レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

サンドラさんオーサさん

2015-10-10 12:54:15 | 地理
 まえに、日本と異国の比較・出会いを扱ったエッセイマンガを「マンガ」よりも「地理」に含めて言及したので、今回もそうする。

「小顔」って日本ではホメ言葉なんだ!? ドイツ人が驚く日本の「日常」  原作:サンドラ・ヘフェリン 漫画:流水りんこ  KKベストセラーズ

 同じコンビで『満員電車は観光名所(クールジャパン)!?』を読んだ。サンドラさん原作のエッセイマンガは数種類読んだけど、流水りんこさんがいちばん絵がうまい。(「あすかミステリーDX」で『斬る!』を読んだ。濃い絵はあまり好みでなかったけど面白かった)
 この本はドイツ人特化版。なるほど~とか、そうそう、とか、えっそうなの?はたくさんあるけど、一部を書くと、
・「日本人が国内旅行好きなことに驚く。ドイツ人は嫌い。地元愛が強いこと、大昔国内で戦争があったことの名残? 休暇で国内旅行したなんて言ったらダサイと言われる」(「 」は、この本に書いてあったことの要約・引用と思って下さい)
ーーーとはいえ、ドイツ人が国内旅行しないというわけではもちろんない、国内の旅行ガイドだって当然のように出ているし、どこに行ってもドイツ語話す観光客だっている(オーストリアやスイスということはありうるけど)。国内はダサイと思う人々も多数いる、ということなのだろうか。
 過去の国内戦争ならば、日本だって400年まえには盛んにやっていたし、ほんの150年まえにも大きいのがあった。むしろドイツよりも近い時代である。
 日本とは、外国に行くのに海を越えなくてはならないか、陸続きで簡単に行けるかどうかが大きな違いだろう。
(日本だって、韓国や台湾は北海道よりも安く行けるらしいけどね)
・「ドイツ人ビジネスマンが日本人に親近感を持つこと:メールの挨拶が長いこと」
ーーへ~意外!
・「ドイツ人は裸になることに抵抗がない。ちょっと前にイタリアのビーチで全裸で日焼けするドイツ人が警察沙汰に!」
ーー逆のほうが想像しやすいんだけどね、あははは。でも公園のベンチで半裸でころがるのは私も目撃した。日光に対しての飢餓感が北の人々のほうが強いということなのだろうか。 少佐の「脱衣嫌悪症」はかなりの変人扱いされるだろうな。外国にわざわざ旅行しようなんて思わないだろうし。
・「ドイツ人は悪口や批判がネガティブではなくそれが楽しそう。前向き発言ばかりでは頭悪いと思われてしまう。そんなドイツ人がいちばん苦手なタイプはアメリカ的ポジティブ感」
ーーあはははは。kritischということが重んじられるのは知っている。テキストを読むに際しても、疑問を抱いてあたる態度が尊重される。
・満員電車の中で周囲の日本人を観察しているドイツ人が、「あの新聞の折り方はどうなっているのだ!?」「す・・・すごいぞ日本人!!こんな中で複数の事柄をこなす!なんと合理的な!」--これ、すご~くルシウスみたい!「おそるべし平たい顔族!」を連想してしかたない。


北欧女子オーサが見つけた日本の不思議 2  オーサ・イェークストロム  KADOKAWA
 
・笑えて考えさせられたのは、著者の同国人の男性知人が日本のプールで、水泳帽なしで注意されてしまった、でも頭は剃っていて胸毛やすね毛で首から下のほうがずっと毛が生えているのに~~!という不満の話題。ううむ。
・「敬語は苦手?」「スウェーデンにはないからね。昔はあったけど50年前に全部廃止された」「60年代に消えてしまいました。でも最近(略)お客さんに対して「君」よりも丁寧な「あなた」みたいな言葉を使う習慣が復活しているとききました」
ーー「60年代」というのは、よく言われる「68年」の学生運動? ドイツ語の現代語では友人・家族等で使う言葉とそれ以外とで2人称が分かれるけど、スウェーデン語でも同様であった、それが廃止されていま少し復活、ということ?
・「『少女革命ウテナ』の日本語字幕の英語では「さん」「さま」「ちゃん」は全部Missになっていた」ーー『セーラームーン』ドイツ語版では、そういうのはほぼばっさり切り捨てられている。セリフの流れとして無視できない場合、「衛さま」は、koenigliche Hoheit「国王陛下」なんてものものしい言葉になっていた。ほかのアニメで英語訳を見ると、そういう部分は無視しているか、ローマ字でsan, sama, chanなんて書くか。「殿」「御屋形様」はmy Lordになっていた。敬称の訳し方は興味深い。
・『セーラームーン』アニメでオカマのゾイサイトはドイツで女設定になっているが、スウェーデンでも同様らしい。『Crystal』ではオカマではなかったのでそういう変更とは無縁ですむのだろうか。
・スウェーデンで『セーラームーン』アニメは「暴力的」という理由で何度も放送中止になったので、オタクが結束して投書をしまくって再開にこぎつけたという。
・「小顔」がほめ言葉であることに対する違和感はこちらでも描かれている。
・「まえの本が売れたのは、日本人は外国人にどう見られているか興味があるから」--確かに、外国人の目を気にする傾向が強いらしいとは『エロイカ~』にハマリ始めのころ、舞台になった国についてとともに日本人論も読みまくった際にもきいたこと。でも、『北欧女子~』が売れたのは、「わっ、可愛い絵!」が最大の理由だと思う。
 これからも少女マンガ愛を主張して下さい。
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