閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

どくだみ

2010-05-05 18:06:16 | 日々
龍馬伝のドラマの最初のほうで
(最初の数回だけ見たのです)
弥太郎の生家の貧しい暮らしが描かれる。
ぼろを着て粗末な小屋に住み、母は縄をなっている。
父は飲んだくれで、いつもお金がない。
子どもたちが空腹を訴えると、母は立ち上がり、
「どォれ、草でも摘んでこようかねェ」
…と表に出て行くのだが、

草?
どんな草?
どうやって食べるの?
七草粥みたいにするのかな?

と、興味を持って見ていたところ、
そこで終わってしまったのでがっかりした。
まあ、お料理番組ではないしね。
脚本を書いた人も、もしかしたら、その先までは
考えていなかったのかもしれない。


かずこさんがベトナムに行ったら、
サラダや生春巻きに「どくだみ」が入っていたそうだ。
あちらでは普通に食べている、と聞いて、驚いた。

薬草や健康茶として使われるのは知っているけれど、
うちではおもに厄介な雑草としか思っていない。
なにしろ個性の強すぎるにおいだから、
あれが野菜の仲間に入るなんて、想像もしなかった。 

草むしりをしていると、そのどくだみがやたらと目につく。
とにかく生命力の強い草で、どこでもどんどん増える。
いくら摘んでも地下茎をのばして増えるので、
駆除するのはたいへん難しい。

食べるの? これを? 生で?

草むらに埋もれてひょろりと伸びた、色の薄い、
見るからに柔らかそうな1本が目についたので、
よーし、チャンスだと思い、
(真似しないでください)
先端の開きかけの小さい若葉をちぎって、
ぱくりと…。

ほお?

まぎれもなく、どくだみ、なのだが、
口に入れてしまうと、不思議に抵抗感が消える。
新芽なので柔らかいし、苦み渋みは意外にない。
かすかな酸味に、ハーブ的な清涼感さえあり、
後味も決してわるいものではない。
ああ、ほんと、食べられるんだ、これ。

鹿や山羊、あるいは原始人ならともかく、
いちおう現代のヒトであるから、
生食可能な「草」というのは、そう多くはないのである。
そのへんのたんぽぽでも、はこべでも、クローバーでも、
(毒はないですから)ためしにかじってみればわかる。
あとは認識の問題。
パセリだって、しそだって、雑草だと言われたら、
こんなもの苦くて食べられないやと思うかもしれない。

どくだみ単品のサラダはちょっと無理そうだけれど、
いろんな野菜の中に少し混じっていれば、
ほどよいアクセントになりそうな気もする。
ソースは何が合うんだろう。
厄介な雑草が、にわかに「食材」の領域に近づく。

とはいえ、さすがに、食卓にのせるのは、ちょっと。
草むしりをしながら、気が向けば、つまんでお味見。
胃腸に良いかもしれない。
おそらく、季節と場所限定。
つぼみがつく頃には、葉もかたくなってしまうだろう。

それにしても、弥太郎のおっ母さんは、
何の草を摘んできたのかなあ。
どくだみでは…ないだろうなあ。
コメント
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