12月30日(金)
出雲・伊勢ともに大会新記録で優勝し、三冠に王手をかけている駒沢大学。どう見ても優勝候補の筆頭です。
出雲の6人が大会新でほぼ完璧に走った後、伊勢は1名入れ換えて3名加えた8人でしたが、加わったうちの2人が区間1位。この8人も一人のブレーキもなく走り切り、従来の大会新記録を4分半近くも更新。2位~4位の国学院・青山・順天堂も大会新でしたが、2位以下に3分以上の差をつけての圧勝でした。
その強力な駒沢の三冠を阻むとすれば、やはり青山学院が最有力です。
なにしろ前回の箱根の勝ちっぷりが完璧で、周囲から「すごい記録」と称賛された青学自らの二年前のタイム(10時間45分台)をさらに1分40秒更新し、10時間43分台の記録を打ち立てましたので。その上、そのメンバーには4年生が2人しかいませんでしたから、今年は8人残っているわけですが、その中の一人は、出雲で区間6位で走ったものの、故障もないのに今回はエントリーされなかったという選手層の厚さです。
※(私が小学生の頃、叔父がラジオにかじりついて聞いていましたが、その頃は、片道6時間、往復で12時間が目安だったのです。
初めて12時間を切ったのは1960年。黄金期の中央大でした。それから30数年後の1994年に、山梨学院が10時間59分と、ついに11時間切りを果たしたのですが、次に11時間を切ったのは、なんと17年後の2011年。早稲田でした。
この頃からのレベルアップは凄まじく、その後、前回までの11年間では、ほとんど(9回)が10時間台でしたが、10時間50分を切ったのは3回で、なんと3回とも青山学院です)
そんなに強い二校なら、箱根で青学が勝った時の2位は駒沢で、出雲と伊勢で駒沢が勝った時の2位は青学かというと、実はそうではないのです。
駅伝の怖さというか難しさというか、そこに面白味もあるのですが、前回の箱根の2位は順天堂で、駒沢は3位。その駒沢が圧勝した出雲と伊勢の2位はともに国学院で、青学は4位・3位に甘んじています。
そうなのです、駅伝はランナー全員がきちんと走ってくれればいいのですが、それがなかなか難しいのです。
前回の箱根。駒沢は往路の3区で誤算、4区も今一つだった上、8区に起用した故障上がりの主力が失速しました。一方の青学も、今年の出雲と伊勢では計算どおりのタイムを大きく下回った選手が二人ずつ出てしまいました。
はたして、青山学院が二年連続で、駒沢大が三大会連続で、全員が取りこぼしなくベストに近い走りができるかどうか。なにしろ箱根は10人で、前回の青学のように行くのは珍しいことなのですから。
もしどちらかのチームから失速気味のランナーが出れば、もう一方のチームの独走になるかもしれません。いずれにしても、この二校に計算外のことが起こらないと、他の大学が優勝争いに加わるのはかなり難しい。
でも、いくらご贔屓のチームがあるからといって、そんなことを期待したりするのはいけません。ここは、やはり正々堂々と戦って、どこかで優勝候補のランナーを慌てさせる場面を作って活路を見出すしかありません。
と、かすかな期待をしているわけですが、その資格を得るには、やはり10人全員がベストに近いタイムで走り、総合タイム「10時間50分」を切らないと無理かもしれません。したがって、失速気味のランナーが一人でも出てしまうと、その時点で望み薄になってしまいます。
そこで、もしかしたら優勝候補の二校を慌てさせられるかもしれない、そんな可能性のある大学を挙げるとすれば、
ここでご登場。筆頭は、私の応援する国学院。なんといっても、出雲、伊勢ともに準優勝ですからね。ちなみに、昨年の青学も、出雲2位、伊勢2位の後に箱根で圧勝しているという都合のよいデータもありまして。
あと有力なのは、昨年準優勝の順天堂くらいでしょうか。
