8月23日(木)
猛暑の中での熱中症対策。投手生命を脅かす投球過多のへの対処。さらに、チケット購入のための長時間にわたる長蛇の列等々。
夏の甲子園大会はグランドの内外で物議を醸しながら進んできましたが。
今や8月の風物詩ともなった大会は、今年も例年どおり、熱狂と興奮を巻き起こしながら、大会の幕を閉じました。
優勝旗も新調された100回大会という記念すべき大会。開会式直後、大会初日の始球式に登場した松井秀喜氏が投球したのが、奇しくも第一試合に登場した出身校の星陵高校の捕手という、なんとも出来すぎのスタート。
そして、決勝戦の後の閉会式に合わせたかのように三塁側アルプス席後方の上空に現れた七色の虹。虹の配色は、一般的に上から赤・橙・黄・緑・青・藍・紫と言われますが、奇しくも赤は大阪桐蔭が手にした真紅の優勝旗の色、反対の紫は準優勝の金足農業のカラーで、テレビの影像を見るだけでも、まさに「天からのメッセージ」と思わざるを得ませんでした。翌日の新聞では、金足農業の地元の秋田でも同じころに虹が架かったそうで、まあ、いくら物議を醸しても、甲子園は甲子園らしくドラマチックに盛り上がって、「どうだ、この100回記念大会!」と叫んでいるような幕の閉じ方でした。
そこで、個人的にこの100回大会を振り返ると、
まずは、二度目の春夏連覇を目標とする大阪桐蔭がどれくらい強いのかという興味でした。
一回戦の相手は栃木の作新学院。スコアは3-1で大差はつきませんでしたが、試合巧者の作新を全く寄せつけずに勝ちました。
まさに大阪桐蔭強しの感。もしこの横綱を倒すとしたら、いったいどこのチームだろうと思っても、横浜高校では今ひとつ歯が立たない感じもするし、金足農業の吉田君にしても、一人で投げ抜く中で準決勝まで当たらないとなると無理っぽい。岡山の創志学園の西君も好投手だが金足農と同様、連投の後の準決勝まで当たりません。平安も打力があって面白そうだが、複数の好投手と強力な打撃力となると、やはり浦和学院か日大三高、あとは愛工大明電と報徳学園の勝者くらいかなという分析でした。いずれにしても、大阪桐蔭とはベスト8まで勝ち上がらないと対戦しないわけで、組み合わせ上、金足農や創志学園だけでなく日大三高も準決勝以降でないと当たりません。
そうなると、ここはひとつ早い段階で浦和学院と当たらないかと期待していたところ、準々決勝でそのとおりの対戦が実現しました。
その注目の試合、中盤まで好ゲームだったのですが、大阪桐蔭6回に集中打で6点取り圧勝。残るは日大三しかないと思いましたが、勢いに乗る金足農に準決勝で敗退、その金足農の吉田君、やはり連投の疲れから力尽き、決勝は大差がつきました。
簡単に言うと、今回の記念大会、横綱格の大阪桐蔭にどこも太刀打ちできなかった一人勝ちの大会と言っても過言ではありません。
とはいえ、大阪桐蔭の試合は6試合ですから、残りの49試合の中に大会を盛り上げるドラマチックなゲームがいくつもあったということになります。
その一番手が金足農業。東北は秋田の代表、農業高校、送りバントを重視するひと昔前の高校野球を彷彿とさせる戦法、九人野球、そしてマウンドに仁王立ちする超高校級の投手と、まさに高校野球ファンをくすぐる要素満載です。
そのチームが奇跡的な逆転劇を経て決勝戦まで勝ち上がったのですから、日本中が興奮の坩堝(るつぼ)と化してしまったとまで感じました。
近江高校と対戦した準々決勝での見事な逆転サヨナラ2ランスクイズ。まさにミラクルと言われていますが、冷静に考えれば、バント多用の金足農業、打席は大会に入ってノーヒットの9番打者、そして、ノーアウト満塁で内野が前進守備を取っていたため二塁走者が大きくリードが取れる状況だったのです。あの場面、実は、近江高校にもう少し冷静さがあれば2ランスクイズは想定できたはずで、そこがちょっと残念でした。
そう考えると、その前の横浜高校戦。2-4で迎えた8回裏の逆転3ランホームランのほうがミラクルだったのかもしれません。なにしろ、打った高橋君、公式戦はおろか練習試合を通じても初めてのホームランだったそうで、それが甲子園のバックスクリーンに入ったのですから。そして圧巻だったのは、最終回の吉田君の三者三振のピッチング。あっけにとられた横浜ナインのここ一番での粘りが見えなかったのも事実ですが、多少のピンチや失点があっても、ここぞという場面での気合の入った全力投球、まさに「快刀(投)乱麻」。20年前の松坂、そしてあのマー君を思い起こさせるピッチングでした。
