レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

『風雲児たち』10巻

2007-01-07 14:32:14 | 新選組
「ふううんじたち」を打ち間違うと「不運時」になる。不運で合ってる人々もけっこういるので言いえて妙である。
 みなもと太郎の大河ギャグ、『風雲児たち 幕末編』の10巻が年末に出た。リイド社はメジャーでないのか、どこの本屋でも置いてあるわけではない。
 幕末以前の部分がいったん終わり、そのあと龍馬を主人公に据えて仕切り直し続編として『雲竜奔馬』が出ていたのだが、『幕末編』スタートとなってから内容がかなりその『雲竜奔馬』とダブるのは大人の事情というものだろうか。
 
 安政の大地震の時、吉原で門を閉めて遊女たちを逃がさずに焼死させたという事件はまえにも出てきた(牢でさえ、火事のときには一時的に囚人を釈放するのが常だったというのに・・・遊女は犯罪者以下かい、と怒りを禁じえない)が、品川台場の件は覚えがない。第二台場は会津藩士たちが警備していたが、宿舎の中が火事になり、しかし空けると近くの火薬庫に引火して大惨事になるので、中の約20人は敢えて見殺しにされたという。こちらはひたすら痛ましい。
 まえの巻で、福沢諭吉が大坂の緒形洪庵のところに弟子入りするときに、手塚良庵も登場している。手塚治虫『陽だまりの樹』で、作者の曽祖父をモデルにした主人公を出しているが、その人。手塚の自画像とそっくりなキャラデザインにしてあるのはもちろんみなもと太郎のギャグ心、おまけに、洪庵に対して「金持ちからは大金をふんだくる天才医師・・・先生をモデルに絵草紙が描けそうな気がする」なんて評させている・・・。
 この福沢は、お調子もので実のある奴、『陽だまりの樹』では、大口をたたき、それを実現するヤツとして描かれていたな。
コメント
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