Con Gas, Sin Hielo

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今年の37作(1位→37位)

2024年01月07日 20時41分03秒 | 映画(2023)
興行成績上位をアニメが占めるのは当たり前の時代になり、邦高洋低の傾向はアメコミヒーロー作品の低調からますます顕著になった。シリーズもの、過去のコンテンツの前日譚ばかりが作られ、オリジナルの良作にお目に掛かれるのが難しくなる中で、がんばっていたのはA24とアカデミー賞で健闘したいくつかの作品にとどまった。観た本数は2022年に比べて微増となったが、時間はあるけど観たい作品がないということが多かったように思う。技術力は格段に上がっているはずなのにどうしてこうなってしまうのか、製作側はいま一度考えるときに来ている。

1.「スパイダーマン:アクロスザスパイダーバース」(7月6日)

おもしろかったけど、正直なところ1位にふさわしいとは思っていない。はじめに観たときは途中で寝落ちしてしまって、再度観に行ったくらい。ただ、スピード感のあるポップな画調にマルチバースの複雑な事象を絡めながら、しっかりとスパイダーマンの肝を押さえ洗練されたストーリーになっている点は評価が高い。

2.「RRR」(1月13日)

本来はこちらが1位なのだろうけど、世の中的には前の年の作品なので1位にするのをためらってしまった。娯楽を極めてたどり着いた境地。両雄が並び立つ画ががっちりとハマる。ナートゥはもうご存知でしょう。

3.「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」(12月16日)

そこはかとなく不安感が漂う現代に、同じような混沌にありながら未来への希望を信じて懸命に生きてきた時代の物語が訴えかけてくる。背負ったものが重く大切なものだから、鬼太郎は何度でも私たちの前に現れる。

4.「ザスーパーマリオブラザーズムービー」(5月3日)

日本のキャラクターの映画化は失敗することが多いが、任天堂全面バックアップの元で稀に見る成功を成し遂げてみせた。タッグを組んだのがIlluminationだったのも成功の一因と思われる。

5.「ザクリエイター/創造者」(11月4日)

見かけは大作なのに興行は地味(米国が完全悪役だから?)。でもオリジナルで挑む近未来ものはやはりおもしろい。渡辺謙、いい役やってました。

6.「テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR」(11月3日)

世界で最も影響力のある女性・第5位。このポリコレ全盛時に白人として頂点に君臨する彼女の、才能と努力が結集した記録映画である。

7.「アフターサン」 (6月1日)

無邪気な娘と複雑な思いを抱える父親。二人の絆は強いけれど、時折流れる不穏な空気に心が乱れる。同性愛者の話として描かれるが、その中に押し込めるのがもったいないくらい繊細さが光る作品。

8.「ゴジラ-1.0」(12月1日)

山崎貴監督が、得意のデジタル映像技術に練り込まれたストーリーを盛り込むことで、北米でも大ヒットを記録。「マイナス1.0」という響きも新鮮で良かった。

9.「ザホエール」(4月16日)

B.フレイザーがオスカーを戴冠。苦労人が報われた美談と、失意から過食症になってしまった主人公という立ち位置が絶妙にシンクロする。

10.「フェイブルマンズ」(3月11日)

S.スピルバーグ監督の自叙伝的作品。映画に目覚める過程が生き生きと描かれる一方で、時代背景として存在した人種問題も扱われた。好きなことを仕事にすることも大変だ。

11.「ドミノ」(10月28日)

題名からはどんな映画か分からなかったが、実はドミノは物語のカギを握る娘の名前。多重構造的なストーリーの組み立てと観ている者を騙す映像のトリックは見応えあり。

12.「怪物」(6月3日)

いまや巨匠となり世界的にもブランドとして成り立つ是枝裕和監督の最新作は、現代にマッチした同性愛のテイストも加わり更に強力に。

13.「Pearl パール」(7月27日)

2023年のインパクト大賞はエンディングのパールの笑顔。M.ゴスって日本語でも相当強い響きだけど、外国ではどうなんだろう。

14.「人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした。」(11月9日)

井浦新がこんな癒し系の俳優になれるとは意外だった。今の生活で詰んだとしても、新しい未来が開けることがあると思えば下を向く必要はない。

15.「シャザム!~神々の怒り~」(4月1日)

見た目は大人、頭脳は子供という特徴を持つヒーロー。いろいろと話の発展が考えられそうな中で、前作から数年が経過してしまい中身の子供がハイティーンになってしまった。それなりにおもしろかったけど、次作を作るとしたら完全に大人になってしまうから実現は難しそう。

16.「ジョンウィック:コンセクエンス」(9月30日)

シリーズ最終作にして初めて劇場で鑑賞。K.リーブスはまだまだアクションの主役としてやっていけるだろう。次のヒット作の誕生を期待する。

17.「ミッション:インポッシブル/デッドレコニングPART ONE」(7月29日)

前年のトップガンの大ヒットに比べると、こちらはやや期待外れの結果に。崖からバイクで飛んだり、真っ逆さまになった車両にぶら下がったり、相変わらず超人的なアクションを生身で演じているのだが、観ている方はもう慣れてしまったのか?

