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近未来のその先の近未来。
前作を予習してから観に行きたかったけど結局できないままに終わってしまった。
前作の舞台は2020年だったと言う。もちろん映画で描かれている世界は現実とはほど遠い。しかし時間軸以外の人類の悲観的な未来は少なからず現実味を持っており、そのインパクトは今でも色あせるものではない。
今回描かれたのは、見捨てられた者たちが騒々しくうごめく故郷の星・地球の30年後。退廃が進んだと言いながらも、人間たちが暮らす街のイメージはそれほど変わっていないように思えた。あくまで記憶に残る前作との比較に過ぎないが。
代わりに、前作では出てこなかった(と記憶している)人間からも見放された廃墟、どうやらラスベガスらしいのだが、ゴーストタウンと化した地域の様子が重要な場面で印象的に描かれる。
前作でレプリカントを製造・管理していたタイレル社は倒産し、ウォレスという科学者が経営する新しい会社に資本が移転していた。ウォレス社はレプリカントの機能を進化させるとともに、問題を起こした旧体の一掃に力を入れていた。
R.ゴズリング演じる主人公はそんな新型レプリカントの1体。心の乱れなど一切見せずに仕事をこなす優秀な警察官であった。
彼がある日、捜査上で発見した旧型レプリカントを始末すると、そこに彼に植え付けられた記憶に引っ掛かるものがあることに気付く。それは、機械であるはずのレプリカントが起こした奇跡の証でもあった。
H.フォードのデッカード捜査官とレプリカントの間に男女関係があったことは薄々憶えていたので、思ったよりも話には入りやすかった。
「強力わかもと」はなくとも、日本を含めたアジア的な雑然とした要素に満ちた街並みは前作との繋がりを意識させる役割としては十分。変に中国色が濃くならなかったのは、本作がソニーグループのコロンビア作品だったからかもしれないと想像する。
それ以上に良かったのは音楽だ。前回は、「炎のランナー」で躍進したヴァンゲリスが奏でる壮大で虚ろな音が、見事に映像と共振していたのだが、今回その空気をH.ジマーが再現。これがまたよくできていて個人的にとても満足した。大型スクリーンで音の圧力を体感したのはひさしぶりだった。
人造人間であるレプリカントの悲しさもしっかり表現されていた。
主人公は、淡々と仕事をこなしAIの恋人に安らぎを求める毎日から、自分のルーツや生まれてきた理由を探るうちに、その人となりを大きく変化させる。
精巧で有能な機械であるからこそ生きている誇りに目覚めるのだが、それは彼にとって決して幸せな結果を生むものではない。
特に、自分が選ばれし者ではなかったことが分かったときの落胆と安堵が入り混じった複雑な感情と、それを経て更に闘うことを決意する下りは雄々しくも悲しい。ホログラフィーAIのジョイ(A.デ・アルマス)がかわいかっただけに余計にそう感じたのかもしれないが。
デッカードから秘密を聞き出そうとするという設定で、過去のレイチェルを再現したレプリカントが登場。S.ヤングのクレジットがあったから本人の許可は得ていることは間違いない。
「スターウォーズ」でも過去のレイア姫が出てくる場面があったけど、こうした技術を使って過去の作品の世界を広げる風潮は続くのだろう。
(80点)
前作を予習してから観に行きたかったけど結局できないままに終わってしまった。
前作の舞台は2020年だったと言う。もちろん映画で描かれている世界は現実とはほど遠い。しかし時間軸以外の人類の悲観的な未来は少なからず現実味を持っており、そのインパクトは今でも色あせるものではない。
今回描かれたのは、見捨てられた者たちが騒々しくうごめく故郷の星・地球の30年後。退廃が進んだと言いながらも、人間たちが暮らす街のイメージはそれほど変わっていないように思えた。あくまで記憶に残る前作との比較に過ぎないが。
代わりに、前作では出てこなかった(と記憶している)人間からも見放された廃墟、どうやらラスベガスらしいのだが、ゴーストタウンと化した地域の様子が重要な場面で印象的に描かれる。
前作でレプリカントを製造・管理していたタイレル社は倒産し、ウォレスという科学者が経営する新しい会社に資本が移転していた。ウォレス社はレプリカントの機能を進化させるとともに、問題を起こした旧体の一掃に力を入れていた。
R.ゴズリング演じる主人公はそんな新型レプリカントの1体。心の乱れなど一切見せずに仕事をこなす優秀な警察官であった。
彼がある日、捜査上で発見した旧型レプリカントを始末すると、そこに彼に植え付けられた記憶に引っ掛かるものがあることに気付く。それは、機械であるはずのレプリカントが起こした奇跡の証でもあった。
H.フォードのデッカード捜査官とレプリカントの間に男女関係があったことは薄々憶えていたので、思ったよりも話には入りやすかった。
「強力わかもと」はなくとも、日本を含めたアジア的な雑然とした要素に満ちた街並みは前作との繋がりを意識させる役割としては十分。変に中国色が濃くならなかったのは、本作がソニーグループのコロンビア作品だったからかもしれないと想像する。
それ以上に良かったのは音楽だ。前回は、「炎のランナー」で躍進したヴァンゲリスが奏でる壮大で虚ろな音が、見事に映像と共振していたのだが、今回その空気をH.ジマーが再現。これがまたよくできていて個人的にとても満足した。大型スクリーンで音の圧力を体感したのはひさしぶりだった。
人造人間であるレプリカントの悲しさもしっかり表現されていた。
主人公は、淡々と仕事をこなしAIの恋人に安らぎを求める毎日から、自分のルーツや生まれてきた理由を探るうちに、その人となりを大きく変化させる。
精巧で有能な機械であるからこそ生きている誇りに目覚めるのだが、それは彼にとって決して幸せな結果を生むものではない。
特に、自分が選ばれし者ではなかったことが分かったときの落胆と安堵が入り混じった複雑な感情と、それを経て更に闘うことを決意する下りは雄々しくも悲しい。ホログラフィーAIのジョイ(A.デ・アルマス)がかわいかっただけに余計にそう感じたのかもしれないが。
デッカードから秘密を聞き出そうとするという設定で、過去のレイチェルを再現したレプリカントが登場。S.ヤングのクレジットがあったから本人の許可は得ていることは間違いない。
「スターウォーズ」でも過去のレイア姫が出てくる場面があったけど、こうした技術を使って過去の作品の世界を広げる風潮は続くのだろう。
(80点)
> 自分が選ばれし者ではなかったことが分かったときの落胆と安堵が入り混じった複雑な感情
マサカな展開になっていれば出来過ぎだし、そうではなかった本作も何気なく気落ちしたものです。
それは、胃によくないですから「強力わかもと」を飲んで胃の調子を整えなくてはなりません。
「わかもと」はまだ現役なのかなーと、あまりドラッグストアに行かない者は思います。
2049年になってもあるかは、もっと確率が低い気がします。
気落ちしてもレプリカントに薬は必要ありませんね。