DCは単品勝負でいいのでは?
「意外とおもしろいじゃない」。本作を観てまず思ったのがこの感想である。
最近どうもアメコミヒーローものが、期待し過ぎるせいもあるかもしれないが、物足りなく感じることが多く、DCに至ってはこれまで良かった作品があったか?と思い出すのにひと苦労なくらい良いイメージがない。
だから本作も時間が合わなければスルーでもいいかなと思ったのだが、結果としては観て正解だった。かなりおもしろかった。
何故だろうと考えてみる。
前作「シャザム!」のとき中学生だった主人公のビリーたちは、高校から大学に差し掛かる年代となった。
よって今回は前作以上に青年期ならではの問題が彼らに差し迫る。それは、里子の制度の問題でいつまでも里親の扶養の下で暮らすわけにはいかないという切実な話であったり、一方では、異性のことや趣味のことなど、ヒーローごっこ以上に楽しくて興味がわくものが出てきてしまっているという話であったり。
一応6人のヒーローのリーダーという位置づけにあるビリーは、そもそも自分がヒーローの資質があるかに疑念を持っていることもあり苦悩する。そんな中で地球の(フィラデルフィアの?)危機はすぐそこにまで迫ってきていた。
私は前作の記事で「MCUでいえばスパイダーマンの立ち位置に近いかもしれない」と書いている。わが国の映画興行で、初めて明確に受け入れられたアメコミヒーロー映画は「スパイダーマン」だと思っているが、その魅力は主人公が等身大であることにある。ビリーたちが今回さらにピーターパーカーの年代に近付いて、親近感が増しているのは確かだ。
次は軽さだ。「アイアンマン」、「アントマン」、「ガーディアンズオブギャラクシー」といった辺りの、特に初期の作品は、主人公たちの底辺に軽妙な要素があって、そんな彼らがヒーローになって苦難を乗り越える爽快さがあった。ビリーたちも基本は明るい高校生であり、本作にも敵と対峙する場面で迂闊な失敗をして笑わせるシーンが登場する。
意外にも、この両方の要素を持ったシリーズはDCの中には思いつかない。「見た目は大人 頭脳は子供」という逆名探偵コナンの設定の独自さもさることながら、上の2つの要素を持っているからこそ個人的におもしろく感じるのだろうということを自覚した。
そこで最近のヒーロー映画が何故楽しめないのかという問題に戻ると、これはヒーローものの宿命なのかもしれない。漫画でも連載が長くなるにつれて、どんどん強い敵を出さざるを得なくなるインフレが生じるのと同様で、シリーズを続けるために話が大きくなり深刻になるとともに、親近感や軽妙さが失われていくということかと。
とするとこのシリーズも、DCの近況を見ていると次があるのか怪しいが、続けるかぎりは何らかの設定ですべてをリセットしないかぎりは同じ運命を辿るのかもしれない。
改めて書いておくが、今回は主人公たちの年代や立ち位置、ヴィランキャラクターの規模感(3人めのアンの設定も良かった)など、非常にバランスが取れていて良かったと思う。
(85点)
「意外とおもしろいじゃない」。本作を観てまず思ったのがこの感想である。
最近どうもアメコミヒーローものが、期待し過ぎるせいもあるかもしれないが、物足りなく感じることが多く、DCに至ってはこれまで良かった作品があったか?と思い出すのにひと苦労なくらい良いイメージがない。
だから本作も時間が合わなければスルーでもいいかなと思ったのだが、結果としては観て正解だった。かなりおもしろかった。
何故だろうと考えてみる。
前作「シャザム!」のとき中学生だった主人公のビリーたちは、高校から大学に差し掛かる年代となった。
よって今回は前作以上に青年期ならではの問題が彼らに差し迫る。それは、里子の制度の問題でいつまでも里親の扶養の下で暮らすわけにはいかないという切実な話であったり、一方では、異性のことや趣味のことなど、ヒーローごっこ以上に楽しくて興味がわくものが出てきてしまっているという話であったり。
一応6人のヒーローのリーダーという位置づけにあるビリーは、そもそも自分がヒーローの資質があるかに疑念を持っていることもあり苦悩する。そんな中で地球の(フィラデルフィアの?)危機はすぐそこにまで迫ってきていた。
私は前作の記事で「MCUでいえばスパイダーマンの立ち位置に近いかもしれない」と書いている。わが国の映画興行で、初めて明確に受け入れられたアメコミヒーロー映画は「スパイダーマン」だと思っているが、その魅力は主人公が等身大であることにある。ビリーたちが今回さらにピーターパーカーの年代に近付いて、親近感が増しているのは確かだ。
次は軽さだ。「アイアンマン」、「アントマン」、「ガーディアンズオブギャラクシー」といった辺りの、特に初期の作品は、主人公たちの底辺に軽妙な要素があって、そんな彼らがヒーローになって苦難を乗り越える爽快さがあった。ビリーたちも基本は明るい高校生であり、本作にも敵と対峙する場面で迂闊な失敗をして笑わせるシーンが登場する。
意外にも、この両方の要素を持ったシリーズはDCの中には思いつかない。「見た目は大人 頭脳は子供」という逆名探偵コナンの設定の独自さもさることながら、上の2つの要素を持っているからこそ個人的におもしろく感じるのだろうということを自覚した。
そこで最近のヒーロー映画が何故楽しめないのかという問題に戻ると、これはヒーローものの宿命なのかもしれない。漫画でも連載が長くなるにつれて、どんどん強い敵を出さざるを得なくなるインフレが生じるのと同様で、シリーズを続けるために話が大きくなり深刻になるとともに、親近感や軽妙さが失われていくということかと。
とするとこのシリーズも、DCの近況を見ていると次があるのか怪しいが、続けるかぎりは何らかの設定ですべてをリセットしないかぎりは同じ運命を辿るのかもしれない。
改めて書いておくが、今回は主人公たちの年代や立ち位置、ヴィランキャラクターの規模感(3人めのアンの設定も良かった)など、非常にバランスが取れていて良かったと思う。
(85点)
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