競馬が振るわず休養に帰ってきた4歳競走馬。
右前肢が跛行もするということで、X線撮影に来た。
直線の速歩では、はっきりしない。
右回りの速歩では点頭運動が見られた。
「球節に熱がある」とのことだが、X線画像では異常なし。
両前の蹄は割れやすいのか、装蹄師さんも苦労した様子がわかる。
跣(はだし)にして蹄の形状と質の改善を図ることを勧めたが、
蹄底が薄く、今は除鉄したくないとのこと。
鎮静剤が効いている間に、種子骨遠位で指神経近くに局所麻酔薬を射って神経ブロックする。
ちょうど鎮静も醒めてきて、神経ブロックも効いてきた頃に、今度は私が引っ張って走らせる。
「やっぱり、蹄が痛いんだね」
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神経ブロックは効果が出たかどうか、支配域の皮膚をつついて調べてから歩様検査することがたいせつ。
ツンツンつつくのは世界共通、ボールペンを使う馬医師が多い。
だからこれは、馬医者のpain sensor あるいは、
algesimeter 痛覚計、なのよ。
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algesia 痛覚。
否定・無の意の接頭辞prefix であるanが付くと、an/algesia で鎮痛(法)。
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esthesiometer 触覚計・知覚計でも良いかもしれない。
esthesia は感覚・知覚。
否定・無の意の接頭辞anが付くと anesthesia で麻酔なんだな。
円形の蹄レントゲン撮影用の台は、初めて見たとき、いったい何なのか分かりませんでした。使いやすいですか?いろいろなところに工夫がされているところがミラクルワールドのようです!
このpain sensor はシャキーン!という感じがかっこいいですね(ボールペンとしてはもう機能していないのでしょうか^^)
私は有鉤のピンセットで蹄球の上をつまんでみていました、引く動作になるので馬が急に足を挙げた時にやや安全かな、という、もっともらしい理由はあと付けです^^;
円形の蹄レントゲン台もよその獣医さんに教えてもらいました。四角いとカセッテを置く角度が決まってしまうので使いにくいというアイデアです。なるほどそのとおりだと思います。
このpain sensorは全国公営競馬獣医師協会の支給品です。皆さんお持ちだと思います。名前入りpain sensorです。
ときどき馬に弾き飛ばされるので安くて軽いボールペンの方が良いかもしれません;笑。
蹄は何が悪かったのですか?蹄踵角度も良さそうですし。。。蹄鉗子の圧痛もありました?
蹄は何が痛かったのかわかりません。獣医学的に正しく言うなら種子骨より遠位の問題だと推察された。ということです。
内側、外側、もっと遠位で踵部と蹄尖部を分けてブロックするとか、除鉄して空洞として写る部分を削ってみるとかがさらなる検査ですが、自分で削蹄する畜主でしたので、まかせました。