2歳馬が後肢のひどい跛行。
飛節以下はX線検査し、Low4でブロックしたが無反応、とのこと。
来院したが右後はほとんど負重不能。
「どこか押して痛いとこありました?」「ない」
とのことだが、右の股関節あたりは押すまでもなく、馬が触られるのを嫌がる。
その付近はなんとなく腫れぼったいように私には見えた。
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立位で股関節のX線撮影。
まだ臀筋も萎縮していないのでX線量的にきびしいが、恥骨が割れているであろう画像が撮れた。
飼主さんは、経過を観るより、確定診断をつけて早く判断したい意向。
全身麻酔して大型X線撮影し、ひどい骨盤骨折を確認したらそのままあきらめましょう、ということにする。
もう2歳になるとひどい骨盤骨折をしたら飼養価値喪失の判断もやむをえない。
鮮明な画像が撮れた。
股関節臼が骨折し、骨折線もかなり開いてしまっている。
他の馬と放牧されている2歳馬。
放牧地の凍ったところで滑って転んだのだろう。
骨盤は構造的に股関節臼に力が集中するようになっている。
腸骨、恥骨、坐骨が結合するところだからだ。
そして、後肢を支える関節なので、ひどい変形をすると機能障害が残る。
冬に多い事故なのだが、仕方がないことでもある。
放牧場、パドック、気をつけているとおもうのですが、2歳馬のハチャメチャな元気は馬生のうちで最高潮な気がします。
同じように転倒しても骨折しにくい個体の特徴はありますか?
人では腰回りにパットの付いたプロテクターがあり、そういう視点から腰回りが太い海外のご婦人はこういう骨折は少ないだろうか?と日ごろ思っていたのです。
雪が少なくてすごしやすいですが、冷えると危ないですね。
逆に、サラブレッドは、かけっこしただけでも、転んだだけでも骨折してしまう。安全性を犠牲にして軽量化したスポーツカーなんでしょうね。
ヒッププロテクターをスノボのときに着けるようにしています。少し安心かな;笑
飛行機の座席ひとつでは足りないような方も、転ぶと大腿骨骨折なんかは危ないんじゃないですかね。痩せた年寄りと、どっちが危険率高いんだろう??自重が問題なのか、あるいは骨粗鬆症か・・・・
牛だと仙腸関節の捻挫や脱臼というのがかなりありそうなのですが、無頓着にハンガーかけたりしてますね。
捻挫くらいなら温存すれば見込みあるのに、と思ったりしています。
椎体骨折?なんかは骨粗鬆症的栄養障害なのかも知れません。
大腿骨折なんかは普段筋力重力がかからない方向に外力かかるとあっさり行ってしまうという話なのかも知れませんね。
軽種重種は金属で言えば鍛造鋳造みたいな物なのかも知れませんが、サラブレッドのポキリは鍛造のさらに上行って刀鍛冶みたいな物なのでしょうね。
鍛えたくらい骨太くならないのと反対に、養老馬なんか運動不足なのに骨量減らないし折れやすくもならないのではないですかね。
単純に理解できない色々なバランスがありそうです。
牛のカウハンガーの功罪ですね。結局、カウハンガーが使われ続けているようですね。
サラブレッドの骨の折れやすさは何なんでしょう。科学の進歩を待ちたいと思います。