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「しん次元! クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜」

2023年08月06日 10時00分34秒 | 映画(2023)
作品が生きる条件とは。


今年は「クレしん」の劇場版第1作「アクション仮面VSハイグレ魔王」が公開されてから30年という節目の年。それを記念してか、今回は「しん次元」と冠して特別に3DCGアニメとなった作品が公開されることとなった(※イオンシネマも30周年記念を押し出していた。正確に言えばワーナーマイカルシネマズ海老名が誕生して30年だが)。

脚本・監督は大根仁。実績十分の氏がしんちゃんワールドをどう調理するのかが注目されたが、個人的な感想としては、特に悪くはないが取り立てて大きな驚きがあったわけでもないといったところだろうか。

劇場版クレしんには暗黙のノルマのようなものがあって、おバカでちょっとお下品な設定や展開と、家族や友達との熱い絆という、対照的な二つの要素を組み入れるのが定番となっている。ものすごく冷めた言い方をすれば、前者でおこちゃまを釣り、後者で一緒に見に来た大人にも満足してもらいましょうという算段だ。

その点では、今回お下品要素はかなり少なかったような気がする。ゲストキャラクターや彼らが所属する組織の名前も普通だったし、しんちゃんのおしりがフィーチャーされるのもアニメのレギュラー放送と大差なかった。

熱い絆についても、かすかべ防衛隊は完全な脇役、野原一家が団結する場面も少なく、みさえもひろしも外側からしんちゃんの無事を祈るしかできない展開が多かった。その代わりに中心になったのは、本作のゲスト・松坂桃李が演じる非理谷充としんちゃんの友情であった。

幼いころから家族の愛情に恵まれず、特技も友達もないまま大人になり、鬱屈とした生活を送っていた非理谷に闇の力が憑りついて世界の危機が訪れるのだが、しんちゃんは怪物と化した非理谷の体内に入り、彼の過去に遡って子供のころの非理谷と友情を育むという展開だ。

良い話だし、筋も通っている。この世の中、おもしろくないこと、うまくいかないことばかりだけど希望はあるというメッセージも伝わってくる。

ただその効果は未知数である。上述のように今回はしんちゃん以外のキャラクターに見せ場が少なく、クレしんに馴染んでいる観客への訴求力が若干弱いのである。

売りである3DCGも評価は分かれるだろう。オープニングでしんちゃんとみさえの追いかけっこが繰り広げられる。狭い路地をすり抜け、キックボードや自転車を使って駆け回り空を飛ぶ。ハリウッドのアクション映画を彷彿とさせる構成で、これをやりたい故の3DCGだったのかと思ったが、必要だったのか?ファンはこれを求めているのか?という問いへの回答は出ない。

結論としては、冒頭のとおり本作は30周年の特別企画と割り切るのが妥当なのだろう。エンディングで流れた来年の特報では、画像はノーマルのしんちゃんに戻っていた。

ただ公開日は夏休みでもいいのかもしれない。競合作品がないからか、GWだとコナンに譲る大きなスクリーンを確保できていたし、多くの子供の動員も期待できそうである。

(60点)
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