チムどんどん「明石通信」&「その後」

初孫との明石暮らしを発信してきましたが、孫の海外移住を機に七年で区切りに。現在は逗子に戻って「その後」編のブログです

暑さやわらいで、広島へ行けるかな

2024-09-16 11:06:10 | 身辺雑記
9月16日(休)

 彼岸入りも間近なのに、連日30度を軽々と超える真夏日。たまに外へ出ても10分ほど歩けば、汗だくへとへとになってしまいます。
 9月も半ばになれば、少しは過ごしやすくなってくれるだろうと高を括っていましたが、あに図らんや。


   彼岸前亜熱帯の風意気盛ん  弁人


 実はカープファンの私、今はほとんど家にいるので、開幕以来ほぼ全ての試合をテレビ観戦しているわけですが、たまには球場に足を運びたいと思うことしきり。
 東京ドームや横浜スタジアムは混んでいますが、神宮のヤクルト戦なら入りやすいかもしれません。でも、やっぱりビジターよりも本拠地広島の「ズムスタ」に行きたいという思いが強くなります。
 たしかに、明石にいる時は、毎年一回はマツダスタジアムに足を運んでいましたが、逗子からだとちょっと遠くてプランが立てづらく、コロナ禍なんかも経て実現ししないままです。後期高齢者、人生の先も見えているというのに。
 
 ということで、生きている間にもう一回くらいは行っておきたいと、

 一念発起し、
  チケットを手配
   

 問題はお天気。まあ、多少の雨は我慢するとしても、いわゆる「瀬戸の夕凪」、ナイターといえども猛暑日だったりして「熱中症で行き倒れ」なんて、笑い話では済みませんので、ひたすら秋雨前線の南下を待ち望む日々。

 ところで、今年のカープは現在Aクラスにいて、一応優勝争いに加わっていますが、とにかく得点能力が低く、チーム本塁打なんて、12球団ダントツ最下位の50本。なんと、あのオオタニ君一人のホームラン数と競り合っているという体たらく。守備力と投手力でなんとか勝ちを拾っているに過ぎません。
 その守備力と投手力に少しでもほころびが出ると弱いのなんのって、9月に入った時は首位だったのに、その後3勝10敗と貯金を7つも減らし、4位のベイスターズに尻を突っつかれている始末です。

 でも、開幕以来、結果はあまり期待していませんでしたし、仮に日本シリーズに出たとしても、今年のソフトバンクには敵いそうもありませんので、ここはひとまず「マツダスタジアムでカープの試合が見られればよし」ということにして、秋風の到来を待つことにします。


   秋暑し鯉滝つぼに沈みをり  弁人


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「酷暑の8月」、身動き取れないままで

2024-09-01 10:34:55 | 身辺雑記
9月1日(日)

 地球温暖化もここまでくると呆れます。
 高齢者はエアコンの下でじっとしているしかないようで。


   暑熱順化や無駄骨に空見上ぐ  弁人


 そんな中、
☆ お盆休みの11日

 東京の孫二人が遊びにやって来まして、

 CHUMUちゃん
  「はい、ポーズ!」
   


 三泊して14日に
  東京へ帰りました
  


   閑かさ一入野分去りしがごと  弁人


☆ 19日(月)

 二ヶ月ぶりに電車に乗りました。
  といっても、大船ですが、
  

 「暑気払い」と称して、旧交を温める会がありまして。

 実は、6月末にモバイルスイカのチャージができなくなりまして、どうもスマホが古くてバージョンアップが必要とのこと。それには機種変更しかないようなので、その手続きをしたのですが、新機種が手元に来たのが7月20日。その時は世の中すでに猛暑に見舞われておりまして、たまの外出ももっぱら車に頼っていましたので。

 さて、長いこと迷走した台風10号、まだ浜松の沖のほうに停滞しているようですが、今日はもう月が変わっています。いつまでも「暑い、暑い」と愚痴をこぼしているうちに時はどんどん経って行ってしまいます。


   潰しても袋満杯ビール缶  弁人



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2024年7月のフォト・ピクチャー

2024-08-01 13:21:47 | 身辺雑記
8月1日(木)

