Con Gas, Sin Hielo

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「伊藤くん A to E」

2018年01月14日 22時00分36秒 | 映画(2018)
全員悪人。


岡田将生が5人の女性を振り回すという設定と、その5人を演じるのが魅力的な女優陣であるという理由で観に行ったのだが、後で公式ページを見たら「男子厳禁!女たちの【毒】を観て、幻滅する恐れあり!」と書いてあった。確かに映画には幻滅したけど、女性であればこの話に共感するのか?

岡田将生演じる伊藤は、童貞であるという以外はほぼ予想どおりの屑っぷりで、違和感なく受け入れられた。しかし、女性たちの酷さはちょっと想定していなかった。

木村文乃佐々木希志田未来夏帆池田エライザといった、普通であれば放っておいても輝きオーラを発しそうな女性を配しながら、それぞれの魅力を潰すように映すというのはなかなかできない。

確信的にしたとすればこれはこれですごい。でも、映画を作る力量と話の好き嫌いは別だ。誰にも感情移入できない話に2時間も付き合うのは甚だ苦痛であった。

とにかく主人公の脚本家・矢崎がどうにも受け付けない。軽々しく他人を無様と言い放って自分の地位の高さを強調するが、一方で自分の言うことやすることにはまったく中身が伴っていない。

そんな彼女が面白ネタとして伊藤と周りの女を追っていくうちに、実はいちばん追い詰められていた自分の無様さに気が付くという展開なのだが、紆余曲折を描いた割りには彼女が目覚めたり成長したりという様子が見えてこない。

クライマックスで伊藤と二人きりになってお互いの考えをぶつけ合う場面では、無様でも自分はこれからも脚本を書き続けるというようなことを言っていた。しかし、彼女の心の奥に突き刺さるような痛い物語をしっかり描いていないから、無様な自分を受け入れるという言葉に説得力がない。

伊藤も伊藤で、「闘わないから負けない」「傷つけられるのがイヤだから同じ土俵には上がらない」(だったかな?)といった一見おもしろそうな台詞を吐くのだが、彼の行動が終始矛盾だらけのしっちゃかめっちゃかなので言葉以上に伝わるものがない。

そんな二人がこれからもそれぞれ生きていきますと言われても、そうですか、あまり関わりたくないですねとしか言いようがない。

同様にダメ人間ばかりを扱うW.アレン作品は好きなのに、何故本作が肌に合わなかったのかは自分でも不思議だ。

(40点)
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