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福田博幸 『日本の赤い霧 極左労働運動の日本破壊工作』 文春砲 ロス疑惑 HSST 武村正義 前川喜平 中村紘子

2023-08-15 15:05:15 | Weblog

岸田総理に対してイライラ感を持つ。氏の発言は、誰かが書いた原稿を抑揚なく読むだけで言葉から伝わるものがない。マイナカードのミスもいつもの「○○大臣に支持をした」で済ませてリーダーシップをとらず他人事。喜怒哀楽がなく何をしたいのか、大事なことはすべて先送りで必死さが感じられない。無気力、無関心、無責任、無感動(かつて四無主義といわれた)の総理に対して、何故かこちらも不思議と怒りも期待も生じなくなってしまう。ただ2週間ごとにヘアサロンに行き身だしなみだけは気をつかっているようだ。一日でも長く総理をやりたいだけなのか。

 

『日本の赤い霧 極左労働運動の日本破壊工作』(福田博幸著 清談社 2023年刊) 文春砲 ロス疑惑 HSST 武村正義 前川喜平 中村紘子  

近くの図書館から借りた。著者の立場から見ると左翼は駆逐対象なのだろう。その左翼絶滅危惧種と自覚している僕が感じたのは、著者が左翼をずいぶんと過大評価しているということだ。著者に思うほどすでに左翼の社会に対する影響力はない。

まず本書に感じたのは、扱っているテーマに一貫性がないということだ。順に並べると、国鉄・JR・日本航空の労働組合。1960年代からの革新自治体、田中角栄と中国の関係、中曽根康弘とソ連の関係といった具合だ。図式的にいうと、左翼=悪、労組=悪、外国=悪ということだ。では善=正義はどこにあるというのか、そこはよくわからない。

やはり自腹を切って購入するような本には思えない。ただ、どのような論理構造をとっているのか、それがしっかりとした根拠を持っているのか、そして十分説得力をもって話が展開しているのかどうか。そして本書から初めて知るような事実があるのだろうか。

では、僕にとって初見と思われる事柄を以下にメモしておく。

○(P160)1984年、最初に週刊『文春』砲がさく裂し、マスコミが当時「ロス疑惑」と大騒ぎをした、「疑惑の銃弾 三浦和義氏のロス疑惑」報道は、大物警察官僚のスキャンダルを掴んだ文春に対して、その報道をくい止めるために検察がリークした情報なのだという。その内容は、警視総監候補だった柴田善憲警察庁副長官の公金横領疑惑である。その裏取引に文春が応じたのだ。

ここから学べる教訓は、マスコミが連日大騒ぎを始めたら、その裏で何かが動いている可能性があり、国民の目をそらそうとしているなどを疑うことだ。今も、ススキノで起きた猟奇的な事件に関する検察からの小出し情報をマスコミが連日にわたって報道している。何が動いているのだろうか?

○(P226)日航の新交通システム「HSST」(リニアモーターカー)の電導技術が経営中枢に入っている日共党員を通じてソ連に漏れたという記載がある。確かに1986年ころ、札幌と千歳空港間を15分で結ぶという構想があったことは記憶している。これについての真偽のほどは確かめようがない。

○(P317)1937年に起きた盧溝橋事件は、日本軍と国民党軍を全面戦争に突入させるために中国共産党が仕組んだ謀略という記載がある。僕は初めて聞いた考え方である。これは学問的・歴史的な検証に耐えられないであろう。こういう暴論を書くと、著作全体の価値を自ら貶めてしまうのではないか。

○(P322)新党さきがけの武村正義は、1956年から翌年にかけて繰り広げられた山村工作隊の活動メンバーだったと記載されている。1956年という年次は誤りであり正しくは1952年だろう。ことの真偽は不明。

○(P347)1970年当時の民放労連執行委員長は武村宏弥(北海道放送・日共党員)

○(P386)前川喜平元文部科学省事務次官は、ソ連貿易をやっていた群馬県「前川産業」のオーナー前川昭一の長男。前川家と中曽根康弘とは関係が深い。

○(P390)ピアニストの中村紘子は、銀座の画廊「月光荘」のオーナー中村曜子の娘。曜子は中曽根の恋人で、ソ連絵画を扱っていたという。

 

 

 


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