☆ 9日(火)
 高校野球神奈川県大会。車で大船へ買い物に出た折に、ちょっと覗いてみようかなと、

  藤沢八部球場
  

 まだ梅雨空ですが、なんとも蒸し暑い。風通しの良いスタンド上段で振り向くと、

 どんよりとした雲の下に
  夏の黒っぽい富士
  


☆ 11日(木)
 さて、いよいよお目当てのチーム登場

  追浜の横須賀スタジアム
  

 県立高同士の対戦とはいえ、相手の藤沢西高は攻守ともに充実したなかなか手ごわいチーム。
 互角の戦いも5回表に横須賀高校が先取点を取り、「これは、今年も初戦突破か」と思いきや、
 試合が動いたとたん、これぞまさに「一気呵成」。堰を切ったかのように得点が入り、

  あっという間にコールド負け
  


   夏の夢 怒涛の攻めに泡と消え  弁人


☆ 22日(月)
 横浜市港南区の「リュウゼツラン」が話題になっているので、カメラを手に行ってみました。

 市営地下鉄「上永谷駅」近くの
  環状2号線の緑地帯に
  

 数十年に一度、枯れる寸前に突然背丈を伸ばして花を咲かせるという話を聞くと、つい「見ておこう」という気になりますが、
 十数年前の東京の浜離宮、近くは、5年前の鎌倉手広の青蓮寺でも見ましたから、

  これが三本目となります
  


   夏空へ老いてすくすく竜舌蘭  弁人


 「いやー、暑かった」この日の横浜の最高気温は36.3℃ということですが、灼熱の日差しの下、体感では40℃くらいあるんじゃないかと。
 駅前にあるヨーカ堂の店内のベンチに避難したものの、しばらく動けず、これに懲りて、翌日から外出を控えたまま八月になりました。


   エアコンと酷暑の空を睨みけり  弁人


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「最近のフォト・ピクチャー」~(2024年6月・その2)

2024-07-01 11:05:20 | 身辺雑記

7月1日(月)

 

☆ 13日(木)

 文京区「あじさい祭」

  白山神社

   

  

  

  

   下町の鎮守の庭の額の花  弁人

 

 同日午後は「小石川東京大学植物園」に

  ハナショウブ

   

  ミズカンナ

  

  サルスベリの巨木

  

  温室に

  ミッキーマウスツリー

  

  ゲンペイ(カズラ)クサギ

  

 

    花の園 蚊を払ひつつひと休み  弁人

  

☆ 17日(月)

  我が家のアガパンサス~その1

  

 

☆ 23日(日)

  アガパンサス~その2

  

 

    ひととせが巡り今年の梅雨の花  弁人

 

 

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「最近のフォト・ピクチャー」~(2024年6月初旬)

2024-06-17 15:50:34 | 身辺雑記

6月17日(月)

 

☆ 1日(土)

 (「コロナ」が収まり、5年ぶりに保護者以外の観覧が可能になった)、東京の孫の運動会

  

 2年CHUMUちゃん、「40メートル走」

  

 6年KANA君の「100メートル走」

  

 

   赤白帽に紛るる孫の運動会  弁人

 

 

☆ 7日(金)

  鎌倉は海蔵寺にて花散歩

 

  この季節は、やはり「アジサイ」

  

  「シモツケソウ」

  

  「イワタバコ」

  

 

   西日差す花も眩しき古寺の庭  弁人

 

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「最近のフォト・ピクチャー」~(2024年5月)

2024-05-31 11:28:15 | 身辺雑記

5月31日(金)

 

 ☆ 12日(日)

 「関東インカレ陸上」(国立競技場)

  2部ハーフマラソン

  

   1位 パトリック君(上武大)

   2位 太田蒼生君 (青山学院)

   3位 高山豪起君 (国学院)

 

 午後になると、競技場の楕円形の空に

  次々と飛行機が

  

 2020年から始まった、いわゆる「羽田新ルート」の着陸機。都心の上空を通過するので、その是非が問われるも、コロナ明けの今や、まさにひっきりなしの感。

 

 ☆ 21日(火)

  お隣さんの「サツキ」

  

  我が家の「オダマキ」

  

 

   初夏の香や

     隣家(となり)と(うち)とそれぞれに  弁人

 

 ☆ 25日(土)

 横須賀高校野球部ОB、グランドに集うは

  皆50歳~60歳・そして75歳の私

  

 

   汗拭ふ かつての球児もいい親爺  弁人

 

