晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

蛭子能収 『ひとりぼっちを笑うな』

2015-06-27 20:20:39 | Weblog

 『ひとりぼっちを笑うな』(蛭子能収著 角川新書 2014年刊)

 テレビ東京系番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」は、リーダーシップの太川陽介、マドンナと呼ばれる女性ゲスト、そして超マイペース人間の蛭子さんの行き当りばったりの旅で、年に数回しか放映されないが楽しみにしている。

 今の時代に不適合のような蛭子さんがなぜ支持されるのか。

 それは、子どもたちをこんなふうに育てようとしている方向とは全く正反対の人間が蛭子さんだからではないか。将来に夢と希望を持って、自分の考えをしっかり言えて、コミュニケーション能力を身に着けて、常に相手のことを考えて、友達もたくさんいて、社交的でハキハキしていて、明るい性格で、勉強にもスポーツにも一生懸命で・・・その結果、子どもたちは大人になる前に疲れ果ててしまっているように感じる。

 一方、蛭子さんの考え方、行動は、反体制的である。望ましき人間像からはなはだ遠いところにある。しかし、人びとをホッとさせる。失敗してもいいんだよ、ひとりは悪いことなんかじゃないよ、有名になんてならなくてもいいんだよ、がんばらなくてもいいんだよ・・・そこに、救いを感じるのではないか。

 安保法制論議にも表れているが、世の中が益々「力の論理」に貫かれようとしている。身体や気持ちの強さが人の評価基準になっている。それに対して、蛭子さんの生き方は、それ自体が反戦である。

 今日の午後から一気読みをしてしまったが、いいフレーズが満載。久々の良書だと思う。僕は、多くの人に推薦したい。

 

 

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