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「なまえのないねこ」スペイン語版

2021-02-27 23:09:10 | お知らせ(海外版)

スペイン語版ができました。
"El Gato Que Buscaba Un Nombre"

「名前をさがした猫」という感じのタイトルになっています。
(そうか! 名前の「ない」猫じゃなくて、名前を「さがした」、そして「みつけた」猫なんだ。ポジティブだ! 笑)

これまで、中国や韓国など、アジアで翻訳されることはよくあったのですが、ヨーロッパでは初めて!
スペイン語圏の国は南アメリカに多く、この絵本も、出版社はマドリッドですが、メキシコでの販売に力を入れているそうです。

さてさて、この絵本には「なまえ」がたくさん出てきますので、文章担当としては、どう翻訳されているかが気になります。そこが海外版のたのしみでもあるわけで。


本屋さんの猫「げんた」は、スペイン語版では「ハリー」。児童書で人気があるのは、なんといってもハリー・ポッターだそうで。

パン屋さんの猫「クララとハイジ」は、「ロスキーリャ(ドーナツ形の焼き菓子)とナータ(クリーム)」。お国柄が出ますね。
<追記>
メキシコバージョンでは、「ロスキーリャ」でなく「コンチャ」となっていました。メロンパンによく似たメキシコの菓子パンだそうです。

名前がふたつある喫茶店の猫は「ドニャ・モカ」と「パネーラ」で、これも喫茶店らしい名前に。どちらも女性名です。絵のモデルさんは男子なのだが…ま、いいか(笑)

 

お寺の猫の「じゅげむ」も、翻訳しにくい名前だと思います。
韓国版では「菩薩」でしたが、今回は「ダーマ(達磨)」に。
だるまというと、赤くて丸い張り子の人形を、日本人なら思い浮かべてしまうけれど、もともとはインドの僧で、禅宗の開祖。仏教に結びつく名前ということで。
翻訳の原案には、「心を学び、心を変容させる」みたいな、ちょっと難しいことが書かれていたため、先方と相談して、「いつも静かにすわって考えごとをしている猫」という文章を入れていただくことになりました。この設定はスペイン語版オリジナルです。

そして、もうひとつオリジナル設定になったのが…

(あ、ここからは結末のネタバレになるかな。かまわない方だけ、お読みくださいね)
↓ ↓ ↓

「メロン」です。
日本語の感覚では、メロン色といえば緑のイメージ。ところが、メキシコのメロンは、なんと、オレンジ色なんだそうです。猫の目の色と合わない。さあ、どうしましょう。
ということで、メロンのかわりに「リモン」という名前をもらいました。Limón は、黄色いレモンではなく、日本でいう「ライム」に近いものだそうで、つまりライムグリーン!
ああよかった、ぴったりのものがあって。ここがクリアできなければ、翻訳出版そのものが不可能になりかねないところでした。

翻訳が原文に忠実であることは、もちろん基本中の基本ですし、原作者が翻訳に干渉するのは良いことではありません。ですが、双方のちょっとした工夫で、言語(文化)の相違というハードルを下げ、より多くの子どもたちに親しんでもらえるなら、それに越したことはないと思います。
メキシコのリモンちゃんが、たくさんの人に可愛がってもらえますように!

(そして、今回もお世話になったグーグル翻訳。スペイン語はキーボードからの入力も楽で助かりました…笑)

Limón y Coma.


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