レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

完全版とか愛蔵版

2013-10-06 14:23:29 | マンガ
『動物のお医者さん』は「花とゆめコミックス」(以下HC)12巻をはじめとして、文庫、コンビニ本などいろいろなバージョンで出てきた。私はそれらを何度も買って、手放してきた。
 今回、「愛蔵版」が出るというので、その1、2を買った。全6巻。これはHCの2冊ずつの収録なのだろうか。
 某掲示板では、「カラーがないのでは完全版ではないだろ」「愛蔵版だから」という内容のやりとりがあった。
 そもそも、コミックスの「完全版」という呼び方じたいがヘンなのだと私は思う。では通常のコミックスが不完全だというのか、未収録があったというわけでもなかろうに、と。いつのまにか、「完全版」といえば、本誌掲載時のカラーはカラーで復活させているもの、ということになっている。(あとで描き換えや修正があったものはどうなるのだろう)
 「愛蔵版」の定義もかなりあいまい。私の記憶にある最初の「愛蔵版」は、70年代の『ベルばら』5巻本であり、ハードカバーの立派なもので、値段も小中学生には手を出せない感じであった。あの印象のせいで、後年多く出た、分厚くて紙質のたいしてよくない「愛蔵版」が安っぽく思えてしかたなかった。
 ーーこのへんの話題はまえにも書いたけどかまわずまた書くーー
 今回の「愛蔵版」は、サイズがB6であり、HCや文庫よりも大きい。(ドラマ化の際に出ていた『月刊動物のお医者さん』は本誌と同じB5版だった)
 紙質はたぶんHCよりもいい。
 各話の扉絵が収録されている点が文庫より良い(初期の白泉社文庫は、タイトルページが真っ白の編集だった。話数の多い作品だとかなりの損失である)。
 総合して、やはりこれがいちばんであろう。
 もしかして、いつか「完全版」が出るのだろうか・・・。

 白泉社は「40周年記念」で「愛蔵版シリース続々登場!」ということで、
『愛蔵版 CIPHER』 『櫻の園 完全版』がオビに宣伝が載っている。「愛蔵版」と「完全版」とは区別しているのだろうか。
 マンガそのものをもれなくという意味での完全版を、『忘却シリーズ』『ペパミントスパイ』出してもらいたいものだ。作家が違うけど『天上の愛地上の恋』『マジカル・ダイナマイト・ツアー』も。

 『セーラームーン』が近いうち「完全版」だか「愛蔵版」だかが出るという話である。欲しい気はある・・・しかし既に本棚に持っているという点が『動物のお医者さん』との大きな違い。
 私はこのマンガは、99年にBOでそろえた。そのあと「新装版」が出た。そもそも中古で買ったから状態がたいして良くなくて、買い換えたいのもやまやまだったけどとうとうしなかったのは、ドイツ語訳が旧版準拠だから。あちらで、「新装版」からの出直しなんてあるのだろうか。(※)
 画集の再版があるならば嬉しいのだけど。全5巻のうち、3と5を持っていない。ドイツで出た「廉価版」はそろえてあるけど、各巻の綴じ込みポスターがこれには載ってない。(ドイツでも、「廉価版」でないものの訳も出ていたのだ、念のため。「廉価版」は、5巻を6巻に分ける、ハードカバーでない表紙、作者コメントにページをさかずに各ページ隅っこに入れてある、ポスターなし、という違い)


16年8月10日に付記。
ドイツでもいまは新装版に基づいたバージョンが出ている。過去の版はアメリカ版・フランス版からの重訳であったが、新版は日本語から。誤訳の訂正されている部分も、相変わらず間違っている部分もある。私が見たのはごく一部だけど。別の記事でも言及済み。

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