馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

結腸捻転・変位の開腹部位、そしてcolopexy部位、われわれの方法とKentucky式

2024-03-24 | 急性腹症

この結腸捻転馬は、全身状態も悪くなく、結腸の膨満もひどくないので、

腹腔内で捻転を整復できるかも?ということで、かなり頭よりを開腹した。

胸骨剣状突起から15cmのところから切り始め、

術創の長さは17cm。

臍からの距離が13cm。

結果的には、この術創から捻転した結腸を整復することは私にはできなかった。

Kentuckyの有名馬病院の外科医は、結腸捻転のほとんどを腹腔内で整復している。

頭よりを切開した方が、そうしやすい、としているのだが、

どういう技術なのか、

あるいは腕力と腕の長さなのか、詳しく訊いてみたいものだ。

ただ、多かれ少なかれ膨満し、浮腫性に肥厚した結腸に回復期間を与えるためには、

結腸を腹腔外へ出して骨盤曲を切開し、内容を捨て、結腸根部まで空にしてやることは意味がある、と考えている。

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そして、再発防止策としての結腸固定術 colopexy.

胸骨剣状突起から7cmの部位に行った。

腹側結腸胸骨曲を固定するので、この部位に固定するのが妊娠子宮に圧迫されないために重要、と考えている。

Kentuckyの馬外科医たちは、胸骨剣状突起から5cmの部位から左よりへ開腹し、

創を閉じるときに、結腸紐を縫い込んでいる。

              ー

いずれ私たちもKentucky式の手技をやるようになるのか、

我々のオリジナルの方法を続けていくのか、

これからの課題だ。

理想は、予防できるようになり、結腸捻転・変位がほとんど起こらなくなることだけど、ね。

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うちの庭にあらわれたシカの群れ。

庭木をかじって行きやがった。

やっぱり番犬を雇わないとダメだな。



2 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2024-03-25 06:56:25
 ほんの20年かそこらで情報がより身近に豊富にある時代となりましたが、それを活かさないてはないですね。
 しかし再発防止はなかなか手強い課題のように感じます。

 雇う?その方向ですか?
 春山には熊の気配はなかったけど、入山は止めて、いとこわんわんとあちこち出かけました。観光地を散策したりホテルに泊まったり船で海に出たり。
 途中でたくさんの犬や鹿、キジやヤマドリ、馬や牛たちにも会いましたが、番犬気質は、ちょっと困る。「この犬、鳴けないの?」とまで言われたり
 今回も遊び倒しました。
>はとぽっけさん (hig)
2024-03-26 04:54:47
情報は得やすい時代になりました。デジタル化とネットのおかげですが、その分、人の交流や人によるサーヴィスは割愛されていますね。

遊び倒すの楽しそうです。

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