18.「マイエレメント」(8月10日)

不調が続くディズニー(+ピクサー)の中で、出だしは低調ながら口コミ効果で徐々に興収を回復する異例の結果に。

19.「交換ウソ日記」(8月1日)

日本の子役は比較的順調に育っていくケースが多いが、誰しもどこかで年相応の役柄を演じる俳優にシフトしていくことが求められる。桜田ひよりの2023年はドラマやCMの起用が着々と増えた一年だった。

20.「ガーディアンズオブギャラクシー:VOLUME3」(5月13日)

凶暴なアライグマ・ロケットが主役の物語ながら、本人は序盤で瀕死の重傷を負いリアルタイムの出番は極めて少ない。シリーズ最終作として、ガーディアンズが消滅するのか主人公がいなくなるのか気を揉んだが、ひとまず納得の大団円。

21.「生きる LIVING」(4月1日)

命短し恋せよ乙女。人は生きた証として、何をもって自分の人生に折り合いをつけるのか。かつてのクロサワの名画は、カズオイシグロを通して世界的に共通する価値観だということを証明した。

22.「逆転のトライアングル」(2月23日)

インパクトという点では「Pearl パール」に迫る。上から下から大噴射の地獄絵図。

23.「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」(11月30日)

2作めも安定したノリ。埼玉人は40年以上前からタモリ等にディスられてきた歴史があるから余裕だけど、滋賀県人はどうだろう。とび太くんが全国区になってうれしいのかも。

24.「ザフラッシュ」(6月25日)

E.ミラーは挙行が問題。本作は、超高速移動の能力を時空を超える話にすり替えていることが問題。もっと単純に見せてもおもしろいと思うんだけど。

25.「インディジョーンズと運命のダイヤル」(7月7日)

老体にムチ打って出演したH.フォードにとっては残念な興行成績に終わる。ハン・ソロもはじめの3部作で終わっている方が良かった説があるし、何事も引き際は難しい。

26.「イニシェリン島の精霊」(2月2日)

退屈で未来が見えない離島生活。考えるだけで滅入ってくるが、そこで勃発するかつての親友どうしの諍いは救いのないどろどろの展開に。

27.「エブリシングエブリウェアオールアットワンス」(3月9日)

賞レースの勝者は時代が選ぶ。細かく分析すればいろいろあるのだろうけど、本作が作品賞というのは、2023年でなければなかったんじゃないかな。

28.「マーベルズ」(11月19日)

「マーベル」の看板を背負いながら一人で作品をけん引する力は持たず。それどころかチームを作っても、MCU史上で最も冴えない成績に。どうする?ニックフューリー。

29.「水は海に向かって流れる」(6月15日)

笑わない広瀬すず。しかも主人公から見て大人のお姉さんという役回りは新鮮。地味な作品で興収が振るわなくても、CM等で人気が安泰な限りはまだまだ挑戦的な役を演じることができる。

30.「オットーという男」(3月18日)

T.ハンクスもすっかりじいさん役を演じる俳優になってしまった。が、本作の売りはそこだけ。もう少し社会的な意義のある映画かと思ったのだけど。

31.「ノック 終末の訪問者」(4月8日)

M.ナイト・シャマラン監督はまだまだ映画を撮ります。と言うために作ってるくらいの価値かな。エッジの効いた作品は他にも結構あるので、このくらいだと埋もれてしまいそう。

32.「アントマン&ワスプ:クアントマニア」(2月22日)

量子世界のイメージが貧困過ぎる。既視感があるので、新フェーズの中心となるヴィランが登場しているのにわくわくしてこない。

33.「1秒先の彼」(7月8日)

台湾でヒットした作品のリメイクということで、宮藤官九郎の世界を味わうつもりで観ると肩透かしを食らうかもしれない。清原果耶はちょっと伸び悩んでいるのか。

34.「君たちはどう生きるか」(9月9日)

前宣伝をしないことが大きな話題となる、巨匠でしかできない作戦で挑んだ本作。宮崎駿監督のファンでもアンチでもない立場からすれば、特に可もなく不可もなく。

35.「M3GAN/ミーガン」(6月17日)

生成AIが流行りもののトップになった2023年だからこそ注目を浴びたホラー(なのかな?)作品。それほど残酷な場面もないし、お人形さんが主役なので「バービー」みたいにお子様でも楽しめそう(PG12)。

36.「しん次元! クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜」(8月5日)

貧乏国ニッポンでは、野原ひろしは勝ち組となり、希望を持てない青年に「がんばれ」と言うようになってしまった。ただ、名探偵コナンと別れて夏興行を主戦場にしたことにより興行的には成功した様子。

37.「ウィッシュ」(12月23日)

2023年は1位の作品を選ぶのが難しかったが、最下位は断トツ。再度言っておくが、これは作品の質ではなく好みの問題。ディズニー創立100周年おめでとうございます。
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