チムどんどん「明石通信」&「その後」

初孫との明石暮らしを発信してきましたが、孫の海外移住を機に七年で区切りに。現在は逗子に戻って「その後」編のブログです

すっかり変貌してしまった「歩くのが楽しみだった道」

2012-06-30 10:08:21 | 明石風物
6月30日(土)

 明石の私の部屋からKAZU君のお家へ行くには、JRの駅まで線路沿いを数分歩いて、さらに駅の正面から伸びるメインストリートを数分歩くと到着というルート(1㎞弱)が普通なのですが、実は駅を経由しない、地図上では最短ルートになる丘越えの道(600mほど)があります。

  2008年の11月に撮った写真です
  
 ちょっと坂のきつい所や、藪の中の道が細くなっている所もあって、私は勝手に「峠道」と名付けていたのです。
 昼間は問題ありませんが、人通りも少なくて、暗くなると無気味なので、夕方KAZU君のお家から帰る時は、さすがに雨の降っていない4月から9月の陽の長い時期だけしか通りません。そんな道なのですが、とにかく自然が豊かで、海峡の景色も抜群、私のお気に入りの山道でした。
 上の写真は、最初の坂を上って少し下り坂になったところですが、道の先には二つめの上り坂が待っています。

 その二つめ坂を少し上ってから振り返った
  「晩秋の光景」
    

 冬が近くなると、
  赤い実に彩られた木々も
  

 そして坂の上に行けば、
  海峡の眺望はこのとおりです
  

 最後に急坂を下りると、
  目の前がKAZU君のマンションという具合
  

 ところが、二年前の夏の終わりでした。
  坂を上って行くと
  
 なんと、宅地造成で閉ざされてしまったのです。丘陵地といえども駅の真ん前。ひな壇状に家を建てれば、窓やベランダからは明石海峡が一望でしょう。こういうことが起きても仕方ないのかもしれませんが。

 どこまでが造成地になっているのか気になって、KAZU君のマンションのほうから急坂を上ってみると、

  通行止めの線引きは、あの景色の良い所でした
  

 散歩気分で歩くのが楽しみだった場所に入れなくなって、かなりもやもやした気分の中で、何日か後、もう一度坂を上って造成地を覗いてみると、

 あの木々や花が・・・・
  跡形もなくきれいに整地されていました
  
 茶色の土の斜面の先に向こう側の境界があるようで、KAZU君のマンションへ向かって二つめの景色の良い丘が少し残っているのがわかります。

 ということで、造成工事が始まってから一年半ほどの間、来る日も来る日も駅前経由のルートを歩きながら、いつになったら、またあの最短ルートを歩ける日が来るのだろうかとずっと気になっていました。

 そして5月の半ば。久しぶりに逗子から明石に戻って数日後のこと、金環日食の観察で坂を上って行ってみると、なんと通行止めが解除されていました。

  鬱蒼とした「峠道」がきれいな舗装道路に
  
 一時停止の四つ角を右に折れると駅前へ出る道路が整備され、上り下りはあるけれど、駅へ出るのもこの道のほうが少し近そうです。
 実は、今まで私の住まいから駅へは車で抜けることができなかったので、車でKAZU君のマンションへ行くには反対方向から大回りして1.5㎞の距離をかけていたのですが、この道を通ると800mほどになって、その時だけは得をした気分ではあるのですが。
 それはさておき、真っ直ぐ前に目をやると、造成地の向こうに坂道らしきものが見えました。

 かつての「峠道」の二つめの坂道が
  少しだけ残っていました
  

 その坂を上って住宅地を振り返ると、
  わずかにかつての面影が
  

  ほぼ同じ所で撮った2008年秋の写真
  


   口笛に鶯応えし道消えて   弁人


 別に数えたわけではありませんが、一戸建ての邸宅が数十件くらいは建つのでしょうか。関西の中心部への通勤圏内とはいえ、首都圏と比べると不動産の価格は目を見張るほどではなく、どうも、一戸3000万円台で分譲されているようです。
 仮に、4000万で50件として売上額20億円。もしかしたら30億円くらいになるのでしょうか。それにしても、どこのデベロッパーか知りませんが、土地の所有権を得て、山を削って宅地に造成して家を建てて、いったい純利益はどのくらいになるのでしょう。
 たしかに、「開発反対」などというビラや看板なんぞにはお目にかからなかったので、地元の人にとって貴重な自然という感じではなかったのかもしれません。でも、どんなにスムーズに計画が進んだにせよ、売り上げ額の半分くらいを儲けていたとしたら、住宅を買った人は許せないでしょうね。
 その辺のことは皆目見当がつきませんが、切り崩してしまった山は未来永劫元どおりにできないということを考えると、逆に、もしその代償が数億円程度の一時的な利益だったとしたら、今度は人間の了見の狭さが見えるようで、なんとも情けない。

 「後の世代に負の遺産を残さない」と言いながら、原発の再稼働を認めてしまう政治家。そこから生み出される目先の利潤に群がる「原子力村」とかいう所に籍がある村民の方々。やっぱり、皆、先のことなんかどうでもよくて、甘い汁を思うがままに我がモノにしているとしか思えません。

 今の世は、どこも皆同じ構図のようですね。


   窓際の夕焼けに太郎の影見えず   弁人

 (※ この句、テレビの2時間ドラマに興味のない方には、どうもチンプンカンプンのようで)

コメント
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