金足農の試合以外では、やはり二回あったタイブレークに突入した試合でしょうか。
中でも済美高対星陵戦の延長13回の攻防。表に星陵が2点先取の後、裏の済美、ノーアウト1・2塁でセーフティバントが決まった直後に1番矢野君のライトポール直撃の逆転満塁ホームラン。劇的でした。
ただ、この試合は、星陵が序盤からリードを広げ6点差だった8回に済美が猛反撃し8点取って2点逆転したものの、9回に星陵が追いついて延長に入るという大乱戦。最後まで一人で投げ抜いた済美の山口君の投球数は184球に達し、終盤へ入ってからは疲れ果てた表情も見せ、投球過多の物議を起こす一因になりました。
済美高校といえば、かつて今は亡き名将上甲監督のもと、現在広島の福井投手を擁してセンバツ優勝、夏準優勝。5年前には楽天の安楽投手でセンバツ準優勝という実績がありますが、福井投手も然り、安楽投手もセンバツで700球以上の782球投げて、一人の投手で勝ち抜く野球で話題になったりしてきました。
今年の山口投手も一人で投げ抜く気合は十分で、準決勝の大阪桐蔭戦で8回完投5失点で敗退するまで、準々決勝で半分休んだものの、投球数は600球を超え、金足農の吉田投手に次ぐ球数になりました。
さて、その吉田君は延べ881球投げたそうで、今後も投球数制限とか、高校生の投球過多の問題が話題になりそうな感じですから、ぜひ、活発かつ真剣な議論を展開してほしいと思います。
ここは、ブログのつぶやきですから、私見を述べておきましょうか。
〇、個人差があるので、世の中には何連投しても大丈夫な強者もいるかもしれませんが、4~5日間の間に、三回戦・準々決勝・準決勝・決勝の4試合を一人の投手が投げきるのは無理があるし、大丈夫だという表明があっても避けさせるべきです。
〇、トーナメント方式の特性、各チームの選手構成の事情を考えると、複数投手を用意するのを義務づけるのは不可能です。ということは投球数に制限をかけるというのもなかなか難しい。
〇、一人の投手に頼るチームが多い上、一試合を投げ抜くということを考えると、ベスト16以降の試合を休養日を設けながら10日から二週間くらいはかける日程にすべきです。
〇、「国立を目指す」というサッカーでも、国立のピッチに立つのはほんの僅かです。甲子園は日程上二週間くらいが限度ならば、出場校49校(今年は56校)というのは多すぎで、16校で十分です。
〇、全国を16ブロックに分けて1校ずつか、8ブロックに分けて2校ずつ、あるいは4ブロックで4校ずつにすれば16校になり、7月下旬~8月初めにブロック大会を行ないます。もちろん、2ブロックそれぞれ8校ずつというのも可能で、この場合、ブロック大会は東日本大会と西日本大会の二本立てになります。
〇、各県代表制へのこだわりは、各ブロック大会で解消してもらいます。
〇、いずれにしても、まず各都道府県の予選が必要ですが、春の各地方大会終了後の6月ころから土日を使って7月中旬までにブロック大会出場校を決めます。
〇、ブロック大会出場校が各都道府県1校ということはないでしょうから、ブロックの分け方によって、各都道府県の出場校数が決まれば、そこまでのトーナメントが都道府県別の大会となります。
以上、あくまでも私見ですのであしからず。ただ、この考えは今回思いついたわけではありません。
実は、20年前の松坂投手擁する横浜高校とPL学園との死闘、そして明徳義塾戦での逆転劇、それはそれは感動的な場面の連続でしたが、内心「ほんとうはこれではダメかも」と思って、そのころから甲子園の前にブロック大会を入れたらと考えてきました。
今年から導入されたタイブレーク制についても、「もう延長のドラマチックな死闘が見られなくなる」という危惧もありましたが、導入してみれば、それはそれで見応えもありました。
時代は変わります。いつまでも旧態依然としている必要はなく、新時代の高校野球を作り上げるべきかと思いますが、如何なものでしょうか。
