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「クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~」

2018年04月15日 14時21分08秒 | 映画(2018)
あなたの正義は間違っているかもしれない。


元来あまのじゃくであるせいか、音楽や映画に込められたメッセージを素直に受け止めることがめったにない。特に、送り手側に少しでも説教じみた姿勢や上から目線が見えた場合は瞬時に醒めてしまう。

そこにいくと劇場版の「クレしん」は、おバカなフリをしていたところから急にシリアスモードに転回してくるので、メッセージが相対的に強まるとともに、押しつけがましさをまったく感じることなく観られるのが強みだ。

今回はカンフーをフィーチャー。春日部にある中華街を乗っ取ろうとする悪の新興チェーン店「ブラックパンダラーメン」を相手にカスカベ防衛隊が奮闘するという設定である。

前半は、話の設定や善悪双方のキャラクターが凡庸であったことから、ものすごく単調に感じた。これはここ数年のシリーズの中で最低かもしれないとさえ思った。

しかし、悪役であったブラックパンダラーメンの黒幕が早々に倒されると話が一変する。しんのすけたちとともに戦っていた中華街の娘・ランが豹変するのだ。

しんのすけたちが教わった伝説のカンフー・ぷにぷに拳は、強さだけではない肉体と精神の柔軟さが求められる拳法であった。しかしランは、敵を倒すことに執心し過ぎて、社会のあるべき姿を大局的に見ることができなくなっていた。

社会を統治するのにふさわしくない人物が権力を手に入れたらどうなるか。簡単な設定なのに深い。子供でも分かるが大人も考えさせられる。この両方を満たすのが「クレしん」シリーズの伝統である。

解決策も興味深い。しんのすけたちが考え出した方法は、前半に布石となる場面が流れていたものの、まさか再びここで出てくるとはと誰もが思うとんでもないやり方だった。

ただそれはあまりにもとんでもなく、逆に「けしからん」と眉を吊り上げることさえバカバカしいものであったため、何故か「これでいいのだ」と思ってしまった。究極のおバカは世界を救えるのだ。

それにしても、現代の子供たちはジェンカなんて踊らないのだろうね。よさこい全盛だから、フォークダンス自体触れる機会はないのかもしれない。

ぼくが子供の頃に踊ったジェンカは坂本九だった記憶があるが、本作では橋幸夫が歌っていた。どっちにしても味があるし、マサオくんが中国語で歌う「プロジェクトA」などとともに、大人にしっかりと刺さる演出の一つであった。「クレしん」は独自の路線でまだまだ健在である。

(80点)
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