  去り難き、打ち上げの後

  

 

 ☆ 26日(日)

  紫陽花、開花

  

 今年は5~6輪咲きそうな気配の

  アガパンサスのつぼみ

  

 

   草花に「暑熱順化」を促さる  弁人

 

 ☆ 30日(木)

 今年も逗子の花火大会は

  ベランダから

  

  

 

   海の香も添へて打ち上ぐ花火かな  弁人

 

 

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9月に入っても「真夏日」が続きそうな気配の中で

2023-09-02 15:46:20 | 身辺雑記
9月2日(土)

 いくら猛暑の夏と言ったって、もう9月に入って、三週間もすれば秋分です。炎天下とはいえ、日陰も少し長くなって、明け方にはエアコンを切ってもなんとかなりそうな感じもします。

 昨日、横須賀のスーパーの屋上から海を眺めると、
  抜けるような青空
  

 南方海上にいる台風から流れて来る南風で雲が飛ばされちゃったのでしょうか、気温は30度以上の「真夏日」ですが、まさに「天高し」です。

 車の外はうんざりする暑さと覚悟しながら、久しぶりに海でも眺めてみようかと、観音崎のほうへ行ってみました。

 「たたら浜」から
  房総半島を
  


   海峡は空のみが秋 拭う汗  弁人


 天気予報によると、今月中旬頃までは真夏日が続き、11月頃まで気温が高めで推移しそうとのこと。出雲駅伝は10月9日ですが、暑さの中でのレースにならないか心配です。

 ところで、「暑かった夏」といえば、

 まず浮かぶのが2010年。
 明石へ行って二回目の夏でした。8月はすべて「真夏日」で、特に8月下旬から9月上旬の残暑が厳しかった。
 当時二歳だったKAZU君を迎えに、夕方保育園へ歩いて向かう道の大西日、地獄のような暑さでした。

 アルバムに、大蔵海岸で海水浴を楽しんだ時の写真がありました。
  なつかしい
  
   

 ちなみに、気象観測地点のデータを開くと、明石の月平均気温の高かったランクの一位はこの年の8月と1994年の8月が「29.1℃」で並んでいて、今年8月の「28.7℃は3位になっています。
 何でもかんでも今年が一番というわけではないのですね。

 今、明石の記録の中に「1994年」というのが出てきましたが、この年の夏も暑かった。もう30年近くも前になりますが、思い出は鮮明です。

 ということで、暑い夏の次の思い出は1994年の8月です。
 当時、娘(KAZU君のお母さん)が大学生で札幌におりまして、夏休み入っても涼しい北海道へ妻君と息子(KANA君のパパ)の三人で出向き、定山渓、小樽、ルスツ、洞爺湖を回る家族旅行をしました。最後はレンタカーを札幌で返し、千歳から飛行機で帰って来たのですが、最終日の札幌の気温、なんと観測史上最高の「36.2℃」だったのです。
 お昼はサッポロラーメンと話していたのですが、当時の札幌、暖房には事欠かずとも、夏場の飲食店にエアコンなど考えられない時代、開いたままの暖簾の先のドアーを見るだけで汗が吹き出る感じになり、店に入れませんでした。

 実は、この1994年8月7日の札幌の最高気温、29年間破られなかったのです。その間ずっと「あの日の札幌はとんでもなく暑かったなあ」と思い続けてきたのですが、10日ほど前の8月23日の夕方、「札幌で36.3℃、なんと観測史上最高の気温を記録」というニュースが流れました。
 思い出の日の珍記録が塗り替えられ、ちょっと残念な気持ちにもなりますが、年々温暖化が進んでいる中、こんな長いこと破られなかったこと自体不思議で、2023年の記録的な猛暑の中で、8月23日は記憶に残る日になりそうです。

 さて、観音崎からの帰り道。走水の丘から、
  横須賀の町と富士
  


   西に富士待ち遠しきや秋彼岸  弁人


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猛暑に涼を・・、風鈴は「焼け石に水」でしょうか

2023-07-19 15:39:27 | 身辺雑記
7月19日(水)

 梅雨明けの発表が出ていないに、ここ何日かの猛暑、呆れますね。

 あまりの暑さに、外に出る気力なんぞ萎え失せて、エアコンの効いた部屋でおとなしくしていますが、今日は少し暑さがやわらいだ感じがしないでもありません。

 四六時中世話になっているエアコンも少しは休ませなくてはと、今朝は一時スイッチを切ってみました。
 窓を開くと、南風が流れ込んで来ましたが、ドライヤーの温風のようです。

