Con Gas, Sin Hielo

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「交換ウソ日記」

2023年08月03日 20時09分23秒 | 映画(2023)
アナログな恋があたたかい。


テレビCMの起用社数ランキングというのが時々話題になる。これは様々なジャンルの名立たる企業が「この人を起用すれば商品が売れる」と判断した結果を積み重ねた、いわばタレントのパワーランキングである。

2023年上半期の女性タレントの上位には、川口春奈、芦田愛菜、今田美桜、永野芽郁、橋本環奈、広瀬すずといった面々が並ぶ。芦田さん以外は20代前半の文句なしに最前線にいる女性たちだ。

しかし世の中が動き続ける中で、彼女たちのすぐ後ろでは、次の最前線を目指しての熾烈なレースが繰り広げられている。上下5歳くらいの年代を塊とすれば、次の世代は現在20歳前後の層となる。

ひとつ上のステージに上がるチャンスをうかがう彼女らにとって、CMやドラマの脇役などと同様に飛躍の舞台の定番となっているのが劇場版の恋愛映画である(もっと広げて学園モノという括りもできるが、映画では不思議と恋愛かヤンキーに限られてしまうので、ここでは言い切ることにする)。

ただこの手の作品は、原作が豊富にあって予算もそれほどかからないからか、かなりの頻度で製作されており、実際にはそれほど印象に残らないということもままある。

そんな中で本作。公開のタイミングが良かったのかもしれないが、興行的に健闘を見せており、各サイトで見るレビューの評価もなかなか高い。

ちょっと見たストーリーもどうなるのか気になるし、「Pearl パール」の後に一転して甘酸っぱいのもいいかもね、ということで観に行ったわけだ(前置きが長い)。

ヒロインは桜田ひより(20歳)。相手役は高橋文哉(22歳)。クレジットは男性が先に出るが、物語の主役は間違いなく桜田演じる黒田さんである。

桜田ひよりは子役のころから見ていたが順調に成長した感じがする。とにかく目の大きさが最初に来るが、その他のパーツも大きく厚みがあるので、何というか大画面負けしない。

高橋文哉は仮面ライダーゼロワンで主役を演じたとのことで、まあさわやかです。少女漫画特有の、女子生徒にキャーキャー言われるモテ男子キャラで、そんなの本当にいるのかね?と思うのだけど、彼であれば人気があること自体に違和感はない。

物語は、移動教室というシステムを使って、モテ男子・瀬戸山くんが同じ机を使っている女子にラブレターを送ったことから始まる。

瀬戸山くんは生徒会長の松本さんに送ったつもりだったのだが、その手紙を受け取った(同じ机を使っていた)女子は黒田さんだった。気づかずに手紙のやりとりを始めた二人。その後もう少しお互いを知るためにノートで日記を交換しようということになり、良い雰囲気になってきたと思ったときに瀬戸山くんのメッセージに「松本」の文字が。

ショックを受けると同時に何とかこの間違いを正さなくてはと思うが、きっかけをつかめずになし崩し的に交換日記を続けてしまう黒田さん。彼女と松本さんが幼いころからの親友というところが、また話を複雑にしていく。

まあハッピーエンドになることは織り込み済みなので、ポイントはそこに至る過程でどれだけときめきを感じさせてくれるかということになる。

その点、同じ列で観ていた若い男女のお客さんがすごく素直で良い反応をしていたが、とにかく主役の二人がかわいくかっこよく、初々しくてさわやかなので、終始微笑ましく見ていられる。瀬戸山くんが黒田さんのほっぺたをむぎゅっと潰すなんて思いっきりベタな場面が結構出てくるけれど、恥ずかしさの手前で踏みとどまっている。

あと、織り込み済みと書いたけど、ストーリーも少し意外なところがあって、描かれなかった瀬戸山くんの心情の推移が最後になって分かるところは良かった。彼は、松本さんに手紙を出したのではなく、同じ机を使っていたひとに送っていたのであり、黒田さんと会話を重ねることで彼は彼なりにいろいろ考えるようになっていたのだ。

上では「パール」とのバランスで甘酸っぱい作品をと書いたが、どちらかといえば日本テレビで放映しているドラマ「最高の教師」の荒んだ高校との対照性の方が際立っているかもしれない。この高校、黒田さんの元カレも含めて悪いひとがまったくいないのである。

(80点)
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