真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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説明無用、日本最強のピンクス。但し、もう建物をお出になられた
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2007年九月で消滅した旧本館より継続して使用中の掲示板です
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駄楽ひまなときブログ
行きつけのお店のブログ、下戸なのに。しかも閉めたんだけどね
ツイッタ
戯れに呟いてみたりもする
友松直之のブログ
友松直之監督のブログ、激しくエモーショナル
影への隠遁Blog
山﨑邦紀監督のブログ
To Live and Die in Tokyo
歴戦のピンクス、キルゴア二等兵氏のブログ
こびりつき映画記
サイボク氏のブログ、ピンク映画に関するエントリー多し
BATTLE BABES HC
SHIN氏のブログ、ピンク映画啓蒙運動も展開中
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自己紹介
福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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痴漢電車 エッチがいつぱい
浜野佐知(的場ちせ)
/
2012年09月17日
「
痴漢体験 くはへる股ぐら
」(昭和63『痴漢電車 エッチがいつぱい』の2012年旧作改題版/企画・製作:《株》旦々舎/配給:新東宝映画/監督:浜野佐知/脚本:山崎邦紀/撮影:下元哲・片山浩/照明:白石宏明・李永光/音楽:藪中博章/原画:中森ばぎ菜/車両:金子高士/助監督:柴原光/編集:金子編集室/撮影協力:KIYO出版/出演:藤沢まりの・秋本ちえみ・山本竜二・鹿島和彦・直平誠・小多魔若史・山崎邦紀・白木麻耶)。出演者中鹿島和彦が、ポスターには鹿島利彦。
ズンドコ適当な、もとい軽快な劇伴に乗せ、エアロビな扮装でバーベルをエッチラオッチラ上げ下げする、藤沢まりののトレーニング風景から流すタイトル・イン。処女を噂される女流ロリコンマンガ家・南野バイブ(藤沢)が、そこそこ混み合ふ電車に揺られる。痴漢暦二十年のエロマンガ家・小多魔若史(現:山本さむ/ヒムセルフ)がバイブの背後から接近、開巻早速電車痴漢を敢行。ひとしきり愉しみパンティの中にまで攻め込むも、最終的にはバイブが常備する安全ピンに撃退される。編集長の北山(山本)以下、真由加(白木)と更に計三名のその他編集者要員が見切れる編集部。シリアスな路線も摸索するバイブと、売り上げ重視で陽性のロリコンマンガ一辺倒の北山の対立を一応挿み、バイブ一旦退場後に、今度は小多魔先生が社内に到着。北山から南野バイブ痴漢体験取材企画の痴漢師依頼を受けると、小多魔若史は本業のマンガではないのに軽く臍を曲げる。既に実は―その人とはこの時点では知らぬ―バイブに刺された左手の甲を撫で撫で、小多魔先生は最近調子が悪いゆゑ、その際には仲間を連れて来ると言明する。実際に未経験のバイブは、コインランドリー店に設置された自販機で買つたエロ本を資料にシコシコ仕事。すると何者からか、結構な大きさの箱一杯に詰められた、大量のバイブがバイブに送り届けられる。日程の逼迫に窮したバイブが、ライバル格の所沢ゴックン(秋本)に救ひを求めたところ、その時当のゴックンはといふと、北村と一戦交へつつこちらもマンガを描いてゐた。現実的には、まづ無理なシークエンスに思へなくもないが。ここは些か判り辛い雑な繋ぎで、続く初夜風のバイブと北山との情事は、臆面もなく北山の夢オチで落としてみせる。
配役残り登場順に、感動的にボサッとした普通ぽさを迸らせる鹿島和彦は、この人は童貞確定のロリコンマンガ家・ライオン丸、何故怪傑もしくは風雲なのかは清々しく不明。そして横道の端役なれど魅力的過ぎる決戦兵器、小多魔先生が連れて来る痴漢仲間・柿沼役で、山崎邦紀大登場。いはゆるイイ顔が二つ並んだ、胡散臭いショットが堪らない。小多魔先生は本義たるバイブの体験取材に赴く前に、柿沼を引き連れ憎き女編集者を懲らしめる。事後立食形式の焼き鳥屋、柿沼が真由加に後ろ髪を引かれる風情を窺はせるのは、枝葉中の枝葉とはいへそこはかとないペーソス漂ふ地味な名場面。直平誠は、成年マンガ誌参入を目し蠢動する、如何にも大手な社名の大日本出版編集者・高浜。先に接触を受けたゴックンは寝た末に「ゴックンしてあげる」のに対し、バイブは飯を食はせて貰ふだけ貰ふと、セクシュアルにも追ひ縋る高浜を下段突きの金的で一蹴。「エロやつてるからつて、甘く見ないでよね!」と啖呵を切るのは、小気味よいナイス・カット。
これで案外少ないともいへるのか、浜野佐知昭和63年全七作中第六作。脚本家・映画監督となる前職はエロ本編集者であつた、山崎邦紀がその経験も活かし活写する女流ロリコンマンガ家を中心に、腰から下の苛烈な攻防戦を描いた一作。ピンク映画てるもの、何れも自動的に腰から下の苛烈な攻防戦を描いてゐるやうな疑問も尤もだが、些末は気にするな。中盤、小多魔若史&山崎邦紀のある意味最強タッグが猛加速するチン騒動の果てに、終盤に至つて漸く、果たしてバイブは、誰にその処女性を捧げるのか、といふ本筋が遅れ馳せながら提出される。北村ではあんまりで、アシスタントを頼んだライオン丸と事に及びかけるものの、何処に入れたらいいのか判らないライオン丸が撃沈、ここでも果たせず。ケロッと割つてみせるが、最終的には「チンチンなんかに頼んない、私はバイブよ!」とバイブがバイブで自ら破瓜を散らすのは、そこだけ切り取れば浜野佐知一流の主体的な女性主義に見える反面、映画全体のバランスとしてはその前段。バイブ宅から敗走したライオン丸を真由加が救済、優しく筆卸す慈愛に満ち満ちた濡れ場に、エモーションの片肺を持つて行かれた感も否めなくはない。徒に浜野佐知の視座に拘泥した牽強付会に囚はれることも、統一的な物語を意固地に求めるでもともになく、手数から豊かな展開を一気呵成に観させる娯楽映画の快作、さういふ評価が、最も相当であるやうに思へる。藤沢まりのと秋本ちえみ、アイドルを二枚並べたビリングのトメに、容姿は若干曲がり気味である点はさて措き、肢体は美しく成熟した白木麻耶が控へる布陣も鉄壁。因みに、今作は豊丸映画の決定版「
豊丸の変態クリニック
」前作に当たるのだが、何といふ充実よと、改めて感嘆させられずにはをれない。
最後に、映画の中身とは全く関係ないが、中森ばぎ菜がのりまつななみあるいは範松那奈美名義で、依然現役である事実には少し驚いた。
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