10月19日(土)
やりましたよ、国学院、優勝ですよ。
確かに、混戦といえば混戦。4位で襷を受けたアンカー主将の土方君、ゴール手前700mでトップの駒澤大学の中村大聖君をとらえてそのままゴール。2位駒沢とのタイム差は8秒でした。
残り200m。勝利確信?の表情で
快走する土方君
アンカーの快走映ゆる秋夕焼 弁人
ラグビーのジャパンもすごいですが、こっちだって。なんとまあ、優勝インタビューの壇上に
上がっちゃいましたから
マイク来て勝利を叫ぶ柿日和 弁人
勝負事は、「資質・能力」と「努力」と「気力」。この三つが充実すれば強いのです。
ラグビーのジャパンが良いお手本で、アイルランドやスコットランドに勝ったのは「奇跡」でも「番狂わせ」でもないのです。人一倍の努力があったはずだし、ぜったいに負けないという気力にも満ちていました。国学院の駅伝チームも同じなのです。出雲は6人です。三強がいようが四強がいようが、6人の総合力では引けを取らないレベルだと信じていましたから。
出雲駅伝は全国の大会です。各地区から選抜された大学が出場しますが、今年、北海道・東北・北信越は特筆すべき大学がなかったからでしょうか、混合の選抜チームでした。あと、関東から10校、東海2校、関西3校、中国四国・九州各1校に米国アイビーリーグ選抜を加えた21チームが出場。関東の10校は、箱根駅伝の予選会と重なるため、例年、前回の箱根駅伝のシード校が選抜されることになっています。
国学院が7年ぶり3回目の出雲ということは、今回を含めて、まだ箱根駅伝でのシード権獲得が3回しかないということです。まあ、初めて箱根駅伝に出たのが18年前の2001年ですから、毎年、この時期は箱根の予選会に精一杯で、そのぶん、出雲にはあまり縁がなかったというわけです。
そんな国学院に3年前に入ってきて、チーム力を高めてきた立役者がキャプテンの土方君とエースの浦野君でしょうか。二人とも一昨年あたりから頭角を現しはじめ、この二人に引っ張られるように好タイムを記録した青木君も加わり、このトリオが3年生だった昨年は、伊勢の全日本駅伝でも正月の箱根駅伝でもシード権を獲得、ほぼ自動的に出雲駅伝の出場権をも手に入れました。
今年に入って、2年生の藤木君と島崎君が急成長、双子の新入生中西兄弟も好タイムを出しチーム力の底上げも順調の中、関東インカレや全日本インカレで、浦野・土方を中心に国学院勢が活躍、ようやく一部で「今年の国学院は上位を喰うかも」と囁かれはじめていたところだったのです。
さあ駅伝応援です。まずは県道28号、1区8.0㎞の6㎞地点へ。
北海道学連選抜、札幌学院の
グレ選手が独走
第一工業大の選手に遅れて、
注目の3位集団が
秋虹へ駅伝ランナー走り去る 弁人
次は2区です。国学院は1年生の中西大翔君で、なんとしても声を掛けなければと、5.8㎞区間の3.7㎞地点の沿道へ向かいましたが、午前中に経路と駐車場所の下見をしていたのに間に合いませんでした。
小回りの利く軽自動車で裏道も使って行ったのですが、白バイに先導されて行くランナーはとにかく早い。二・三回信号待ちをしている間に何百メートルも進んじゃうのですから。
これでは、次の3区も危ないかもしれない。予定では、8.5㎞の4.7㎞地点の西代橋を渡って下る所なのですが。
ガードレールもない農道を通って近くまで行きましたが、一・二分遅かった。2区に向かっていなければ余裕だったのですが。
でも、見えました。200mほど先の坂道を下って行くテレビ中継車が。そして、その後ろに3人のランナー。
「先頭、国学院のユニフォームだ。あと緑と白、青学と駒沢かな。ウラノがトップか」
「あれ、本当にウラノ君だよな、駅伝で国学院がトップに立った記憶ないし、やったあ!、すごーい!!」
と思わず叫んでしまいました。
「そんなことは実況を聴いていればわかるはず」とお思いかもしれませんが、実は、テレビの音声もラジオも聴いていませんでした。
