Con Gas, Sin Hielo

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「ノック 終末の訪問者」

2023年04月08日 21時46分53秒 | 映画(2023)
監督は全能の神。


毎度おなじみM.ナイト・シャマラン監督。なんだかんだ言われながら、「シックスセンス」から20年以上高頻度で話題作を作り続けているのは称賛に値する。

彼の一貫したスタイルは、第一印象のインパクト勝負。奇抜な発想と刺激の強い映像で観客を惹きつけ、行けるところまで力で引っ張っていくものである。

今回は、突然現れた4人の訪問者が「家族の誰かを犠牲にしなければ世界が滅びる」と主人公たちに告げる。主人公たちがNOと返答する度に訪問者の一人が命を絶ち、同時に世界で大勢の人たちが犠牲になる災禍が発生する。

今回のインパクト映像は、主人公たちの選択によって大惨事に見舞われる世界と、自らの命を差し出す異様な訪問者たちである。

押し寄せる巨大津波、次々に墜落する航空機。あり得そうもないものを映像で見せてしまうシャマラン監督の真骨頂と言える。命を落とす残酷な瞬間は映さないところが、ぎりぎりの上品さを保っているが。

例によって、なぜこんなことが起きるのかは語られないし辻褄の合わせようがない。主人公の一人が黙示録がどうのと言っているが、とってつけたような次元の話である。

とにかく本作は、力で世界の終末を呼び寄せたということに尽きる。シャマラン監督が作る世界では彼こそが神であり、その中に住む人類に自由に裁きを下せるのである。

理不尽に思われようともそれが神の役割なのだから、まったく破綻していないし、そうした流れは予想の範囲内なので不満もない。

今回の神は時流に従い、キャスティングで公平に配慮されている点も印象的である。訪問者の4人は男女2名ずつで人種も職業もそれぞれ。襲われる主人公たちはゲイの養父2名と東洋系の養女と、少ない登場人物の中で多様性を確保。女の子が不思議な魅力を持っていて良かった。

(70点)
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