レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

評伝アンソロジーの提案

2007-01-22 14:33:51 | 歴史
 「新選組アンソロジー」は読んだことがある。新選組を扱った短編小説の傑作選。たぶんほかのテーマでもあるのだろう。
 ふと思った、小説(フィクション)でないもの、評伝やエッセイで、同じ人物ないし事件を紹介したものをいくつも集めた本が出てほしい。児童書、一般書、マニア向け、学者の書いたもの、(クセの強い)作家のもの、お笑いモノ、思いいれの強いもの、シビアなもの、教訓拠り、等々。同じ事実のはずなのに、扱いによってずいぶん違ってくるものだということを読者は学ぶきっかけになるだろう。さらに進めば、書き手の個性を面白がる。
 
 きのう、PHP文庫の新刊『「世界の英雄」がよくわかる本』 を買った。
 明らかに架空である神話伝説のキャラまで入れているあたりはヘンに見える。
 カエサルはもちろん入っているが、アウグストゥスもいる。資料は『皇帝歴代誌』。「まれに見る美男」という形容があったので購入。でも説明にさほどの面白みはない、友・妻など、ロマンのある人間関係について言及がないので。
 カバーイラストの絵(アレクサンドロス、ナポレオン、ジャンヌ)はきれいだけど、中のイラストはそうでもない。どうせならカバーの調子で中も描いてもらいたかった。せめて美貌の主だけでも。肖像のある人物はそれを載せてもよかったのに。
 「世界の」なので、東洋も含んでいる。私の知識が西洋に偏っていることも改めて感じる。

・・・と書いて、ブログに新規投稿しようとしていたら、アマゾンから
残酷世界史血に飢えた悪女たち (単行本)
桐生 操

の宣伝が来た。買わないけどね。立ち読みくらいしてみるかも。
 25年くらいまえ、新書館からこの作家の『ルネサンスの女たち』というシリーズが出ていて、カバーが青池保子で評判だった。女子高の図書館にもあったけどカバーははずされていた。当時読んだのはそこそこ面白いと思ったのだが、いつのまにか、なんか内容薄いんでないか?と感じるようになったのはなぜだろう。作家の筆力が衰えたのか、私の目がうるさくなったせいなのか。少なくとも昔読んだ本を再読してみないことには答は出ない。
 桐生さんの『やんごとなき姫君たちの寝室』で、クレオパトラの宴のエピソードで「1000万セステルティウス」を「約100万円」と説明してあったけど、それは違うだろう。それでは、30万セステルティウス(オクタヴィアヌスがカエサルの秘書ヒルティウスに身売りしたと言われた値段)は3万円になってしまう。オクタの操がそんなに安く見積もられてたまるか!
 --これも、私がこの作家に不信感を抱いてしまった原因である。もろ私情。

26日に付記。
本屋で上述の『残酷世界史』を目にした。単行本っていうけどコンビニ本の装丁だ、既刊からの抜粋だし。
 同じ著者の『処刑台から見た世界史』をめくってみたら、ローマにもけっこうページが割かれている。カリグラやネロやヘリオガバルスその他。ティベリウスに対して、スエトニウスの伝える「淫行」云々を鵜呑みにして書いていることが激しく不愉快。だから、ユリアは「2度離婚」じゃないやい、マルケルスとアグリッパとは死別だぞズサンな! と細かいアラ探しをしたくなる。
コメント
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