猛暑の中での熱中症対策。投手生命を脅かす投球過多のへの対処。さらに、チケット購入のための長時間にわたる長蛇の列等々。
夏の甲子園大会はグランドの内外で物議を醸しながら進んできましたが。
今や8月の風物詩ともなった大会は、今年も例年どおり、熱狂と興奮を巻き起こしながら、大会の幕を閉じました。
優勝旗も新調された100回大会という記念すべき大会。開会式直後、大会初日の始球式に登場した松井秀喜氏が投球したのが、奇しくも第一試合に登場した出身校の星陵高校の捕手という、なんとも出来すぎのスタート。
そして、決勝戦の後の閉会式に合わせたかのように三塁側アルプス席後方の上空に現れた七色の虹。虹の配色は、一般的に上から赤・橙・黄・緑・青・藍・紫と言われますが、奇しくも赤は大阪桐蔭が手にした真紅の優勝旗の色、反対の紫は準優勝の金足農業のカラーで、テレビの影像を見るだけでも、まさに「天からのメッセージ」と思わざるを得ませんでした。翌日の新聞では、金足農業の地元の秋田でも同じころに虹が架かったそうで、まあ、いくら物議を醸しても、甲子園は甲子園らしくドラマチックに盛り上がって、「どうだ、この100回記念大会!」と叫んでいるような幕の閉じ方でした。
そこで、個人的にこの100回大会を振り返ると、
まずは、二度目の春夏連覇を目標とする大阪桐蔭がどれくらい強いのかという興味でした。
一回戦の相手は栃木の作新学院。スコアは3-1で大差はつきませんでしたが、試合巧者の作新を全く寄せつけずに勝ちました。
まさに大阪桐蔭強しの感。もしこの横綱を倒すとしたら、いったいどこのチームだろうと思っても、横浜高校では今ひとつ歯が立たない感じもするし、金足農業の吉田君にしても、一人で投げ抜く中で準決勝まで当たらないとなると無理っぽい。岡山の創志学園の西君も好投手だが金足農と同様、連投の後の準決勝まで当たりません。平安も打力があって面白そうだが、複数の好投手と強力な打撃力となると、やはり浦和学院か日大三高、あとは愛工大明電と報徳学園の勝者くらいかなという分析でした。いずれにしても、大阪桐蔭とはベスト8まで勝ち上がらないと対戦しないわけで、組み合わせ上、金足農や創志学園だけでなく日大三高も準決勝以降でないと当たりません。
そうなると、ここはひとつ早い段階で浦和学院と当たらないかと期待していたところ、準々決勝でそのとおりの対戦が実現しました。
その注目の試合、中盤まで好ゲームだったのですが、大阪桐蔭6回に集中打で6点取り圧勝。残るは日大三しかないと思いましたが、勢いに乗る金足農に準決勝で敗退、その金足農の吉田君、やはり連投の疲れから力尽き、決勝は大差がつきました。
簡単に言うと、今回の記念大会、横綱格の大阪桐蔭にどこも太刀打ちできなかった一人勝ちの大会と言っても過言ではありません。
とはいえ、大阪桐蔭の試合は6試合ですから、残りの49試合の中に大会を盛り上げるドラマチックなゲームがいくつもあったということになります。
その一番手が金足農業。東北は秋田の代表、農業高校、送りバントを重視するひと昔前の高校野球を彷彿とさせる戦法、九人野球、そしてマウンドに仁王立ちする超高校級の投手と、まさに高校野球ファンをくすぐる要素満載です。
そのチームが奇跡的な逆転劇を経て決勝戦まで勝ち上がったのですから、日本中が興奮の坩堝(るつぼ)と化してしまったとまで感じました。
近江高校と対戦した準々決勝での見事な逆転サヨナラ2ランスクイズ。まさにミラクルと言われていますが、冷静に考えれば、バント多用の金足農業、打席は大会に入ってノーヒットの9番打者、そして、ノーアウト満塁で内野が前進守備を取っていたため二塁走者が大きくリードが取れる状況だったのです。あの場面、実は、近江高校にもう少し冷静さがあれば2ランスクイズは想定できたはずで、そこがちょっと残念でした。
そう考えると、その前の横浜高校戦。2-4で迎えた8回裏の逆転3ランホームランのほうがミラクルだったのかもしれません。なにしろ、打った高橋君、公式戦はおろか練習試合を通じても初めてのホームランだったそうで、それが甲子園のバックスクリーンに入ったのですから。そして圧巻だったのは、最終回の吉田君の三者三振のピッチング。あっけにとられた横浜ナインのここ一番での粘りが見えなかったのも事実ですが、多少のピンチや失点があっても、ここぞという場面での気合の入った全力投球、まさに「快刀(投)乱麻」。20年前の松坂、そしてあのマー君を思い起こさせるピッチングでした。
