レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

和歌のカレンダー

2007-01-13 15:51:14 | 
 一昨年の12月、T川のオリオン書房でカレンダーを物色していたら、古今・新古今の歌と日本画風の絵の風流な品が見つかった。その次の年つまり2006年版は万葉集。そして今回は、「詞花和歌集」。古今から新古今までの勅撰の「八大集」の一つ。わりにマイナーな歌が多いようだ(専門家には違うだろうが)。
 これらの品、きれいでためになるスグレモノなのだが、ほかで見たことがない。検索してみたところ、松江の老舗の和菓子の店「風流堂」が出しているもののようだ。
 和歌に限定しなくても、詩歌をあしらったカレンダーならばいくらでも作りようがあるだろうけど、こういうのはもっと広く出回ってほしいものだな。せめて、大学の国文科にくらいは宣伝して。
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『マリみて』のduとSie

2007-01-13 07:41:06 | ドイツ
  先日、ライプチヒの友人Kから小包が届いた。リッタースポーツチョコと、絵葉書と、『マリみて』等の独訳版。コバルトのヒット作、ミッション系のお嬢様学校を舞台にした今野緒雪『マリア様がみてる』はマンガ化もされていて、ドイツではRosen unter Marias Obhut(マリアに護られたバラたち)の題で出ている。 
 ドイツ語には、現代語の場合、2人称が二つある。 du(ドゥー)とSie(ズィー)。duは「親称」、家族、友人、子供・動物・神に対して、学生同士などで使う。Sieはそれ以外、「敬称」「社交称」と呼ばれる。文法を習う際には、Sieに「あなた」、duに「君」「おまえ」とあてておくのがひとまずお約束、目安。もちろん日本語の人称代名詞は無数にあるので、こんなので割り切れないことはわかりきっているのだが。 
 私がドイツ語で小説などを読む際、これらの代名詞がどう使い分けられているかも注目ポイントである。 ローマものを読んだ限り(いや、「ニーベルンゲン」ネタのも)、duしか出てこない。身分立場に関わらずみんなduしか使っていない。(メルヘンにおいてもそうである。王様でも平民でも互いにdu。) 同じ歴史ものでも、氷栗優の『ルートヴィヒ2世』では、du とIhrと Sieが全部出てくる。現代語でihrはduの複数形であるが、大文字で書いたIhrは、少し古い言葉で、duより格が上の言葉。相手が一人しかいないのにこれが出てきたら、昔の言い方と思ってよい。19世紀後半が舞台の話なので、新旧混ぜて使っているのだろうか、ルートヴィヒとシシィくらいの仲ではduで、周囲はたいてい王に対してIhrを使い、ルートヴィヒは、身分があって親しくはない家来には Sie、親しいならばduで呼んでいる。 『セーラームーン』のドイツ語版では、日本語では簡単に使い分けられえる敬称、さん、ちゃん、君、様はほぼばっさりと無視していた。「先輩」も然り。子猫のダイアナが、未来のキングである衛に「衛さま」と呼ぶのだけは、セリフのうえで無視できないものだったので、「国王陛下」なんてものものしい言い方になっていた。 
 で、『マリみて』の場合。原作では、彼女たちは呼び捨てということがまずないのであるが、それでも「さま」「さん」は切り捨てている。祐巳は祥子にただSachikoである。ただ、人称はSieを使っているあたりがやはり普通と違う点。彼女たちが「姉妹」関係を持つようになったら違ってくるのだろうか。どうやら上級生相手にはSieを使っている。たいていの学園ものならばたぶん、先輩後輩関係なくduだろうけど。特殊な学校だからなのだろう、よその生徒を客として迎える場面(柏木優の訪問)でもSieである。
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