レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

ボッパルトamRhein

2006-09-13 15:33:09 | ドイツ
 私が初めてドイツに行ったのは、1990年の秋。「ゲーテ・インスティトゥート」(国際的なドイツ語学校でドイツ文化センター。日本では東京・青山と大阪にある)の2ヶ月コースだった。ドイツのあちこちにある学校の中からボッパルトを選んだのは、ボンーーフォン・デム・エーベルバッハ少佐の居住地である当時の首都ーーに近いという理由だった。コースが終わってから帰国までの間にぜひ行こうというつもりで。
 日本のガイドブックにはほとんど載っていないこの町は、ライン河畔、ボンから1時間ほど南下したところにある。日本ふうに言えば、快速か急行まで停車するという程度の駅、ただし駅そのものの規模はかなり小さい。99年夏に再訪した際、キオスクがないということに驚いた。ついでに言えば、私の言った駅の最小3は、ここボッパルト、コインロッカーもなく切符売り場もないに等しかった(自販機は壊れていた)バッハラッハ、無人のようにさえ見えたザンクト・ゴアール。あ、全部ライン河畔だ。もしかすると、観光客はむしろ観光船乗り場のほうを利用するってことかぁ?まさかね。冬場だって人は動くんだから。
 ライン左岸によくあるように、ここもローマに縁があり、城壁のようなものが残っている。博物館のパンフレットには、ローマ兵のコスプレのおっさんたちが載っている。なんの店かわからんけど、撮った写真を見れば、「ローマ人」という名前の看板が見えている。ワインも名物だ。近隣には温泉地らしい名の町もあるし。
 メッテルニヒのお気に入りだった椅子職人、ミヒャエル・トーネットの出身ということで、博物館には展示がある。町はずれにはシーボルトの住んだ家もあるらしい。町のシンボルはゼヴェルス教会。
 しかしいちばんの名物(?)は、町はずれの丘から見えるライン河の湾曲だろう。チェアリフトで上ると、とんでもないほどにぐるりと曲がった河の形ゆえに、対岸の町がまるでぽっかりと円盤のように見えるのだ。
 華やかな見ものがあるわけではないが、こじんまりとして清潔な小さな町ボッパルト。私は格別の思いいれがあるので紹介したい次第である。

 なお、河畔には多くのホテルが立ち並んでいるが、その中にEbertor(イノシシ門)という中級ホテルがある(高級!というほどのところはこの町にはたぶんない)。一部では有名な、エルトヴィレEltvilleの「エーベルバッハ修道院」縁らしい。次の機会にはぜひここに泊まりたい! 

 
 なお、私が留学中(98-99)に得た情報では、「ゲーテ」はボッパルト、プリーン、シュタウフェンの3つの学校の閉鎖を決めた。だからいまはもうボッパルトにはないだろう。 ドイツで買った地域別の旅行ガイド(というかムック本というか)のライン編では、ザンクト・ゴアールスハウゼン(ローレライの岩のある)などよりも星の数が多かったりするので、日本人が知らないよりは国内ではメジャーなのかもしれない。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 駅の発メロ | トップ | 戦争冒険小説にのめった時期 »

コメントを投稿

ドイツ」カテゴリの最新記事