Con Gas, Sin Hielo

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「君たちはどう生きるか」

2023年09月09日 18時11分43秒 | 映画(2023)
きっと人を選ぶ作品。


宣伝や事前情報がまったくないまま公開されたということが最大の話題となった宮崎駿監督の最新作。

ジブリ作品を映画館で観るのはいつ以来だろう。ひょっとすると「千と千尋の神隠し」からずっと観ていなかったかもしれない。

好きとか嫌いとかではない。何というか、宮崎駿という存在があまりにも大きくなり過ぎて、フラットな目線で作品を観ることができないような気がしていたというのが正直なところである。

実際、レビューサイトで本作の欄を見ると評価は真っ二つに分かれているようである。有名になれば、地位を築けば、ファンとともにアンチも増える。聞きたくなくても、知りたくなくても、いろいろなところから情報が流れてきて審美眼を曇らせる。

ただ今回は本当に情報がない。戦略にハマったのかもしれないが、自分を試す意味でも観てみようかなと思ったのである。

まずタイトルが立ちはだかる。これはどんなジャンルの作品なのか。なぜこのタイトルなのか。

舞台は太平洋戦争の最中の日本。東京から遠く離れた地に眞人(まひと)は疎開してくる。3年前に母親を火災で失った後、父が母の妹と再婚することになり、その実家に身を寄せることとなったのだ。

広大な敷地の森の奥には謎めいた洋風の塔が建っており、そこに住み着いていると思われるアオサギが眞人にちょっかいを出してくる。聞けば、母親はまだ生きていると言う。眞人はワナだということを承知の上で塔の中へ足を踏み入れる。

やはりジブリといえばファンタジーということで、本作も例外ではない。ただその世界観は壮大かつ個性的である。

塔の中の異世界はあらゆる時代と繋がる結節点であり、その世界の均衡が崩れると現実世界に災厄が起こる。異世界には何故かやたらと鳥がいるが全然可愛げがない。そんな鳥たちに追いかけられながら、眞人は異世界の主である大叔父の元にたどり着く。

異世界の風景は斬新で、予想がつかない展開が次々に訪れることもあり、まったく飽きずに観ることはできる。でも、感動や感心といった心を動かされるような体験はなかった。時間が経って湧き上がってくるようなものも今のところない。

淡々としているというのだろうか。問題のタイトルも、母が遺してくれた本の表題として出てくるが、ストーリーのどこかでダブルミーニングになっている気配も見抜けなかった。

(何度めか分からないが)引退を撤回してまで作ろうとした作品だから、強い思いはあるのだろうけど、伝わるのは真のジブリファン、宮崎駿ファンだけなのかもしれない。とすると、次作があってもまた観なくなるのかな。

(65点)
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