それは夜光雲としか思えない不思議な雲だった。
以下、その目撃報告である。
2009年12月1日16時40分、外に出て空を見上げる。
日没から20分が経過しているので1番星が見える頃だ。→blog
見上げると、めずらしく雲ひとつない完璧な快晴であった。
南の空では明るい木星が一段と輝き、西の空高いところには…、
あった、ベガが輝いている。アルタイルとデネブはまだ見えない。
…と、その時、完璧な快晴だと思っていた空に雲がうっすらと見えてきた。
南西の空低いところに、さきほどまでなかった白い雲が見えている。
ん、この光景は何かがおかしい、違和感を感じる…。と直感的に思ったが
間違い探しの絵を見るようで、その答えが見つからない。その時、翼端灯を点灯
させたジェット機が上空を飛んでいった。薄明の空をバックに黒いシルエットが見える。
そうだ、日没後の雲はあかね色から黒へと変化する。この時間に見える
白い雲はおかしい…、夜光雲?、まさか!?、現在の時刻は16時54分、
日没から35分が過ぎている。夜光雲が見え始める時間だ。しかし、ありえない。
日本での目撃報告はない。しかも北半球で夜光雲が見えるのは夏だ。
といことは、昼間、大火球が流れたのだろうか?、とにかく写真を撮らねば、
その時カメラを持っていなかったので、カメラを持っているKさんに撮って
もらった。その時の写真がこれです。

はて?これは何でしょう…、夜光雲の可能性を検証してみましょう。
夜光雲についてはNASAのレポートにあったので一部要約してみました。
Science@NASA(February 18, 2003)
「Strange Clouds(不思議な雲)」
地球大気のへりに沿って静かに移動する青銅色のうすい雲。それが夜光雲だ。
夜光雲が発生する場所は高度80kmの中間圏。そこは温度が-125°まで下がる。
地球上で最も温度が低い場所だ。湿度はサハラ砂漠の1億分の1しかない。
本来なら氷の結晶を発生させるための核となる埃がないので雲はできない。
ある科学者は宇宙からやってくるチリが雲を発生させているのだと言う。
また、ある科学者は地球温暖化が進んでいることの警鐘だとも言う。
その真相はまだ謎である。
〈夜光雲の見つけ方〉
必要なことは待つこと、そしてじっと見ることです。
それ以外の方法はありません。時期は夏の夕方です。
太陽が沈んだ30分後から西の空を眺めてください。
見えている時間は太陽高度が-6度から-16度までの間、
時間にして日没30分後から1時間後までです。もし、その間に
エレクトリック・ブルーに光る巻きひげ状の雲が西の空に見えたら
それが「夜光雲」です。北緯40度以北がよく見える地域です。
〈管理人補足説明〉
対流圏にある雲は高度が15km以下なので、日没30分後には
太陽の光が当たらなくなり色は暗くなる。しかし夜光雲は高度が
80kmもあるので、日没30分後でも太陽光を反射して光って見える。
それが対流圏の雲と夜光雲を見分ける重要なポイントである。(下図参照)

下の写真は北アイルランドで撮影された夜光雲の写真です。

この写真を見ると低層の雲は黒く見えるが、その奥に見える夜光雲が
青白く光っていることが分かります。
さて、今回撮影された写真をもう一度よく見てみましょう。色は薄いが
夜光雲と同じような輝きをしていることが分かります。快晴だったため
低層の雲はありませんが、もしあれば北アイルランドの写真と同じような
景色になったかもしれません。
今回の撮影時刻16時54分の太陽高度を調べてみると、-8°である。
十分夜光雲が見える時間ではあるが、夜光雲以外の可能性を探ってみましょう。
①街明かりの反射
夜に空を見上げると白い雲が見えることがある。それは街明かりを反射して
いるからだ。今回も街明かりが単に雲を照らしていたのでは、と仮定する。
しかし、この雲は空が暗くなると同時に見えなくなったので街明かりの反射では
ないことが分かる。
②真珠母雲の可能性
真珠母雲は高度50km付近にできる雲で、彩雲のように虹色に輝くきれいな現象が
見られる。これは日本でも見られることがあるのだが、今回の雲の色はまさに
エレクトリック・ブルーであった。しかし真珠母雲ではないと断言はできない。
可能性はある。
③大火球による夜光雲状の雲
大火球後にできる夜光雲は最近よく報告される現象である。→blog

