真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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駄楽ひまなときブログ
行きつけのお店のブログ、下戸なのに。しかも閉めたんだけどね
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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猥褻ネット集団 いかせて!!/素のDMM戦
あ行
/
2018年12月15日
「
猥褻ネット集団 いかせて!!
」(2003/製作:国映株式会社・新東宝映画株式会社/製作協力:Vシアター/配給:新東宝映画/監督:上野俊哉/脚本:高原秀和/脚本協力:大竹朝子・菊池裕美子・吉永由衣/企画:朝倉大介/プロデューサー:衣川仲人・森田一人・増子恭一/協力プロデューサー:岩田治樹/撮影:小西泰正/撮影補:水野泰樹/撮影助手:畠山徹/助監督:大西裕・伊藤一平/編集:酒井正次/ネガ編集:松村由紀/録音:福島音響/タイトル:道川昭/現像:東映ラボ・テック/協力:石川二郎・石川裕・今岡真治・江口啓三・金子尚樹・鎌田義孝・坂本礼・佐々木靖之・重信彰則・新里猛作・女池充・森元修一・レジェンドピクチャーズ/出演:村山紀子・佐々木日記・藍山みなみ・江端英久・蔵内彰夫・星野瑠海・川瀬陽太・高木鈴華・小川美佳・住吉理栄・下元史朗・伊藤猛・高原秀和・きぬた・渋谷ちか・加藤雅弘)。
個人経営の印鑑店「大友印堂」を営む大友寛司(江端)が、イラク戦争のニュースを聞きながら斎藤さんの判子をコリコリ作業。一方的に正義を設定しイラクに侵攻したアメリカの姿に、僕に信じられるものがあるのだらうかと答へは明らかな自問モノローグに続いて、黒地に文字のみで“戦争のある時代に生まれたかつた”。正直、2018年現在の当サイトはこの時点で見るのをやめてしまはうかとも思ひかけたが、気を取り直して練炭の画に、猥褻ではなく発情ネット集団のビデオ題でタイトル・イン。明けて児童公園を窺ふショートカットの背中、別れた夫に強奪された愛娘・真美(渋谷ちか?)に目を細める村山紀子が、ネット掲示板の書き込みを示す黒地クレジットで“誰も私の気持ちをわかつてくれません”。ここで村山紀子といふのは、2001年に寿引退したex.篠原さゆり。今作が復帰作に当たり、以降は国沢☆実2004年第二作「
凌辱の爪跡 裂かれた下着
」(主演:春咲ももか)と、今をときめかない荒木太郎の「映画館シリーズ」第三弾にして最高傑作「
美肌家政婦 指責め濡らして
」(2004/脚本:吉行由実/主演:麻田真夕)に、出てはゐないけれども劇伴を担当。その後再び篠原さゆり名義で、2006年にAV再復帰してゐたのは忘れてゐた。俺が―真美の―母親であると、最早狂気さへ滲ませる元夫の佐野幸雄(川瀬)は、無断で真美に会つた道子(村山)を半殺ししかねない勢ひでボッコボコにする。幸雄がそこまで壊れるに及んだ顛末は、見事に等閑視される。再び道子の書き込みで、“眠れません。永遠に眠りたい”。
配役残り、ピンク初陣の中村和愛最終作「
三十路同窓会 ハメをはずせ!
」(2001)から長足のプログレスを何気に迸らせる星野瑠海は、大友七度目の見合相手・島田宏美、宏美的には四回目。ザクッザク膳を据ゑ一戦こなすや、手の平を返し大友を束の間の天国から、何時も通りの地獄に叩き落す。この宏美が全身性器を思はせるクッソどエロい女で、飛び道具的な豪華四番手の役割を綺麗に果たす。ユメカ妹の佐々木日記は、映画に未練を残すAV監督の柏木(高原)と不倫するAV女優・吉田真美子、半ば自虐的なハンドルが銀幕。大友のハンドルはポップにもハンコで、道子はマリア。ASDの布袋寅泰みたいな蔵内彰夫は、いらつしやいませも満足にいへないレストランのウェイター・松永豊、ハンドルはイノセント。レストラン隊が無駄に豪華で、松永に匙を投げる店主の下元史朗始め、お冷を所望する女池充を起点として、対面の坂本礼と画面奥の今岡真治に手前でスパゲティを食べてゐるのが上野俊哉。松永が背を向ける席には鎌田義孝、a.k.a.絹田良美のきぬたが新たに来店する巨漢女。デビュー作となる藍山みなみは、万引きで得たコスメを、ギャル同級生の美雪と亜美(高木鈴華と小川美佳)に気前よく頒布する女子高生・相川和希、ハンドルはミュウ。問題が、松永の母とされる住吉理栄と、何処のか知らんけど店員役らしい伊藤猛はどうやら切られたらしく、どうにも欠片たりとて見切れない。最後にもしかすると加藤雅弘は、雨の中イノセが配るティッシュを、ただ一人受け取つて呉れる人?
国映大戦
第六戦は、PG誌主催の2003年度ピンク映画ベストテンに於いて、城定秀夫のデビュー作をも押さへ第一位に輝いた、2013年に死去した上野俊哉の最終作。左右も兎も角、騎乗位ともなると画面下半分を黒帯が覆ひ、男優部が完全に消失する出鱈目な修正がビデオ仕様なのか否かは、公開当時故福岡オークラか駅前ロマンで観て以来未見ゆゑ、本篇の記憶が忘却の彼方につき不明。
“みんな死ねばいい”(マリア)、“どこかに消えたい”(銀幕)、“ここぢやないどこか”(イノセント)、“誰かあたしの背中を押してください”(ミュウ)と四人の書き込みを連ねた末に、ハンコが“一緒に死にませんか”。要は大友の店舗兼自宅に集つての、練炭オフといふ趣向。未だ鮮度を失する以前であつたからか、リアルタイムではそれなりの感銘を受けた気もウッスラとは残しつつ、改めてこの期に見てみると大概酷い。クソの一言でぞんざいに片付けたくなるくらゐに、松永のコテハンの途方もない恥づかしさすら霞むほど酷い。五人分の外堀を埋めるには、如何せん厳しい尺なんぞこの際取るに足らない些末。各々が死を望むに至る事情について、それなりにシリアスなマリアと、在り来りの範疇に納まらなくもない銀幕・イノセント・ミュウに関しては生温かく通り過ぎるにせよ、己の人生が偶さか空疎であるからといつて、いふに事欠いて戦争を希求するハンコの度し難い自堕落さが言語道断、一人で勝手に死ねよ役立たず。幾ら高原秀和が書いた脚本とはいへ、“いい人”だとはいはれ続けて来たハンコが、“変な人”であることに自己肯定の活路を見出すゴミ以下の着地点にも唖然とした。
m@stervision大哥は何故か高く評価して
おいでだが、何が“生きてますか”だうるせえよ、ヒュージなお世話だ。死ぬるつもりの男女が、セックロスしてゐる内に翻意する。如何にもピンク映画的かつ、幾許かは確かに人間的でもある展開は、寧ろラスト十五分を延々濡れ場で潰した上で、瞬間的なラスト・カットでシレッと振り逃げる。たとへば大御大・小林悟ならば平然と仕出かしてのけたにさうゐない、人を喰つたぞんざいな作劇の方が、寧ろ相応しいか清々しいやうにも思へる。あるいは、腹立たしい映画を見せ生きて行く力をロストした者を発奮的に再起動させる。とかいふ屈折したかあるいは回りくどく秀逸なコンセプトであつたならば、成功を果たしてゐる芽が万に一つ程度ならあるのかも、シニックにも限度があんだろ。
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