馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

春の日はもりだくさん

2015-03-20 | 日常

きのうから、早産した虚弱子馬のNICU管理。

神経症状は徐々にひどくなっている。

新生仔脳症neonate encephalopathy は原因療法はほとんどなく、ひたすら看護するしかない。

California州立大のDr.Madiganは、ハゲの薬が効く、と言っているので、これも試す。

それについてはまたいずれ。

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午前中は競走馬の腕節の関節鏡手術。

骨片はかなり小さいが、はっきりとしたchip fracture。

摘出した方が良いのは間違いない。

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子宮穿孔らしい分娩4日目の繁殖雌馬の来院。

発熱が続き、腹水増量、腹水は濁っていたらしい。

消化管穿孔を疑うほどの症状と経過ではない。

それで開腹手術を決断して良い。

推察したとおり子宮角先端の穿孔だった。

予後は良好だと考えている。

子宮の穴を確実に閉じる。腹腔の汚染をできるだけ完全に洗う。ドレインで残る腹膜炎をコントロールする。あとは抗生物質療法だ。

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午後は、競走馬の腕節の関節鏡手術。

橈骨遠位外側関節面、中間手根骨近位の関節面辺縁と関節面そのもの、そして橈側手根骨関節面辺縁。

かわった折れ方ではあるが、骨片を摘出して、あとは休養してもらう。

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10日齢の子馬の下顎骨折。

手術の準備もしておいて診察するが、問題なく哺乳できているし、顎の変形もわずかなので温存することにした。

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夕方、開腹手術後の子宮穿孔馬に高張食塩液2リットルを投与。

ガブガブと水を飲み始めた。

SIRS;Systemic Inflammatory Response Syndrome 、あるいはショックを脱すれば、消化管は問題ないので、腸管から必要な水分を吸収できるはず。

しかし、具合の悪さはただごとではないはず。

寒気だってするだろう。

さっきまでお腹のなかは細菌と白血球だらけだったのだから。

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Wow! What a Ride !!