金足農の試合以外では、やはり二回あったタイブレークに突入した試合でしょうか。
中でも済美高対星陵戦の延長13回の攻防。表に星陵が2点先取の後、裏の済美、ノーアウト1・2塁でセーフティバントが決まった直後に1番矢野君のライトポール直撃の逆転満塁ホームラン。劇的でした。
ただ、この試合は、星陵が序盤からリードを広げ6点差だった8回に済美が猛反撃し8点取って2点逆転したものの、9回に星陵が追いついて延長に入るという大乱戦。最後まで一人で投げ抜いた済美の山口君の投球数は184球に達し、終盤へ入ってからは疲れ果てた表情も見せ、投球過多の物議を起こす一因になりました。
済美高校といえば、かつて今は亡き名将上甲監督のもと、現在広島の福井投手を擁してセンバツ優勝、夏準優勝。5年前には楽天の安楽投手でセンバツ準優勝という実績がありますが、福井投手も然り、安楽投手もセンバツで700球以上の782球投げて、一人の投手で勝ち抜く野球で話題になったりしてきました。
今年の山口投手も一人で投げ抜く気合は十分で、準決勝の大阪桐蔭戦で8回完投5失点で敗退するまで、準々決勝で半分休んだものの、投球数は600球を超え、金足農の吉田投手に次ぐ球数になりました。
さて、その吉田君は延べ881球投げたそうで、今後も投球数制限とか、高校生の投球過多の問題が話題になりそうな感じですから、ぜひ、活発かつ真剣な議論を展開してほしいと思います。
ここは、ブログのつぶやきですから、私見を述べておきましょうか。
〇、個人差があるので、世の中には何連投しても大丈夫な強者もいるかもしれませんが、4~5日間の間に、三回戦・準々決勝・準決勝・決勝の4試合を一人の投手が投げきるのは無理があるし、大丈夫だという表明があっても避けさせるべきです。
〇、トーナメント方式の特性、各チームの選手構成の事情を考えると、複数投手を用意するのを義務づけるのは不可能です。ということは投球数に制限をかけるというのもなかなか難しい。
〇、一人の投手に頼るチームが多い上、一試合を投げ抜くということを考えると、ベスト16以降の試合を休養日を設けながら10日から二週間くらいはかける日程にすべきです。
〇、「国立を目指す」というサッカーでも、国立のピッチに立つのはほんの僅かです。甲子園は日程上二週間くらいが限度ならば、出場校49校(今年は56校)というのは多すぎで、16校で十分です。
〇、全国を16ブロックに分けて1校ずつか、8ブロックに分けて2校ずつ、あるいは4ブロックで4校ずつにすれば16校になり、7月下旬~8月初めにブロック大会を行ないます。もちろん、2ブロックそれぞれ8校ずつというのも可能で、この場合、ブロック大会は東日本大会と西日本大会の二本立てになります。
〇、各県代表制へのこだわりは、各ブロック大会で解消してもらいます。
〇、いずれにしても、まず各都道府県の予選が必要ですが、春の各地方大会終了後の6月ころから土日を使って7月中旬までにブロック大会出場校を決めます。
〇、ブロック大会出場校が各都道府県1校ということはないでしょうから、ブロックの分け方によって、各都道府県の出場校数が決まれば、そこまでのトーナメントが都道府県別の大会となります。
以上、あくまでも私見ですのであしからず。ただ、この考えは今回思いついたわけではありません。
実は、20年前の松坂投手擁する横浜高校とPL学園との死闘、そして明徳義塾戦での逆転劇、それはそれは感動的な場面の連続でしたが、内心「ほんとうはこれではダメかも」と思って、そのころから甲子園の前にブロック大会を入れたらと考えてきました。
今年から導入されたタイブレーク制についても、「もう延長のドラマチックな死闘が見られなくなる」という危惧もありましたが、導入してみれば、それはそれで見応えもありました。
時代は変わります。いつまでも旧態依然としている必要はなく、新時代の高校野球を作り上げるべきかと思いますが、如何なものでしょうか。