晴走雨読

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『ひとり 沈黙も言葉 15歳の寺小屋』

2010-11-23 10:02:22 | Weblog

『ひとり 沈黙も言葉 15歳の寺小屋』(吉本隆明著 講談社 2010年刊)

 

 本書は、講談社創業100周年記念企画の「15歳への寺小屋授業その実録」シリーズの中の一冊で、吉本氏のほか、日野原重明、三國清三、益川敏英、小菅正夫、令丈ヒロ子、金田一秀穂、石黒達昌、茂木健一郎、安岡定子ら著名人が寺小屋の先生になり、15歳の子どもたちに語りかけた記録です。

 

 その道で何かを成し遂げた人から直接話を聞く経験は、ずっとその子たちの記憶に残るでしょう。有意義な企画と思います。

 

 吉本氏の講義は、6回にわたり、1時間目は「ひとりってのは悪いもんじゃないぜ」、2時間目「才能って何だろうね」、3時間目「人生にどっちが正解ってことはないんだぜ」、4時間目「特別授業」、5時間目「恋愛って難しい」、6時間目「大人になるってどういうこと?」と題されています。

 

 吉本氏は、今まで氏が発言してきたことと同じ主旨のことを丁寧に子どもに語っています。時々氏が発する、「よせやい!」という言葉は、世の中の常識から氏独自の視点への転換の言葉です。果たして子どもたちがそこからどこまで感じ、どこまで伝わったかはわかりません。

 

 しかし、例えば、「ひとりってのは悪いもんじゃないぜ」といわれると、子どもたちの中にある、不登校、引きこもりなどは問題で、仲間や友だちづくりが無条件で良いことだという既成観念に少し疑いが生じるでしょう。

 

 物事を考えるためにはひとりになることが必要なのだ、だから、ひとりぼっちは悪いことではない、と語られることから少し勇気も出るのではないでしょうか。

 

 子ども向けの本であるが、改めて私自身も「ひとりを噛みしめる」ことの大切さを学びました。何かを考える場合、頭の中だけでは中々整理されるものではありません。文章化する中でゆっくりと深く考えることができます。文章を考える時は、ひとりになる必要があります。

 

 

 

 


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