「海猫」で谷村志穂という作家のことは知っていたが、その時のイメージで、じとじとした恋愛を書く作家というイメージが強かった。情念ということであれば、水上勉さんの方がよく描かれているようにも思っていた。
今回読んだ作品は、帯にあるように<太平洋戦争下、(妻子有る)ロシア人男性との禁断の愛に生きた一人の女>の話である。<どんなに堕ちても、どこまで流れても美しく輝く愛を描いた長編ラブロマンス>とのこと。
私にとっては、男性が描かれないので、物足りない。それは、仕事が描かれないことには人生の大半が描かれないという感を持つからだろうと思う。
男と女の違いと言ってしまってよいのか分からないが、多くの方の読後感も聞いて見たいところだ。