川岸に見慣れぬ草が生えている。
つぼみのようだが、これ以上開く気のなさそうな、この黄色い花はキク科の…えーと、ノボロギクかな? と見当をつけて帰り、いそいそと新しい植物図鑑を開く。
あ、違った。ノボロギクは葉っぱがこんなじゃなかった。
でもキク科はキク科だよね…と、そこはけっこう確信があるので、1ページずつめくって丹念に見ていく。
ああ、これこれ。ヤブタバコ属のガンクビソウ。
なるほど、煙草といえばキセルだった時代についた名なんだな、と思う。
紙巻(シガレット)が主流になったのは意外と遅くて、日本では第一次大戦後のことなんだとか。
最近なぜかエラリー・クイーンのミステリーを続けて読んでいるけれど、1930~50年代に書かれた作品には、煙草(葉巻、パイプ、シガレット)を吸うシーンがやたらと出てきて、読んでいるだけで肺の中がもやもやと煙っぽくなってくる。
とにかく男性も女性も、老いも若きも、何かといえば煙草。取り出す、すすめる、火をつける、煙を吐く、吸殻を捨てる、といった描写にかなりの行数が費やされている。
禁煙が進んだ現代だったら、長い会話が続く場面の「箸休め」に煙草が使えないとなると、クイーン氏も間がもたなくてちょっと途方に暮れてしまいそうだ。
コーヒーもお酒も、そんなに何杯も飲めないしね。
えーと、こっち向けたほうがキセルっぽいかな?
もう30年以上ここに住んでいて、季節の植物はかなりよく見ているはずなのに、まだこんな「初めまして」の出会いがある。
ずっとあったのに気づかなかったのか、種子が飛ぶなどして最近やってきたのか。
雁首草の種子は、さわると変にぺたぺたしているから、動物にくっついて運ばれるのかもしれない。
鹿の置き土産だろうか。
ツルボ。そうそう、きみもいたね。
これもヒガンバナと同じく、花の時期には葉がない。
ヒヨドリバナ。山の斜面にも次々と復活中で、大いに喜ばしい。
クサマオ(別名からむし)も、花咲く。
ばさばさと大きくなるだけでなく、切っても切っても、抜いても抜いても、すぐあとから生えてくるという…雑草としてはじつに困ったモノだが、花をアップで見たら意外にきれいで、驚いた。
茎は丈夫な繊維なので、糸に紡いで布を織ったり、よりあわせてロープ代わりにしたりしたそうだ。
古代から、せいぜい明治くらいまでだろうか。
特別に伝承しているところを除けば、どこでも途絶えてしまっている。
本日のにゃんこ。
コマ吉や、そこはマドリのお墓だよ。
この写真を撮った日が、偶然マドちゃんの命日でした。
ここに植えたクチナシの木もずいぶん大きくなった。
コマは元気で長生きするんだよ。
本日の「いいね!」
Underfoot Menagerie
アメリカ、ミシガン州で活動する David Zinn のチョークアート。