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徳本栄一郎 『田中清玄 二十世紀を駆け抜けた快男児』 唐牛健太郎 オットー大公 岸信介 田岡一雄 児玉誉士夫

2023-02-19 09:38:48 | Weblog

アポ電を受けた方から聞いた話。ナンバー表示を確認せず電話にでてしまったが、相手の声は誰なのだろうかと考えると同時に頭の中は自分の知っている人の声に似ている、だからその人に違いないと決めつけようという気持ちが自然に働くというのだ。ここに騙されるポイントがありそうである。結果は、話をしているうちに疑問がわいて事なきを得たそうだが、スレスレだ。

 

『田中清玄 二十世紀を駆け抜けた快男児』(徳本栄一郎著 文芸春秋 2022年刊) 

近くの図書館の新刊コーナーから借りた。ご存知田中清玄の破天荒な一生を描いた血湧き肉踊るエンターテインメント作品だ。面白かった!星★★★★。読んでいてワクワク感が止まらなかった。久々のことだ。

本書は清玄氏の一生を追いかける。北海道七飯町生まれ、会津藩につながる。戦前は武装共産党のリーダー。獄中で「転向」。敗戦後すぐに昭和天皇に拝謁し、天皇を守るために働くことを誓う。変電所を破壊しようとする日共に対しアウトローたちを電源防衛隊として組織して闘う。1960年安保では長州出身の岸信介らと対峙した唐牛健太郎(北海道紋別市生まれ)全学連委員長らに逃走資金を援助。1960年代にその後のオイルショックを見通す中で中東における国産石油の採掘権を獲得。晩年は環境活動家。

新自由主義経済を唱えるハイエク氏と交流、オットー大公を通じて欧州の独自情報を昭和天皇に伝えるなど、傍から見ると右翼なのか左翼なのか、何が何だかわからなく見えるが、清玄氏の中では全くブレていない。この国のために働いているのだ。これと思ったら相手の懐に飛び込む。相手を惚れ抜く。噓をつかない。約束を守る。

山口組の田岡一雄とはマブダチだが、児玉誉士夫は売国奴であり許すことができない。日米安保条約は国を売る行為だから岸信介は許せないが、唐牛健太郎らブント全学連の安保反対闘争は国を守るためにやっているのだから可愛がった。そこに長州対会津の怨念も混じっている。日共はソ連に国を売っている。石油メジャーの言いなりではなくこの国自前の油田を開発し自主エネルギーを持つべきだ。岸信介を許せないという清玄氏はおそらく統一教会と岸信介の関係も知っていたのだろう。何がこの国にとって正しいのか、そして何をするべきなのか、その義に純粋に本気で殉じた人物といえよう。


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