レンタカーにカーナビは付いていましたが、ワンセグは入ってなく、ラジオ放送も実況の局がよくわからないのです。大会要項を開くと、FM山陰が後援とあったので、それに合わせていたところ、中継はしてくれせんでした。同じように、後援の中にニッポン放送とあるのに、実況は文化放送だったらしく、まったく、わけがわからないまま観戦に入ってしまったのです。
もちろん、スマホにラジコは入っていて、文化放送だって聴けたはずなのですが、伊勢の駅伝だって愛知三重の放送局で十分、スマホでエリアフリーなんて使ったことはなかったし、だいたい、FMで実況されないとわかったのはスタートした後だったので、ゆっくり操作する時間はもうありませんでした。
さて、次は4区です。ここは8年前と同じ地点にと決めていました。一畑電鉄の美談(みだみ)駅の西500m、6.2㎞区間の4.6㎞地点。
来ました。先頭は
青山と駒沢か
20m後方に国学院と東洋
「行けー!アオキ、頼んだぞ!」
激走を見送る爺と花芒 弁人
100mほど後ろから東海が追っていますが、青木君ならこの区間はこのまま行けそうです。
ただ、気になるのは次の5区。茂原君は6人の中ではタイムがいちばん遅いのです。それに加えて、5区のランナー、青山が竹石君、東海は鬼塚君と一流で、東洋の今西君も速いし、駒沢の中村大成君も侮れません。
正直のところ、「アンカーの土方君に襷が渡る時は5番手で、問題はタイム差。2~30秒差以内に何人いるか、もし二人いれば目標の3着に届くかな」くらいに思いつつ、車に乗り込みました。
最終中継所の島根ワイナリーは駐車場が広そうなのですが、ここでまた欲張って、もしラストが観られなかったら最悪と、ここは時間に余裕を持ってゴールの出雲ドームへ向かうことにして西下。
選手も西に向かって国道431号線を走っていますが、その2~300m南にバイパスが通っていて、そこを進んでいると、右手にまた中継車と選手が見えました。遠くですが、4番手の茂原君の後ろに東海の鬼塚君が迫っているのが見えます。
「あーあ、やっぱり5位になっちゃうのかな」と呟いていると、助手席の妻君が「でも、茂原君とか、がんばっているよ。よく見てごらん、けっこう早いし、追いつかれないんじゃない」と言うのです。そうなんです、茂原君、なかなかの走りなのです。アンカーに土方君が待っているので気持ちが切れないのでしょう、まさに気力です。
そして、どうもそのまま4番手で土方君に襷が渡ったもようでしたが、はたして何人抜けるか、どうにもこうにも状況がつかめないので、「最後まで4位のままでもがっかりするのはやめよう、2位か3位だったらうれしいんだけどな」と思いながらゴール地点に到着し、見通しの良いゴール手前200mの所に陣取りました。
今か今かと、カメラを構えて待っていると、最初に見えてきたランナーのユニフォームが、なんとまあ、びっくり仰天。
「ヒジカタが来た!
優勝だ!」
目の前を走る土方君に「やったあ、ありがとう!」と声を掛けたあとは、もう後続のランナーなんか目に入らず、足は勝手にドームの前庭に向かって走っていました。
土方君の走りを見たのはゴール直前だったので、表情が実に爽やかで微笑んでいるようにも映ったのですが、全力の10㎞走、そんな甘いものではありません。
壇上で思わず見せたこの表情。
ほんとうにお疲れさまでした
思い万感戦い終えて爽やかに 弁人
とまあ、こんなわけで、この何週間、繰り返し繰り返しシュミレーションを重ねてきた夢が現実となったという、まさに感無量、歓喜感激の「出雲駅伝観戦」となりました。
あとは、温泉に浸かって祝杯を挙げるのみ。
特急やくもに乗って、
宍道湖を眺めながら
安来へ向かいました
安来駅からタクシーで宿へ向かうと、湯宿の先のほうの山上にぽつんぽつんと木が立っているのが見えますが、日本五大山城の一つ、
月山富田城の城跡とか
この日は鷺ノ湯温泉で
祝杯を挙げました