馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

馬をぶら下げて運ぶためのhobble あるいはsling

2024-04-02 | technique

馬全身麻酔するのに、前処置(鎮静剤投与)して、

倒馬剤(短時間麻酔剤投与)して、

気管挿管して、

手術室の手術台へ運んで、吸入麻酔を始める。

           ー

私たちにとっては日常で、確立された手慣れた方法なのだが、

獣医さんでも観たことがない、とか、想像がつかないとか、

できるようにしておかなければいけない、という大学の先生もいらっしゃる。

           ー

倒馬室から手術台へ馬を運ぶために、思いつくのはマットに乗せて運ぶことのようだ。

クレーンやホイストがなければ仕方がないが、

物理的に吊り下げられるなら、馬をマットに乗せる方式は取らない方が良い。

マットにうまく乗せるのがたいへんで難しい。

そのマットは手術台上でも使うことになるが、不衛生でクッション性が悪い。

手術室から運び出したら、馬の下から抜かなければならない。

           ー

馬は足架を着けてぶら下げて運んで大丈夫。

このためには丈夫な足架を使う。

hobbles ; 脚に着ける拘束具、つまり足架

sling でも通じるかも知れない。

両端にループがあって、両肢にはめて使うタイプもあるが、使いにくい。

この single loop hobble が絶対に使いやすい。

手術台に馬の肢を固定するのにも使える。

注意書き。

・馬をぶら下げることだけに使うてや

・この注意を守らんかったら人が大けがしたり死ぬで

・使う前に傷んでないか調べてや

・とがった角に強く当たらんようにいっつも気いつけてや

・定められた耐荷重以上で使おうとせんといてや

・耐荷重のタグが取れてたら使わんといて

・194°F(90℃)以上にならんようにしてや

・えらい弱なるように捻らんといて

・もし、熱とか化学的損傷、使いすぎなんかの徴候とか、ほかの傷があったら使わんといてや

・酸の近くで使わんといて

耐荷重 1000lbs (453kg)

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USAの Shanks Vetrinary Equipment の製品。

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うちの庭をキジが駆けていった

飛ぶのも苦手そうだし、鈍くさそうなのに、何を取り柄に生き残っているのだろう?

 

 



2 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2024-04-02 07:03:21
 注意書きをそこまで読む方はむしろ少ないのでは?独特な訳ですね。
 馬体に関してはより多くの注意書きが作成されてもよさそうな印象ですが。

 コウライキジですね。二ホン雉の美しさは格別ですね。雄鳥の飛ぶ姿がまたかっこいい!クジャクの飛び方に似て。
 立ち止まって動かないいとこわんわんに追いついた途端、数歩前に出て足元の茂みからヤマドリを追い出しました。飛ぶまで全く気が付きませんでした。隠れ方にも追い出し方にも感心しました。そろそろ産卵かな?
>はとぽっけさん (hig)
2024-04-03 19:07:39
効能書き、注意書き、あるいは取り扱い説明書、読まないですよね;笑 でも、この注意書き守らんかったら死ぬかもよ、と書いてあります。一応言っとくで、言うたからね、みたいな書き方なんで大阪弁で行ってみました。

俊敏でもない、空中戦も苦手、なのにどうして生き残ってきたのか不思議に思います。カラスとかキツネとか、強敵だと思うのですが。

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