 テレビに映る川崎大師の風鈴市の光景を見ながら、「そうだ、我が家にもたしか風鈴があったはず」と、戸棚の中を探してみると、ありました。

 木箱に入った
  姫路の「明珍風鈴」
  

 東京の下町で育ったもので、風鈴と言えば、まず丸いガラス製の「江戸風鈴」が浮かんできますが、澄んだ音色ということになると、やはり南部風鈴のような鉄製のほうに軍配が上がりそうです。
 姫路の「明珍風鈴」については、2009年の4月末の記事で紹介してあるのですが、明珍の火箸の素材は鋳鉄より硬い鋼(はがね)ですから、より澄んだ音色と言ってもいいのかもしれません。

  吊り下げてみました
  

 短冊には、「只許清風到(ただ清風の到るを許す)」とありました。

 やはり、風鈴ですから「音」が聞こえないと風情は伝わりませんよね。
 さてと、動画をYouTubeにアップして貼り付けてみましたが、どうでしょうかね。




   風温しも明珍火箸の澄みし音  弁人


 そんな風情もやはり一時。動画をパソコンに移していると、首筋に汗がにじんで来まして、温度計に目を遣ると30度を越えていました。
 涼をとったつもりも、ほぼ1時間で再びエアコンのお世話に。今晩、少し涼しかったら、澄んだ音色に清風を感じながらうとうとしてみましょうか。


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我が家の「アガパンサス」、今年は一本のみでしたが。

2023-07-06 15:13:26 | 身辺雑記
7月6日(木)

 たしか、まだコロナが流行する前の秋に、お隣さんから株分けしていただいた我が家の「アガパンサス」。
 翌年、3本の茎が伸びてきて、きれいに咲きました。
 その時、ふっと、保育園からの帰り道での「あっ、おじいちゃんの好きな花やで」というKAZU君の声。そんな明石での初夏の思い出が蘇ってきて感無量でした。

 一昨年は4本、去年は6本と順調に数が増えていたのに、咲いた後の切り方。秋の株の手入れ等々、後始末がよろしくなかったのでしょうか、今年は茎が1本しか見えず、そのうち数本にと思っていたのですが、

 結局1本のままでした。
  「つぼみ」(6月1日)
  

  開き加減に(4日)
  

  いよいよでしょうか(6日)
  

 なんとも上品な佇まいで、1本でも文句は言えません。

  咲き始めました(11日)
  

 このくらいの時期がいちばんきれいなのかもしれません。


   一陣の風や紫君子蘭  弁人


 10日後の21日。まだ全部開いていないのに、初めに開いた花が
  もう、しぼみ始めています
  

 昨年、この状態になったのは7月に入ってからでしたから、やはり今年の花暦は10日から二週間ほど早くなっています。

 花が終わって種を作る際にエネルギーを要して株が弱るんだそうで、去年は7月半ばに茎を切りましたが、今年もそろそろかなと数日ぶりに近くに行くと、

 7月5日の昨日。あらまあ、もう、
  種、作っちゃっています
  


   何ゆゑに梅雨明け前の急ぎ足  弁人


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紫陽花を愛でながら、「雑感」一つ二つ

2023-06-21 15:08:40 | 身辺雑記
6月21日(水)

 紫陽花の季節。今年も
  ずいぶん撮りました
  

 歳時記の「紫陽花」を見ると、他に「七変化」とか「四葩(よひら)」とか「額の花」とかいう別名が載っていて、その歳時記を参考にしながら、前回の記事に、こんな駄句を載せましたが、

 「田の里や耳にせせらぎ目に四葩」

 紫陽花は花びら(実は花弁ではなく「顎片」)が4枚であるところから「よひら」と言い、「四片」を「四葩」と、格調のありそうな漢字を当てたのだと思います。

 なるほど、ポピュラーな紫陽花は、花びら(顎片)が4枚です。

  いわゆる「ホンアジサイ」
  

  「ガクアジサイ」
  

 この「ガクアジサイ」が日本古来の紫陽花で、上の「ホンアジサイ」は西洋で品種改良されて逆輸入されたものとかですが、それはともかく、この鮮やかな色合いから「和歌の世界でもけっこう歌われてきたのだろうな」と思いきや、万葉集にわずか二首載っているだけで、古今集以降の「八代集」には一首も入っていないそうです。

