馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

春先の1歳馬の空腸閉塞

2017-03-03 | 急性腹症

夜、1歳馬の開腹手術で呼び出された。

午前中から痛くて、一度落ち着いたがまたかなり痛い、とのこと。

胃液が20リットルも回収できたそうだ。

PCV53%と著増、乳酸値も高い。

開腹しなければ胃破裂するか、状態はもっと悪化するだろう。

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開腹したら、空腸上部に食塊が詰まっていた。

乾いたビートパルプ? 砂が付いた草の根っこ? あるいは・・・・・なんだかわからなかったが、もみほぐして盲腸へと送り込むことができた。

空腸のその部分は、ほとんど変色もないが、少し白くくびれた輪があった。

しかし、回復するだろうと判断した。

次の日、私は休みだったが、何の問題もなく飲水を始め、hand feedingを始め、退院していった。

あわてて、よく噛まないで飲み込むからさ。

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翌々日、実習生達には、「小腸の生存性の評価方法について」講義しておいた。

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子どもの頃、年末に母が家のガスコンロで正月用の鯛を焼いたことがあった。

そう毎年やっていたというわけではなかったけど。

今は電子レンジで10分あまりで焼ける。便利な時代になったものだ。

魚?さばけるよ。だって馬のはらわた修理できるんだからね。

 

 


子牛の第4胃穿孔と腹膜炎

2017-03-03 | 牛、ウシ、丑

2ヶ月齢の黒毛和種子牛が腹囲膨満して、便がでない、食欲不振、とのこと。

開腹したら、腹膜炎で、消化管が腹壁に張り付いていて、第四胃に穿孔が見つかった。

一概に、「牛は丈夫だ」とは言いたくないが、やはり牛は強い。

馬なら・・・腹膜炎でひどいことになり、開腹手術で穿孔が見つかっても予後不良だろう。

この子牛、フィブリンで消化管はあちこち張り付いていたが、腹水はさほど増量もなかった。

牛はやっぱり丈夫だ。

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この月齢の子牛の腸閉塞は、腹膜炎による癒着が多いように思う。

臍からの感染、あるいは4胃穿孔。

この子牛は哺乳ロボットで人工哺乳されていた。

人工哺乳でなければあまりおこらない事故のように思う。

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君たちなんの相談だい?