晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

NASA版イカロス「NanoSail-D」ミッション失敗

2010年12月12日 | 宇宙開発
NASAは12月7日に射出に成功した「NanoSail-D」の
帆の展開に失敗したと12月11日に発表しました。

Artist's concept of NanoSail-D. Credit: NASA

「NanoSail-D」はFASTSAT衛星のP-POD射出装置
に搭載されていた太陽光推進実験衛星…。


FASTSATは11月19日にアラスカのコディアク基地から
ミノタウルス4ロケットで打ち上げられました。→movie

ミノタウルス4は固体燃料ロケット、FASTSATは「NanoSail-D」の他に
5個の技術試験衛星を搭載しているいわゆるビギーパック衛星。

宇宙開発を先導するNASAとしては、日本のイカロスに先を超されてしまい、
さらに自国の太陽光推進衛星が失敗したということで、正直なところ、心中
穏やかなではない状態と思われます。

NASAは、2008年に同じNanoSail-D宇宙船を発射したが、衛星はロケットの
不調で破壊されたこと。 技術者は発射のためにバックアップ宇宙船を準備
するのに2年を費やしたことを述べています。

失敗の原因は帆の展開方法にあったのかもしれません。
イカロスとは違って、かなりストレートな展開方法のようです。

NanoSail-Dの展開方法はこちら→NanoSail-D
IKAROSの展開方法はこちら→IKAROS1 IKAROS2

これを見るとイカロスの展開方法がいかに研究しつくされたものかがわかります。
さらに、そのイカロスが現在、地球圏外の惑星間軌道を航行していることを考えると
日本の宇宙開発技術が世界トップレベルであることがよく分かります。

「NanoSail-D」はイカロスと同じ太陽光推進衛星ですが、そもそも惑星間飛行を目指した
衛星ではありません。現在、地球周回軌道にいます。70~120日間地球を周回する
ように設計された衛星です。

もちろん太陽光推進の技術試験衛星ではありますが、将来的な目的は
軌道上にある無数のデブリを除去することのようです。→CubeSail

このソーラーセイルで微小のデブリを捕獲して、あとは大気圏に
突入して焼却処分とするそうです。

アイデアとしてはおもしろいのですが、衝突の衝撃で帆が飛散して
さらにデブリを増やすことだけは避けてほしいですね。(笑)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