 万葉集にある貴重な二首のうちの一つは、

「言問はむ木すら紫陽花
  諸弟(もろと)らが練りのらんとにあざむかへけり」
という家持の相聞歌で、前後の歌を並べないと意味がよく読み取れないのですが、
 大雑把に言えば、
(普段は物静かな私とはいえ、色の変わりやすい紫陽花ではありせんが、たとえ嘘でも「あなたが私に恋をしている」と言われたら、本気になってしまいますよ。いいですよね)
くらいの意味です。

 やはり、紫陽花は「七変化」とも言われ、色が変化しやすく移り気というイメージが強くて、歌の世界では疎んじられていたのかもしれません。

 他にはないのかなと調べると、平安後期に二首ありました。出典は異なりますが、藤原俊成とその子定家が一首ずつ詠んでいます。

「夏もなほ心は尽きぬ
 あじさゐのよひらの露に月もすみけり」(俊成)
(夏だってしみじみとした趣を感じるものがある。紫陽花の花びらの上の水滴に月影が光っていたりして)

「あじさゐの下葉にすだく蛍をば
   よひらの数の添ふかとぞ見る」(定家)
(夕暮れに紫陽花の葉の下に蛍が光り出すと、花びらの数が増えたかのように見える)

 二首ともに「よひら」の語が入っていますが、歌の中心は「月」と「蛍」で、紫陽花は引き立て役に甘んじている感じです。

 伝統的にマイナスのイメージの強かった紫陽花ということで、和歌の世界では、あまり好まれなかったようですが、近代に入って、新しい俳句が詠まれるようになると、そんなイメージも薄くなって、

 ここでは「四葩」を季語とした俳句を挙げてみます。

「湯の滝の飛沫を浴びて四葩咲く」(今泉貞鳳)

「鍛冶の火を浴びて四葩の静かかな」(富安風生)

「老境や四葩を映す水の底」(三橋鷹女)

 華やかな色合いとは裏腹に、心静まる風情があって、気分が落ち着きます。

 まあ、紫陽花が「鮮やかで美しい」というイメージでとらえられるようになったのは、丸くて玉のような、より見映えのする「ホンアジサイ」が多くなったのも一因でしょうが、品種改良によって、さらに見応えのある園芸種がたくさん登場してきたことも要因なのかもしれません。
 ふと目に留まって、「この紫陽花、上品で格別」と思ってよく見ると、花びらが4枚でなく八重咲だったりします。

  八重「ガクアジサイ」
  

  八重「ホンアジサイ」
  

 こんな華やかな花がここかしこに咲いてくれると、梅雨の長雨時の鬱陶しさも、思わず吹き飛んでしまいます。
 紫陽花が現代人に愛される花になっているのも頷けます。

 ということで、紫陽花には一重の四葩と八重の園芸種があると認識して、それでは「カシワバアジサイ」はどうかなと、私のお気に入りの花を見に行くと、

  八重でした
  

 いつもの散歩道には、他にも二か所咲いているので行ってみると、やはり八重。
 「そうか、もともとカシワバアジサイは八重なのかな」と思っていたら、そんなことはありまおんせん。

 見つけました。
  四葩の「カシワバアジサイ」
  


   四葩.八重.本.額.柏それぞれに  弁人


 ところで、「ガクアジサイ」の「ガク」、漢字では「額」で、小さな花の周りを四葩の「顎」が「額縁」のように囲っているからだそうです。したがって、「額の花」といえば「ガクアジサイ」のこととなります。
 でも、丸い「ホンアジサイ」も花びらに見えるのは「顎」ですから、もし「顎の花」という言い方があるとすれば、それは「ガクアジサイ」だけでなく、紫陽花全般のことを指すことになりそうです。

 かつて、明石の図書館で「アジサイの花に見えるところは花びらではなく顎である」ということを知って以来、「顎」という語が頭にこびりついて、「ガクアジサイ」は「顎紫陽花」で、自分は「額紫陽花」とは書きたくないと思ってきたのですが、この認識、違っていたようです。
 思いつきからくる固定観念。注意しないといけません。


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