他にも、中央大、東京国際、創価大、東洋大も上位と評されていますが、10人の選手層ということになると、往路中心の配置とならざるを得ず、見せ場は作れるかもしれませんが、優勝争いに食い込んでくるのは難しいと思っています。
まあ、そんなふうに見立てているのですが、昨日の夕方、各チームの区間エントリーが発表されました。
もっとも、当日変更(往路復路それぞれ4名以内・計6名まで)ができるので、青学も駒沢も出走するはずの選手が3~4名補欠に回っています。あと、駅伝ファン注目の、順天堂三浦君、中央の吉井大和君、東京国際のビンセント君も現段階では隠れています。
東京国際は、2区に日本人エースの丹所君をエントリーしてここは確定。4区にムセンビ君の名がありますが、もしビンセント君が故障から回復していれば、交代枠の3区に入るのか、ムセンビ君と入れ代わるのか、いずれにしても往路は強そうです
順天堂は、1・2区が偵察メンバーっぽく、3区に伊豫田君が入っているので、前回2区で今一つの感だった三浦君は1区で飛び出す覚悟なのかもしれません。
中央は、2・3区が入れ代わりそう。吉居大和君、前回1区で飛び出すも2区で後退したことを教訓に、今年は2区なのかもしれませんが、4区が弟の駿恭君なので、3区で先頭に出て、兄弟での襷渡しをという算段かもしれません。
ところで箱根駅伝。復路での逆転は、過去のデータでは3割ちょっとですから、どのチームも、まずは往路を制したいと思うでしょう。優勝候補の大学も全力で来ますし、最低でもシード権という大学も、まずは往路優勝を目指します。
ということで、今年の往路はかなり熾烈な争いになる予感があって、目が離せない展開になるはずです。
さて、その往路を制するには。
よく「花の2区」と言われ、2区にはエースを置くのが常道ですが、「山の神」と呼ばれる選手が登場して以来、5区での逆転、そうでなくとも、山上りでタイムが大きく上下する状況があって、最近は5区に主力を置かないと往路を制することができなくなっています。
私の母校の国学院も、今のように上位に食い込んでくるようになったのは、4大会前、当時主将で現旭化成の土方君の2年連続2区での好走もありましたが、もう一人の韋駄天、現富士通の浦野君が5区を区間新記録で駆け上がり、往路3位に入り、次の年も区間新で2位になったのがきっかけにもなっています。
ところが、前回(今年1月)。
前述したとおり、中央の吉居君が一区を区間新でぶっちぎったのですが、2区で失速、結局往路6位。
そして、駒沢。エース田沢君が2区で快走しトップに立つも、3・4区振るわず、5区で挽回も3位まで。
一方、往路を制した青学は、2区を終わって駒沢と1分差を、3区の一年生太田君がひっくり返し、その後も後続を引き離しフィニッシュ。
そういえば、前々回(2021年97回大会)、創価大が往路を制した時、4区の嶋津君でトップに立ちました。そのまま復路もがんばって、9区を終えた時点でも3分半くらいリードしていましたが、最後の一人が失速して惜しくも総合優勝を逃しました。
実は、振り返ると、この年を含めて、95回から3年連続、4区でトップに立った大学が往路を制していて、どうも、往路を制するには「2・5区も大事だが、3・4区で先頭に」という思惑が生まれつつあるように思います。
そんなこともあって、つい、駒沢の3区、青学の4区は誰が走るのかと考えてしまうのですが、そんなことより大事なことがあるじゃないですか。
そうなんですよ、「あわよくば二強を食わん」とする国学院です。主力何人かが補欠になっていますが、「1区は〇〇が、2区には〇〇が入り、〇〇が〇区だろう」と、8~90%くらいの確信を以てオーダーを予想しながら、自らを戒めるように、「結果は神のみぞ知る。年越しの夢は大きく!」と気分を高揚させています。
「いざ、出陣」
願はくは 兎年の始め 跳び跳ねむ 弁人