、このような人物のイメージは、
小説・映画・TVドラマ・ニュースなどによって
提供される。詩ではなく。

(ポップ・ソングの歌詞には当然従来の詩の役割が
一部継承されているが、音・メロディがつくことによって
言葉の内容が相対的に重要ではなくなってきている。)

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学生の方など、自分の研究/発表のために上記を
参照する際には、このサイトの作者、タイトル、URL,
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かまいません。

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Jonson, Epigram 94 ("To Lucy, Countesse of Bedford")

ベン・ジョンソン
エピグラム 94
「ベッドフォード伯爵夫人ルーシーに捧げる詩、
ダン氏の諷刺詩とともに」

ルーシーさま、まさにこの世に光り輝く星、
詩神たちの太陽であり、夜明けの星であるあなた!
もし(詩人でなく)詩が自分の主題を選べるならば、
誰の詩だってあなたを歌いたいと願うでしょう。
これらダン氏の諷刺詩にも、あなたがご所望という事実によって、
諷刺以外の内容が与えられています。稀有な詩とは稀有な人を歌うもの。
逆に諷刺においては、ほとんどの人が否応なく
その主題として皮肉に描かれ、稀有な人は出てきません。
醜いところを暴かれて喜ぶ人はおらず、
むしろ嘲笑されれば腹を立てるものですから、
ダン氏に諷刺される人々のなかで生きていて、
そしてこれらの詩を求め、読み、楽しむことが
できる人は、必然的に、最高に優れた少数のお方ということに
なります。そんな最高のなかの最高のお方、それがあなたです。
ルーシーさま、まさにこの世に光り輝く星、
詩神たちの太陽であり、夜明けの星であるあなたなのです。

*****
Ben Jonson
Epigram 94
"To Lucy, Countesse of Bedford, with Mr. Donnes Satyres"

Lucy, you brightnesse of our spheare, who are
Life of the Muses day, their morning Starre!
If works (not th' authors) their own grace should look,
Whose poems would not wish to be your book?
But these, desir'd by you, the maker's ends
Crowne with their own. Rare poems aske rare friends.
Yet, Satyres, since the most of mankind bee
Their un-avoided subject, fewest see:
For none e'er tooke that pleasure in sins sense,
But, when they heard it tax'd, tooke more offence.
They, then, that living where the matter is bred,
Dare for these Poemes, yet, both aske, and read,
And like them too; must needfully, though few,
Be of the best: and 'mongst those, best are you;
Lucy, you brightnesse of our spheare, who are
The Muses evening, as their morning-starre.

http://www.luminarium.org/sevenlit/jonson/lucy2.htm

*****
キーワード:
エピグラム epigram
称賛詩 panegyric
諷刺詩 satire

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「諷刺」というと文学的に古風で高尚な感じがして
どうも堅苦しい。よりふつうの感覚で理解するために、
たとえば、「お笑い」といいかえたらどうだろう。

あるいは逆に、エピグラムや喜劇やでジョンソンが
試みたのは「お笑い」を芸術の領域にまで高めること
であった、と想像してみてはどうか。ギリシャ・ローマの
古典の力を借りつつ。

(以上、少し話はそれるが。)

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