スーダンは北緯20°、コロラド州の緯度は北緯37°である。北緯40°以下でも
発生していること、さらに発生時期がコロラド州は11月18日、スーダン隕石は
10月7日と季節を限定したものではないことから、今回仙台で目撃された夜光雲状の
ものは火球によるものと考えるのが可能性としては一番高いかもしれません。
ひょっとしたら気づかないだけで、日本でも夜光雲はかなりの頻度で…
発生しているのかもしれませんね。
以下、その目撃報告である。
2009年12月1日16時40分、外に出て空を見上げる。
日没から20分が経過しているので1番星が見える頃だ。→blog
見上げると、めずらしく雲ひとつない完璧な快晴であった。
南の空では明るい木星が一段と輝き、西の空高いところには…、
あった、ベガが輝いている。アルタイルとデネブはまだ見えない。
…と、その時、完璧な快晴だと思っていた空に雲がうっすらと見えてきた。
南西の空低いところに、さきほどまでなかった白い雲が見えている。
ん、この光景は何かがおかしい、違和感を感じる…。と直感的に思ったが
間違い探しの絵を見るようで、その答えが見つからない。その時、翼端灯を点灯
させたジェット機が上空を飛んでいった。薄明の空をバックに黒いシルエットが見える。
そうだ、日没後の雲はあかね色から黒へと変化する。この時間に見える
白い雲はおかしい…、夜光雲?、まさか!?、現在の時刻は16時54分、
日没から35分が過ぎている。夜光雲が見え始める時間だ。しかし、ありえない。
日本での目撃報告はない。しかも北半球で夜光雲が見えるのは夏だ。
といことは、昼間、大火球が流れたのだろうか?、とにかく写真を撮らねば、
その時カメラを持っていなかったので、カメラを持っているKさんに撮って
もらった。その時の写真がこれです。

はて?これは何でしょう…、夜光雲の可能性を検証してみましょう。
夜光雲についてはNASAのレポートにあったので一部要約してみました。
Science@NASA(February 18, 2003)
「Strange Clouds(不思議な雲)」
地球大気のへりに沿って静かに移動する青銅色のうすい雲。それが夜光雲だ。
夜光雲が発生する場所は高度80kmの中間圏。そこは温度が-125°まで下がる。
地球上で最も温度が低い場所だ。湿度はサハラ砂漠の1億分の1しかない。
本来なら氷の結晶を発生させるための核となる埃がないので雲はできない。
ある科学者は宇宙からやってくるチリが雲を発生させているのだと言う。
また、ある科学者は地球温暖化が進んでいることの警鐘だとも言う。
その真相はまだ謎である。
〈夜光雲の見つけ方〉
必要なことは待つこと、そしてじっと見ることです。
それ以外の方法はありません。時期は夏の夕方です。
太陽が沈んだ30分後から西の空を眺めてください。
見えている時間は太陽高度が-6度から-16度までの間、
時間にして日没30分後から1時間後までです。もし、その間に
エレクトリック・ブルーに光る巻きひげ状の雲が西の空に見えたら
それが「夜光雲」です。北緯40度以北がよく見える地域です。
〈管理人補足説明〉
対流圏にある雲は高度が15km以下なので、日没30分後には
太陽の光が当たらなくなり色は暗くなる。しかし夜光雲は高度が
80kmもあるので、日没30分後でも太陽光を反射して光って見える。
それが対流圏の雲と夜光雲を見分ける重要なポイントである。(下図参照)

下の写真は北アイルランドで撮影された夜光雲の写真です。

この写真を見ると低層の雲は黒く見えるが、その奥に見える夜光雲が
青白く光っていることが分かります。
さて、今回撮影された写真をもう一度よく見てみましょう。色は薄いが
夜光雲と同じような輝きをしていることが分かります。快晴だったため
低層の雲はありませんが、もしあれば北アイルランドの写真と同じような
景色になったかもしれません。
今回の撮影時刻16時54分の太陽高度を調べてみると、-8°である。
十分夜光雲が見える時間ではあるが、夜光雲以外の可能性を探ってみましょう。
①街明かりの反射
夜に空を見上げると白い雲が見えることがある。それは街明かりを反射して
いるからだ。今回も街明かりが単に雲を照らしていたのでは、と仮定する。
しかし、この雲は空が暗くなると同時に見えなくなったので街明かりの反射では
ないことが分かる。
②真珠母雲の可能性
真珠母雲は高度50km付近にできる雲で、彩雲のように虹色に輝くきれいな現象が
見られる。これは日本でも見られることがあるのだが、今回の雲の色はまさに
エレクトリック・ブルーであった。しかし真珠母雲ではないと断言はできない。
可能性はある。
③大火球による夜光雲状の雲
大火球後にできる夜光雲は最近よく報告される現象である。→blog

スーダンは北緯20°、コロラド州の緯度は北緯37°である。北緯40°以下でも
発生していること、さらに発生時期がコロラド州は11月18日、スーダン隕石は
10月7日と季節を限定したものではないことから、今回仙台で目撃された夜光雲状の
ものは火球によるものと考えるのが可能性としては一番高いかもしれません。
ひょっとしたら気づかないだけで、日本でも夜光雲はかなりの頻度で…
発生しているのかもしれませんね。